頑張っている生徒さんほど、評価が低くなる現象


料理教室をやっていると、こんな場面をよく見かけます。

一番よく復習している人。

一番真剣に話を聞いている人。

家でも何度も作ってきている人。


なのに、なぜか

「伸びていない気がする」

「要領が悪いと思われている気がする」

そんなふうに感じてしまう人。


でもそれは、センスがないからでも、飲み込みが遅いからでもありません。


むしろ、頑張っている人ほど起きやすい現象です。


料理を丁寧にやる人ほど、

工程を一つ一つ確認します。

失敗しないように慎重になります。

理由を理解しようと考えます。

「なんとなく」で進めることができません。


するとどうなるか。


時間がかかる。

迷っているように見える。

手が止まっているように見える。


一方で、

あまり考えずに進める人は、

手は止まらない。

形は早く仕上がる。

できているように見える。


ここで評価のズレが生まれます。


実は、料理が本当に身についている人ほど、

手はゆっくりになります。

判断の回数が増えます。

確認するポイントが多くなります。


でもその思考の量は、外からは見えません。


失敗しなかったこと。

大きく味を崩さなかったこと。

トラブルを未然に防いだこと。


これらはすべて、

何も起きなかった出来事として処理されてしまいます。


料理が上達しているのに、

本人だけが「できていない気がする」。

これが、頑張っている生徒さんほど陥りやすい状態です。


さらに真面目な人ほど、こう言います。

「たまたまうまくいきました」

「まだまだです」

「全然できてません」


でも実際には、

火加減を見ていた。

音を聞いていた。

香りで判断していた。

前回の失敗を思い出して調整していた。


それは立派な成長です。


料理は、早く作れるようになることが上達ではありません。

考えずに動けるようになることでもありません。


考えながら作れるようになること。

理由を理解しながら選択できるようになること。

それが、本当の意味での上達です。


もし今、

真面目にやっているのに自信が持てない。

頑張っているのに評価されていない気がする。

そんなふうに感じていたら。


それは、あなたの料理が止まっているのではなく、

ちゃんと積み上がっている途中なだけ。


静かに積み上げている人ほど、

自分の成長に気づきにくいだけです。


料理は、ある日突然、

「あ、分かる」に変わります。

その前段階は、たいてい不安と迷いの連続です。


ちゃんと悩んでいるなら、

ちゃんと考えているなら、

あなたの料理は、確実に前に進んでいます。