-1986年9月24日-<山崎家>沢山の荷物を玄関の側に置き慶大は鞄から玄関の鍵を探し始め見付けると鍵を開けたカーテンを閉め切った部屋は少し薄暗く陣痛が起きたあの日から手付かずのままだったそんな部屋を見た薊は人格が変わったかのように閉め切ったカーテンを開け早速とばかりに掃除を始めたその間にベビー布団等を洗濯機に放り込み適量の洗剤を入れスイッチを入れるその手早さは保育士の経験から培われた賜物であろうそこは感心した[ごめん慶大 荷物片付けたら掃除少し手伝って]と薊に言われ[分かった]と言い荷物を各々の場所に片付けて薊の手伝いを始めたそれから何時間経っただろうかたった数週間だけ家を空けていただけなのにこんなに埃っぽくなる物なんだとお互いに改めて実感したんだと思うっていうかそんな染々とした事なんて言っている場合じゃない和香菜に授乳させなきゃいけないんだったと思い出し帰って来てからも尚和香菜はぐずってはおらず静かにしていたそう…存在を消すかのように薊は片付いた部屋を一通り見渡し次にやり始めたのは和香菜のミルク作りと夕食作りだった[はーいミルクが出来たよお腹空いたね沢山飲んでね]と薊が言うと和香菜は大人しくミルクを飲みげっぷの為に抱っこをすると笑った[あれ?お尻気持ち悪いね替えようか]と言いトイレでオムツ替えをしたまるで伊藤や病院関係者が話していた事が全部"嘘"かのように薊は良い母親に見えた[これから俺も頑張ろう]と慶大は思いある提案をした[あのさ俺外で仕事している訳だし暫く買い物とか俺に任せてくれないかな?勿論夜遅くなって夕御飯とか沐浴?遅れる事もあるかもしれないし期待以上の事は出来ないかもしれないでも俺は薊が抜群の状態で物事が進むようにしたいんだだからお願いします俺に任せてくれない?]と言うと[うーん分かった良いよ]と言われ[ありがとう]と言った-1986年9月25日-<区役所の区民生活安全課>次々とスーツに身を包んだ職員達が各々の部署へと向かっていく事情をなにも知らないグループ達は慶大を少し嘲笑していた[こんな忙しい時期なのに]的な事を言いたいんだろうなとなんとなく分かるようなそんな感じを痛い程感じた一方事情を知っているグループ達は何事もなかったかのように慶大に話しかけ淡々と自分の仕事を始めて行く当の慶大は伊藤が来るのを待っていたすると伊藤がやって来て自分の席に着いた所で[おはようございますこの度は長くお休みしてしまい申し訳ございませんでしたもう大丈夫なんでビシッバシッ使って下さい一生懸命頑張りますんで]と言うと伊藤は渋い表情をして[あぁ宜しく頼むよ]といつもより低く深い口調で言った周りはなぜかその口調にいつにない緊張感が走り1日中ピリピリする事になった別に伊藤は慶大に冷たくした訳ではないのだがせめてもの罪滅ぼしの気持ちだった[まぁ決して伝わるはずがないだろうこんな態度を取っていたら不信しかないだろうから]と伊藤は心の底からそう思った[あっ伊藤さん提出不足でした娘の出生届です]と言い慶大は白い封筒を取り出し中身の用紙を出して伊藤の前にスッと滑らした伊藤は[あぁそうだったな改めておめでとうそして立派な父親になりなさい]と言うと[ありがとうございます]と言い自分の席に着き仕事を始めたその様子を伊藤をはじめとした事情を知るグループの周りの人物達は全く予想外だったてっきり慶大は暫く安静をし妻である薊の様子と娘の和香菜の世話で忙しくなるだろうと予測していただからお祝いの品物をなにも用意していなかった今から用意出来る手配をするのも時間が間に合うか不安だし恐らくだが業務が順調であれば定時に帰宅するかもしれないと思ったその一方で全くと言って事情をなにも知らないグループの周りの人物は言わずとも知っての通り[良かった余計な金を払わずに済んだこのまま流れば良いのに]としか思っていなかったあっ説明していなかったがここで言う事情を知っている知らないの大半の内容は沢井家の話であり山崎家の話は0に近い人物だけである説明する程でもないが念のためである[はぁこうなると思った]といつの間にか現れた光永が呆れたように言うと近くに居た数人の人物達が驚いて声がした方向を見た[なんだよ光永か驚かすなよ]と1人が言った[別に驚かすつもりはなかったですが]と言うと[お前なそういう所可愛くないぞ仮にも俺は先輩だ口を慎め]と光永を指摘し始めた[先輩なのにこうなる事を予測出来なかったんですか?]と言うとその人物は顔を真っ赤にしカンカンに怒らせてしまったそんな事などお構い無しに[お祝いの品物午後6時に到着させましたよ]と言うと[はぁ?いつの間にそんな事したんだよ]と訊かれ[この間山崎さんの入院している病院に行ってとても口の軽そうな看護婦に訊ねましたよ[退院はいつですか?]てね]と言うと[あのなぁ役所職員の俺達がそんな事しても良い訳が無いだろうもっと自分の立場とか考えろ]と言い軽く光永の頭部に少し柔らかいファイルの背でコツンと1回叩いた[って言いますがそうでもしないと皆さん誰もしないじゃないですか]と光永に言われ周りは黙りになったその様子を伊藤や慶大が気付かない訳がなく伊藤が歩み寄り[どうしたんだね言い争いなら休み時間にでもしなさい]と注意すると[光永が俺達に内緒で祝いの品を用意したって言うものですから]と説明したすると伊藤は顔色を変え光永の方に向き直し[光永さんそれはちょっと行き過ぎるなぁ喩え誰も用意しなかったとしても後日私やその上の人間達が用意している可能性があるかもしれないじゃないですかそこまで予測出来ませんでしたか?]と言われ光永は[申し訳ございません]と言うと伊藤は小さく溜め息を付き[まぁ今回は多めにみましょうここに来て君はまだ日が浅い伸び代はまだまだ沢山あるのだから]と言われ光永はさっきまで周りに高を括っていたのがまるで嘘だったかのように我に返り大きく頭を下げたそれっきり光永は少し真面目な保健福祉事業課職員となり毎日車で各地区の巡回や相談を行う事になるのだがこの話はまた近いうちにっていう事でその頃私はこの人と二人っきりこの狭い空間にいた私は殆んど泣く事は無くオムツとかなりの空腹ぐらいしかその人を呼ぶ事はしなかった先に言っておきますがこれは私の場合であって実際そういう子は滅多にお目には掛からないだろうしかと言ってあまり面倒を見ない親の皆さんに置かれましてはその内お縄になる事を覚悟した方が宜しいかと思いますよなぜなら1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられますからあぁ安いそれはさておき私が泣かない事を良い事に私は本当にこの人に放置されていたはずだまぁまだ私は乳飲み子だからなにも証拠は無いけれどもその後に見付かる母子手帳の健康診断と予防接種の欄には平均より下の数字が記入されていて病院も梓杏学院大学附属診療所じゃなく国立樟臈院大学附属総合病院にしていた事も判明するっていう事は様々な疾患の時もそこだった可能性が高いっていう訳だあぁなんてしょうもない事をするかなぁあっまた話が横道に反れちゃったので元に戻すとして母は現在水色のエプロンを着け洗い物の片付けをしているその合間に冷蔵庫の残り物をつまんで食べては幸せな笑顔を浮かべて部屋中に微かに聴こえる映画の主題歌の方はお気に入りの曲をストミングし1日では全部を聴けない位である本当にこの人に趣味が有って良かった物だもしも無かったら私はこの時点で言うまでもないが確実に[さようなら]になっていて…その時[そろそろ泣くかな?]と薊が小さく呟き後ろを振り向いて和香菜が居る部屋に向かった[和香菜そろそろお尻気持ち悪いんじゃない?替えようか]と言われ私はここぞとばかりに意思表示と呼ばれる[泣く]をしてみるそこに不安とか動揺という物は無いが[これで良いのか?]と幼い頭で自問自答していたのかもしれないでもこんなにも幼く未発達な脳では全く答えが出なかった現在は良いとして今後この方法が出来なくなったら…終わりかもしれないなんて考える訳無いっか笑える大爆笑物だしかしもしもこんな事を考える赤ちゃんが居たとしても決して可笑しくはないとは思わないだろうか常日頃 周りの大人達の事を観察しているからこそ安心して意思表示が出来る訳であって上手く纏められないがそういう事なのだ[はぁい出来ました次はミルクの時間に来るからね]と言い残し薊は台所に戻って行ったその頃 身柄を地方検察庁に移し拘束されていた澤井琿恃の取り調べは10日以上も続いており担当検察官の毛利秀致や検察事務官の小原愈らの顔が真っ青になるぐらい調書が上がって行ったその中にはこの間起きた尚晞の殺人未遂も有った[ここで残念な報告が有りますたった今 貴方の罪は重くなってしまいました貴方の息子さん尚晞君が入院先の患者さんの首を絞めたそうですしかしそれは未遂で終わり直ちに尚晞君はそこから離れた病室に隔離されたという事だそうで…]と毛利が淡々と告げると[はぁ?彼奴ふざけるんじゃねぇよ今から彼奴の所に行って今度こそぶっ殺してやる]と言い澤井は逆上し近くに居た小原らが慌てて取り押さえられ揉み合ったすると毛利は[いい加減にしなさい元を辿れば貴方が息子である尚晞君を苛め苛みそしてなぶりいびり倒し虐げた事が原因だったんだとまだ気付いていないんですかそして尚晞君がこの数年間どれだけ傷を負ったか理解出来ますか育児が凄まじく大変なのは4人の子を持つ父親である私にも分かるそれでもそんな事をしても良い訳がない子供は貴方みたいな人のロボット遊びの道具では無いんです]と毛利が言うと[うっせぇ彼奴のせいで俺はなにもかもが駄目になったんだよ彼奴がいっつも邪魔をしてばかりでなにも楽しいとも思えないだから今度こそ]と言い尚も力ずくで澤井がもがき検察事務官達が取り押さえるのも必死だったこの澤井琿恃という人物は1960年2月4日に生まれ父親の恃秉は運送業で働きほぼ毎晩のように会社関係の人々と飲み歩き少しの時間で家に帰り着ていた家に入るなり作業着などを脱ぎ散らかし部屋に畳んである物をその場で着替えて会社に出勤して行く生活費はいつもかつかつに置いて行き節約が当たり前母親の椿はそんな恃秉を常に尊敬しており悪く言う事は無く周囲からは[内助の功の鑑だ]と持て囃され疎まれる事がしばしば有ったそれでも結婚して約21年で2男9女を儲け育て上げたのだがただ琿恃だけが中学卒業後異端児に変貌して行くと言ってもそれほど目立った非行はしていなかったのだが時折至る所で琿恃の目撃情報が有り父親の恃秉以外よく母親の椿をはじめとする兄弟姉妹達に問い詰められていた学校での成績は良くも悪くもなく大学進学も出来そうな位であったしかし当の本人の琿恃はそれを全く望んではおらず自分にも出来そうな仕事を模索し一人立ちをしようかと考えていたのだがそう簡単に見つかるはずもなく混沌とした日々を虚しく過ごすしかなかったようだそれから高校卒業を間近に控えた頃母親の椿が急遽暫く入院する事になり非行どころではなくなってしまったもちろん兄弟姉妹が多いといっても自分一人だけ欠けるっていう事はしたくはなかったそれもそのはずそもそも琿恃も母親っ子だったのだなのに自分一人だけ異端児に変貌し非行に走ってしまい八方塞がりになる事は覚悟の上だったしかし実際の現状に置かれた瞬間に自身で気付いてしまった全てが上部の戯言だった事をその後琿恃は家族にはなにも告げず家を出て失踪したその失踪から1年半後母親の椿は亡くなり8年後父親の恃秉も亡くなったその間 琿恃は書店員だった鬮原樺漣と交際し結婚生活を始め後に被害者であり被告の尚晞が誕生するもその幸せは長く続かず尚晞が6ヵ月の時に妻の樺漣が離婚届を置いて家を出て行かれ父子家庭にその頃から徐々に虐待は開始されたと思われるその樺漣は現在捜索中である裁判の時までにはなんとしてでも見付け出したいと毛利は思う<国立樟臈院大学附属総合病院精神科特別病棟>5畳の病室に未だに尚晞が入院していた入院当初と比較して精神状態の波が激しくすでに誰の手にも終えない所スレスレであるもちろん尚晞も自覚症状があるのだがコントロールが難しいようで野放しするしか出来ていなかった[すみません澤井尚晞君の面会に来ました国立高朧区児童相談所児童福祉司の五十嵐泰惺と申します]と言い看護婦詰所に居る人々に軽く会釈をしたすると婦長の川浪詩咲が担当看護婦の若山都巴を呼び横に並んだ所で[担当看護婦の若山です]と言い小さく会釈をしてから[澤井君の病室こちらです]と言っていそいそと看護婦詰所を出て行き五十嵐もその後を付いて行く尚晞の病室に着き若山は恐る恐るノックをした[はい]と尚晞が返事をしてゆっくりとドアを開けた[尚 今日はお客さんが来てくれたの入って貰っても良いかな?]と若山が言うと尚晞は若山達が居るドアの方に振り向き小さく頷いた若山は五十嵐に目を向け小さく頷き病室の奥に入って行く五十嵐も後から付いて行き少しゆったりとした口調で[あっえーとこんにちははじめまして僕の名前は五十嵐って言います澤井尚晞君で良いのかな?]と言うと小さく頷き[こんにちは]と言った五十嵐は安堵した笑顔を見せ[これ つまらない物なんだけど食べながらお話ししない?]と訊かれ尚晞は再び小さく頷く本当に端から見たら尚晞は本当に良い子に見え決して他人に危害や暴言等を与えない様に見えてしまうしかし全てが見えてしまったら尚晞は再びいつかどこかで罪を犯す者になり得て抗えても抗えてもそこから出られなくなるそうならないようにケアとキュアの両面をしっかりしなくてはと五十嵐はそんな事を思っていたがその思いを抑え込み[それじゃ早速っていうのもなんだけどそうだなぁどこから話して貰おうかな…そうだ最近お母さんらしき女の人を見掛けた事ある?]と訊かれ尚晞は横に首を振り[お母さんなんて知らないよ覚えていない]と答えた五十嵐は残念そうに[そっか]と言うと尚晞は[うん]と言い[あの父親のお話なんでしょ?あの父親のお話しょうよ]と言われ[あぁそうだねごめんね僕 話の振り方下手だったね]と五十嵐は参ったというような表情を浮かべ目を反らせたそれに気付いたのか尚晞は[まぁ仕方が無いよね喩えどの内容を選んだとしてもその母親の事も何れ話さなきゃならないんだからまぁもしも僕がその母親に逢った事があればの話だったら尚更 重要だよね]とまるで五十嵐の思っている事や考えている事を含め見透かしているように話す尚晞に五十嵐は驚きを隠せなかったそんな事気にもせずに尚晞は淡々と[あの父親からの苛めが始まったのはさっき出てきたその母親が家を出た日から暫く経った時期からじゃないかなぁ僕はずっと泣き虫だったし何かをする時でもトロいから苛々が沢山溜まってお仕事もだんだん上手に出来なくなって辛かったんだと思うよく分からないけど毎日どこかに行っていたよ僕を家に置いて夜遅くまで帰って来なかった時も多かったその日はずっとあの父親が帰って来るのを待っていたんだぁ絶対寝ないようにあれこれやってみてさぁもしも寝たらあの父親と一緒に寝れないから僕にとってその時間が一番安心した]と聞かされ五十嵐はもう当たり前のように言葉を失っていたっていうより聞き飽きた言葉であった為どう反応したら良いのか既に分からなかったという方が正しいのかもしれないそれぐらい五十嵐は慣れていたいや慣れていないのかもしれないどちらにしろそんな物だろうとしか思っていなかったのだろう五十嵐は少しの間呆然としていたら突然尚晞が[ねぇ現在僕が思っている事が小父さんには分かる?]と訊ねられ五十嵐は[えっ]と思わず聞き返しのような声が出てしまい自分でもきょとんとしてしまった尚晞も同様にきょとんとした表情をしていた[あぁごめんごめん僕ちょっとぼぅっとしていたようだ まだまだこの仕事を始めて未熟だから]と五十嵐は恐縮した表情をし考える素振りをしたのだが尚晞に冷たく[もう良いよ]とあしらわれてしまい尚晞はそのまま窓の方に顔を向け窓に映る空を眺め始めた五十嵐は[お父さんはいつもどんな事で怒ったり殴ったりしていたのかな?]と尚晞に訊ねると[別に意味なんて無いと思うよあの父親は僕を苛めて虐げる事で満足する悪魔いや悪魔以上だと思うあの父親と過ごしてきた時間は楽しかった事なんてなに1つ無かったただ一緒に眠る以外なにも]と言われ五十嵐は納得行かなそうな表情を浮かべ[そういう事じゃないんだけどなぁ]と顔に書いてあるかのように鼻で溜め息をし少しそっぽを向いたそれっきり尚晞と五十嵐は口を開く事はせず時間だけが無情に過ぎて行き五十嵐が施設へ戻らなければならない時間となってしまった五十嵐はすっくと立ち上がり[あっもう僕相談所に戻らなければならないんだごめんね結構 長居しちゃったよね またここに来るからその時はお父さんやお母さんの事聞かせてよあと…尚晞君の気持ちも]と言い残しそそくさと病室を出て行った隅の方で静かに聞いていた若山は[尚折角来てくれたお客さんに失礼な事をしちゃいけないでしょ]と小言してきたが[まぁ五十嵐さんも五十嵐さんよねもう当たり前のように言葉を失っているんだもんっていうより聞き飽きた言葉だったのかなぁまぁどう反応したら良いのか既に分からなかったという方が正しいのかもしれないよねそれぐらい五十嵐さんは慣れていたのかしらいや慣れていないのかもしれないわねどちらにしてもそんな物だろうとしか思っていなかったのかもしれないわね少し五十嵐さん呆然としていたししかも[まだまだこの仕事を始めて未熟だから]とかもっとマシな言い訳とか考え付かない所ちょっと呆れたかも]と看護婦らしからぬ悪口のようにもとれる口調で言っているのを聞いて尚晞は口元を手で隠しクスクスと笑った若山はその光景を初めて見て思わず抱き締めてしまっていた尚晞は若山からする洗濯洗剤の匂いとアイロンらしき匂いに不思議さを感じていたその後尚晞と五十嵐は二度と再会する事はなく代わりに餘源文汰が担当する事になった-1990年9月16日-<山崎家>それから4年の歳月が流れ和香菜は4歳となり母親の薊は和香菜が1歳半の時に職場復帰をしほぼほぼの面倒は薊の後輩の大塚奏という女性がしてくれていた薊の考えとしては和香菜がいつ保育所に入所しても良いように近場で独立を果たしている人物の方が適しているっていうのが条件だったのだろうそれがたまたま揃っていたのが大塚奏という人物だった訳である和香菜の記憶上 大塚はとても好い人で私の他にも数人の幼子達が居て特に楽しかったのは水遊びで下着でその幼子達とはしゃいでいたその後の事は全く思い出せないがとにかく全ての行事が楽しかった気がするらしい現在 和香菜は大塚の元を離れ薊が勤務する保育園とは違う保育所に通っているのだが…[和香菜明日から保育所に行かなくて良いわよ]と薊に言われ和香菜は大塚の事もありしつこく問い質す事はせず大塚が居る場所は一年も満たない期間ではあった原因は詳しく知らないが大まか言えば決別だろう和香菜は最終日の事も全く思い出せないし大塚の表情も幼子達の顔でさえも記憶から消されてしまっていたそして翌日から和香菜はずっと部屋に籠る日々が始まり部屋には父親の慶大が買って来てくれていた知育セットや絵本それからスケッチブック等が置いてありそれらばかり夢中で遊びそして慶大はだんだん精神状態が荒み始め薊に反発する事も少なくなっていったそれでも職場である区役所では平然と仕事をこなし伊藤らの心配は軽減の一途を辿って行き和香菜の日々の成長を風の噂程度で聞き目を細めるばかりであったんだと思う[出来た]と言ったものの見せる相手も居ない部屋は毎日のように近所に住む人々の声が聞こえてくるだけでなにも楽しくはなくかといって外に出てけして馴染みの無い幼子と遊べる勇気も持てずにただただ窓に映る景色も唯一楽しかったのかもしれない一つ分かった事が有る紙は破ったら塵になるだから失敗してもそのまま使うか次の何かに使う方が良いそうすれば薊さんやパパに見付かる心配が無い[これでよしっと]と言い和香菜は床に跪き四つん這えになって子供用の本棚に絵本と一緒の場所にスケッチブックを挟めた後 立ち上がり幼い足音を立てながら出入り口の扉を開けリビングへと向かいカーテンを閉めてから電気を点け高い台所に自分専用の椅子をくっ付け蛇口を少し捻ってチョロチョロと水道水を出し布巾を濡らし絞ってからテーブルの上を布巾でまんべんなく拭き各々の箸を各々の座る場所に置いて空いている席に重ねてあるお椀とお茶碗を置きついさっき使った椅子を戻し大人しく二人の帰りを待っていたすると[ただいま]と言いリビングに入ってきたのは慶大だったしかし和香菜の存在に気付けずそのまま寝室が有る部屋に行ってしまった和香菜は俯き慶大が着替えて戻って来るのを待っていた数分後慶大が着替えから戻り大人しく俯いて座っている和香菜に目が行き慌てて[ごめん和香菜ずっと待っていたんだな今からだけど用意するから]と言いバタバタと早足で歩き冷蔵庫の中を確認したが作り置き用として買ってきたタッパーウェアが見当たらなくというか作り置きさえされていない事に絶句し呆れた溜め息が出て唇を噛みしめた後和香菜の方に振り向き[和香菜買い物にでも行くか]と言われ[ううん私はここで待っている行っている間に薊さんが帰って来て部屋が暗かったら心配しちゃうよ]と言うと慶大はムッとした表情をし[やめなさいお母さんの事を[薊さん]って呼ぶのを]と言われ和香菜は[ごめんなさい]言い再び俯いたそれを見て慶大はなにも言わず和香菜の頭を優しくポンポンと叩いた実の娘を受け入れられない母親の薊と実の娘なのにけして母親と呼ばせてもらえていない和香菜の間で慶大は既に心身共に磨り減ってしまっていたここで離婚という選択肢を考えていれば何かが変わっていたのかもしれないがそんな事などもうないんだと幼いながらも和香菜にはよく分かっていたそして慶大は一人近くのコンビニに買い物に出掛けて行き和香菜はそのまま2人の帰りを静かに大人しく待っていたするとふと脳裏に[シンデレラ]の話を思い出し急いで部屋へと戻り2冊のシンデレラを取り出してパラパラと頁を捲り結論を出した[自分がシンデレラになればパパや薊さんが楽になれるかもしれない]としかしそんな事しても決して2人は褒めてはくれないだろうそれでも何も遣らずにずっと家で過ごす事は子供ながらの和香菜にはかなり息苦しく感じていたその時である[ただいまぁ]と言う声が聞こえ思わず背筋をピーンと伸ばして慌ててリビングへと戻ったのだが相手の方が早かったせいで和香菜は[しまった]と観念の臍を固めた様な表情を浮かべ更には体全体が固まったそれを見た相手は小さく溜め息を付きテーブルに沢山の食材が入った大きなレジ袋を置かれた瞬間でその相手が慶大だと分かり和香菜はホッと胸を撫で下ろしそのまま席に着くと慶大は未だに眉をハの字にひそめながらもレジ袋から食材を取り出し冷蔵庫に詰め込み始め何かを思い出したかように和香菜に惣菜のたこ焼きを渡し残りを再び冷蔵庫に詰め込んでいく和香菜はさっきとは違いどこかそわそわしているが慶大は気が付かないふと時計を観てもうすぐ薊が帰って来る事に嫌な溜め息が漏れるすかさずさりげなく和香菜が片言で[今日パパ凄く疲れているんだね和香菜今日のお掃除してあげる]と言われ慶大は顔を上げ驚いた表情を浮かべいつもだったら[いやいやパパは大丈夫だから]と苦笑しながら断るのだが今日はなぜかそんな言葉が出ずとっさに[ありがとう和香菜]と慣れない笑顔を浮かべていたと慣れない笑顔を浮かべていたそれから1時間後に薊が[ただいまぁ]と言いながら帰って来た和香菜は急いで掃除用具等を片付け自分の部屋へと入りベッドの中に潜って目を瞑ってドア越しに微かに誰かの歌声が聞こえて来たのだが和香菜自身は他人の名前や特徴をあまり覚え切れていない為[一体誰なんだろう?]としか思わなかったそして翌日になり和香菜は出来る限り物音を立てないように掃除をしようと周りを見渡し箒でくまなく掃くのだがこの部屋はとにかく物が多く和香菜の体力では上手く動かせない事に戸惑ったし泣きたくなったそれでも掃除とかしたく玄関→トイレ→洗面所→お風呂→リビング→寝室の順番なら出来るかもしれないと思い早速とばかりに遣ってみるまずは片手にバケツを持ちもう一方にちょっと高い台を持ってバケツに水を汲み下駄箱を拭き未だに慣れない箒を片手に土埃を集め塵取りで取り除き少し離れた所に有る錆が入った箱の中に入れそそくさと玄関の方へ戻り中に入ってすぐ傍のトイレに入り何故か必要な洗剤の類いは和香菜がちょっと背伸びをして手を伸ばせば届くようになっており和香菜的にはこれを当たり前のように出来るという事が保育所では出来ない唯一の学びという所だろうそれが終わったら難所のリビングであるここは一番物が多い場所で大きな音を立てられないまずどこから始めようかと周りを見渡すが全く分からない結局それらしいヒントは出ないまま出来る場所を拭くしか2人が居る時間に遣れる掃除だと無理矢理自分に言い聞かせたすると背後から[和香菜邪魔でしょうどいて]と言う声を聞きハッとし顔が一気に青褪めゆっくりと声がした方へ振り返えると腕を組み怖い顔をして横目でギョロッと睨みながら見下ろしている薊が立っているのが瞳に映りとっさに慌てて端の方へ逃げ込み怯えた目で薊の方を覗った薊はそのままの状態で突っ立って居り何かを察したのか端の方へ逃げ込み怯えた目で薊の方を覗っている和香菜に近寄りニヤリと口角の片方を高く上げた笑みを漏らしスッとしゃがみ込んで[ねぇ今さぁ灰被り姫ごっこでもしていたの?]と薊に訊かれ和香菜はなんの事を言っているのか理解出来ずキョトンとした表情を浮かべると[目障り]と言って和香菜の左頬を叩くと和香菜は少し強めではあるが壁に顔をぶつけてしまったけれど薊はなんとも思っていなく更に冷たい目で和香菜を見ている和香菜はというと泣きもせず黙ったままだった[まっどちらにしても好都合かもしれないからこのまま和香菜いや灰被り姫毎朝宜しくね]と薊は顔に似合わない不敵な笑みをし続けて[もしサボったりしたらどうなるか分かっているわね?]と言い残し普段と変わらない態度でルーティングをこなしなにくわぬふりで勤務先である保育園へと出勤して行った慶大の方は[明日から保育所に行かなくて良い]と薊に言われ翌日から保育所へ行っていない日から何か後ろめたいのか眉を潜め無言で薊より先に出勤して行くのだった私が居なくなった保育所では誰一人私の存在など気にしてはいなかったと後々再会を果たす事になる同級生前嶋恵名に教えてもらったでもその子はずっと私に再び会える事を願っていたらしいそれがいったいいつなのかかなり幼い頭では想像出来なかったらしく毎日目が真っ赤に腫らしていたと言っていたまぁ嘘か本当かは分からないけど確かに友人は少なかったこの話もまた近いうちにっていう事で話を元に戻して保育所に通わなくなった和香菜以外この部屋には誰も居なくなり居るとしたら周囲に住む人達だけである果たしてその周りの人達は気付いてしまうのだろうか父親も母親も留守である事実をしかし和香菜には何も想像出来なかった確かに音を出せば周りに聞こえてしまう掃除機や洗濯機それから走り回る音は常日頃大きいでも小さい音はどれくらい小さくすれば気付かれない?もし玄関チャイムが鳴ったとしたら?と頭の中で考えるべきだが足りない知恵では何も役には立たず直ぐに終わらせてしまった夕方になり慶大がクタクタな表情で帰って来た[ただいま]と言い辺りを見回し[和香菜もう掃除してくれた?]と慶大に訊かれ和香菜はコクリと頷くと慶大は小さく溜め息を付き[そんな事しなくても]と呟き優しく和香菜の頭を撫でると和香菜は[擽ったいよぉ]と言いながらキャッキャッと笑っていたが何かを思い出したのか和香菜の細い髪を触っていた慶大の手から擦り抜けて[あのねあのねこことこことここ]と言いながら次々と指を指して[塵芥が取れなかったんだ]と言うと慶大は和香菜が指を指した所を見廻り[掃除機使わなかったのか?]と訊いた和香菜は首を横に振り[使わなかった]と言われ眉を顰め小さく苦笑して掃除機が置いてある納戸へ行き近くのコンセントに挿して全部の部屋に掃除機を掛けたこれで近所になんの疑いも持たないだろうと慶大は思った

俺には現在一番タイプの女の子が居るその娘は偶然なのか必然なのかよく俺の行き付けのお店に現れているが一度も声をかけた事が無いなぜなら俺はかなりの臆病で素直な気持ちを表す事が出来無いのであるだから遠くの方で俺は全く叶いもしないあの娘にちょっと夢を見させて貰っているそして何よりも最強に冴えない男で通ってしまっている<カフェ&バーレストラン>店内は毎日パーティーのように賑わっているが今日はほんの少しだけ空いている様に見えるなんとなく俺は今日のような程良く空いている方が好きである[いらっしゃいませ恐れ入りますが1名様で宜しかったですか?]と女性店員と訊ねられ[えぇ]と俺が言うと[ではこちらへどうぞ]と言って女性店員に案内された席は初めて座る席だった不意に[ここは良い席ですね]と言うと[えぇここは大人気の席なんでここに座られたお客様方はとてもラッキーなのかもしれません]と言われこっちまで笑顔になれ暫くここから眺める風景を観察したまだあの娘は居ないみたいだするとそこへ一組の団体客がやって来たそれも女子8人組[これから女子会でも始まるのだろうか]と俺は心の中で思い小さく呟いた[すみません予約していた花柳なんですが]と代表するように1人の女性が女性店員を見付け声をかけた声をかけられた女性店員は平然と[いらっしゃいませご予約の花柳様ですねこちらへどうぞ]と言い席を案内したそんな他愛も無い会話を聞き流して俺はメニュー表に目を通していたその団体にあの娘が居るとは知らずに俺は呑気に一人の時間を楽しもうとしていたそれが良かったのか悪かったのかは現在になっても分からないけど気が付かなくて良かったのかもしれない気付いていたらもう二度とあの娘と会う機会を失ってしまっていたのかもしれないから再び一組の団体客がやって来たそれも男性8人組[これからあの8組の女性と合コンする気なのだろうかどう見ても2~3人外れっぽい気がしてならないんだけど取り敢えず埋めたのだから凄いや]と俺は心の中で思い感心した[はじめましてお忙しいのに今夜はありがとうございます]等と業とらしい様な出迎え方をする声が聞こえ別に俺には関係も無いのに不意に首を傾げ残念という意味を込めた苦笑いが出てしまったそして各々席に着きメニュー表を見始めるここで各々の性格等が出る抜け駆け無しと言いつつ競争心出しまくりであるそういうの何度か見聞きしてきたからなんとなくだが分かってしまうでも現在はどうでも良いそれにしても今日は遅い気がするいつもだったらこの時間帯に来る筈なのにもしかしたら今日はこことは違う行き付けで食事しているのかもしれないまぁそんな日が有っても良いなんの支障も無い勝手に俺が恋のような物をしているだけなのだから[すみませんオーダーしても良いですか?]と俺が言うと男性店員が[はいただいま]と爽やかに言い天糊複写会計伝票を持って現れ[ご注文をどうぞ]と社交的な笑顔で言われ俺は[オーナーオリジナリティおまかせコースで]と言うと[畏まりました少々お待ち下さいませ]と言い会計伝票の1枚を切り伏せ置いて行った暫く待っていると[お待たせしましたオーナーオリジナリティおまかせコースですまずはこちらのスモークサーモンを使った前菜でございます続きましてこちらがオーガニックサラダでございますそしてこちらが濃厚ボルシチ風スープでございますそれからこちら2種の白身魚を使いましたグラタンでございますお口直し後の物はお召し上がりになられた後にお持ちしますのでごゆっくりどうぞ]と言って去って行った落ち着いた雰囲気が心地良くちょっとの間長居してしまいそうであるが長居は恐れという言葉があるように閉店時間になってしまったら出ていかなければならない今日はあの娘も来ないみたいだし食事が終わったら真っ直ぐ帰ろうと俺は密かにそう思ったその一方そんな事など露知らずの私は同僚の頼みで別に興味が無い合コンに誘われてしまった何気無い[ねぇ優依今日空いてる?]と同僚の竹腰陽乃花に訊かれなんの疑いもなく二つ返事をしたのが間違いだったまさかの合コン[あぁなんて事を]と改めて自分を責めずには居られなかったが今更ながら断る理由なんて思い付かないのが正直な所でありまぁ仕方が無い今日はじっと我慢してこの場をなんとか遣り過ごそうと思い行き付けのカフェ&バーレストランに着いてしまった[すみません予約していた花柳なんですが]と代表するように花柳琴未が女性店員を見付け声をかけた声をかけられた女性店員は平然と[いらっしゃいませご予約の花柳様ですねこちらへどうぞ]と言い席を案内された私はふと大人気の席である席の方を見たこのレストランではあそこの席に座られたお客様方のほぼほぼはとてもラッキーなのかもしれませんと言われている私は未だに一度も案内された事が無くいつも羨ましく思っている今日のお客さんはなんとなくではあるが第一印象は笑顔が素敵な男性だったそれでも一瞬目が合った気がしたけれども気のせいなんだと落ち込んでしまった[ねぇ優依どこに座る?]と陽乃花に言われ一番目立たない手前側の席に座ったここからだとあの人気の席が少しだけ見えるでもなんでだろう今日は妙にあの席に座りたいと思っているのはと考える間も無く男性8人が到着し各々席に着いた私から見てどう見ても2~3人は外れっぽい気がしてならないまぁそんな事はどうだって良い私の任務は1秒でも早くこの空間を抜け出す事だけそれだけで良いのだと言い聞かせ大人しくしていたそして自己紹介の番が来て[板野優依です宜しくお願いします]とちょっとだけ聞こえそうな声で言って照れ臭そうにうつ向くと陽乃花が[ごめんなさいねぇこの子合コン初めてでなもんで]と言いいつになくニコニコしていた別に私はまだ恋愛の"れ"の字も興味が無いって言うのにそんな事を思っていると一人の男性が私に[あの板野さんはどんな呼び方が好き?やっぱり優依ちゃんとか?]と訊かれ私は表情を曇らせ[キモい]と呟いてしまったそれが聞こえた周りはたぶん顔を見合せただろうけれども私はそのまま伝えてしまった[あぁ私実は男性に"ちゃん"付けされるの大嫌いなんですよねだって気持ち悪いじゃないですか別にホステスとかじゃないのに]と言うとその場の空気を少しだけ変わってしまったので気を取り直しのように鉄板的なゲームを始めた再び私はあの席の方を見たまだ男性が座ってる様子でしかも単品で注文した物なのかコース料理で注文した物なのか分からないがテーブルの上に置いてある私は少しだけ羨ましく思え小さくため息が出てしまい左掌で頬杖を付いて[あぁ早く帰りたいなぁ]と思いながらお酒を飲むスピードが少しずつではあるが早くなってしまっていたそれに気が付いたのは時々私の様子を気にしていた浅原彩綺だった[優依さん少し飲み過ぎですよ]と言われても私的にはまだ酔えていない事がなんとなく分かったけれど周りにこれ以上迷惑を掛けたくないので仕方が無くここでちょっとした茶番は辞めておいて何かを閃いたように[ちょっとお手洗いに]と言ってお手洗いの方向へと行った中は洗面所など全て広々としていて綺麗だったこの時私は初めて行き付けなのに手洗い場がこんなに綺麗だったっていう事は全く知らなかったのかもしれないと思ったそして用が終わり席に戻ると私に気付いていないのか[優依誰を選ぶのかな?]と話し合っていた私はふと頭の中で呟いた[もしかしたらこの人達は私が恋愛に興味を示さないから無理矢理に連れてきたっていう事なのだろうかそうだとしたらそのまま帰ろう]とそうと決まれば意を決して[あのさっき親戚から電話が来てちょっと行かなきゃいけなくなったんで申し訳無いんですが先に帰りますねあっそれとお金はここに置いて置きますんで]と言ってそそくさと店を出てしまったそれを全く知らない俺は後半のおまかせコースの料理を食べ進めていた時々あの娘が来たのかと目で追って探しながら…って俺はストーカーかなにかかよと気が付いた時には既に食事は終わっていた[仕方が無い今日は帰ろう]と思いレジカウンターでお会計をし店を出たしかしどういう訳かこのまま真っ直ぐ家に帰る気分にはなれなくなって近くのホビーショップに行く事にした目的は4Fの少年.青年コーナーここへは月に2回の頻度で立ち寄っている特に買っているジャンルや系統は色々有るけど最近は…小説とコミック全般で割りと穏やかな描写が多いまぁ…部屋に置く数を決めておいて多からずともこっそり読みたい物も買っているこの時間は閉店時間間近なせいか疎ら過ぎる位人通りが少なく誰がどこに居るのかはふらっと歩けば分かるようだった取り敢えず中編小説を4冊買う事にしようと思いその棚へと向かい暫く悩んでレジカウンターに持って行った[いらっしゃいませ]と研修中のアルバイト店員が言った内心[良かったぁこっそり読みたい物を買わなくって]と思ったのもつかの間1冊だけ紛れて混んでいたらしくそれに気づいたのはレジを打ち終えた時だったこのまま[あっごめんなさいお金が足りなかったのでこれ辞めます]なんていう事を言えばそれを買わなくて済む筈なのだが1冊だけ捨てようか迷っている物が有り良い機会かもしれないと思い丁度の金額を出しレシートも貰って店を出たその頃行き付けのお店を出た私は1人レンタルビデオチェーンストアで邦画ドラマを借りようと選んでいたそれにしてもここの商店街はとても便利である500km圏内に少しマニアックなお店が立ち並んでいるのだから楽しめない筈がないそれにコミュニティの場には最適であるでも私にはコミュニティの場面ではまだそういう人達と上手く溶け込めないでいるその時とっさ的に[あっすみません]と言って誰かの肩に当たってしまったようだ当たった人も[こちらの方こそごめんなさいお怪我はないですか?]と私に訊ねるので[えぇ大丈夫です]と言うと[そうですか]と言って去って行ったまるでどこかで会ったような体型の人物だったが思い出せずそのままときめきそうな中古のDVDを探し回り結局選んだ物はちょっと前まで観ていたドラマばかりだったその時ふと思い出したように何気なく左手の手相を見詰め[恋愛線が重なる日まであと何年掛かるのでしょうか]と呟き各々の家路を急いで行った数日後今日の私は休日を迎えたのだがどこかへ行く計画も無く一人ノベライズ小説を読んでいた少し遠くの方では特別急行の列車が静かに通り過ぎて行く音を聴きスーパーマーケットの業務連絡の声はどことなく特徴的な雰囲気がかも出していて職場には無い空気と時間が流れている事を感じられ毎週2回だけがとても新鮮であるすると携帯電話の着信音が鳴り響き携帯電話を手に取り受信口に耳を当て[もしもし]と言うと[もしもし優依元気にしている?]と女性の声が聞こえたその声に聞き覚えがあった伯母の罹荏の声だった[あっ罹荏さんうん元気だよ]と言うと[そうそれは良かった今ね私仕事中なんだけどちょっと仕事に付き合ってほしいの内容は凄く簡単な様だけどちょっと訊き難い事なんだぁ]と言われ[なにそれ?]とも思ったが[案外結構楽しそうなのかもしれない]というなんの根拠も無い軽い気持ちで罹荏の仕事に付き合う事にした[好きなタイプは?サディスティック?マゾヒスティック?]と罹荏に訊かれ[別にサディスティックもマゾヒスティックもどちらも好きだよ]と優依が答えると[そうなの?]と罹荏に驚かれ続けて[案外ビタースイートな人がお好きなのね]と言われてしまい[まぁね]と優依は言うしかなかった[じゃあ次は[サディスティック]の方から好きなタイプは?ミステリアス?なんでも話してくれる?]と罹荏に訊かれ[なんでも話してくれる]と優依が答えると[ほぉ~]と罹荏が言いそれからニヤけた表情を浮かべ[じゃあ次は[マゾヒスティック]の方を好きなタイプは?しっかり者?少し甘えん坊?]と罹荏に訊かれ[しっかり者]と優依が答えると[やっぱりねぇそうだと思ったわ優依はそういう人しか選ばない気がするもん]と罹荏に言われ[そんな事ないよ理想はそういう人だけど実際違う事ぐらいあるかも知れないし…でもチャラい人はどうしても嫌だなぁ]と言い続けて[神様どうかお願いしますチャラい人は絶対やめて下さい]と優依は電話越しで神頼みをするかのように言うと罹荏はケラケラと笑い[願いが叶うと良いね]と言い[次はえーと[なんでも話してくれる]を選んだから好きを行動で表して欲しいタイプ?好きを言葉にして欲しいタイプ?]と罹荏に訊かれ[出来れば行動で表して欲しいけど時々言葉にして欲しいかも]と優依が答えると[優依の理想って意外と可愛いかもしれない]と罹荏が悶絶してしまった[じゃあ次に行くね[しっかり者]を選んだからどんな人がタイプ?溢れ出る男性(女性)らしさがタイプ?不意に出る可愛らしさがある男性(女性)がタイプ?]と罹荏に訊かれ[まさに不意に出る可愛らしさがある男性(女性)]と優依が答えると[なんとなく優依の理想の人ってかなり良い人っぽいって思えるんだけど]と罹荏が言うと[そうかなぁ?別に私はそうは思わないけど?]と優依がさっぱりとした答え方をされ罹荏は[ふーんそう]と言い[じゃあ次は[不意に出る可愛らしさがある男性(女性)]を選んだから人には頼りたいタイプ?頼られたいタイプ?]と罹荏に訊かれここに来て少し悩んでしまった様で少しの間無言になり[うーん分かんないや頼られたいし頼りたい気もするもん]と答えた瞬間罹荏が[あーこれでもう確定な気がする最後の質問どちらか選んでも優依の理想とする人は真面目でピュアな人だ]と言われ[えー本当に?まだ分かんないじゃん]と言うと[えーじゃあ最後の質問[頼りたい]を選んだからどっちに惹かれる?音楽に携わっている人?文芸や芸術に携わっている人?]と罹荏に訊かれ即答で[文芸や芸術に携わっている人?]と優依が答えると罹荏はそのまま[次で本当に最後の質問[頼られたい]を選んだからその人は努力肌の人?天才肌の人?]と罹荏が訊くとこれまた即答で[努力肌の人]と優依は答えると[やっぱり優依の理想とする人は真面目でピュアな人だったじゃない往生際が悪いわよ]と罹荏に言われ[そっかぁ私そういう人がタイプなんだでも条件に合った人なんてそうそう居なさそうだなぁ]と苦笑いをした[大丈夫よ優依いつの日にかそういう人にきっと巡り合わせてくれる筈よ]と罹荏に言われ[逢えると良いのだが]という表情を浮かべるのであった[あれ?もぉ私たらサディスティックの方途中だったじゃない仕方が無いマゾヒスティックの結論は[真面目でピュアな人]に決定次にサディスティックの方の結論を決めよう]と罹荏に言われ[えーサディスティックの方もするの?]と優依は呆れた口調で言うと[当たり前じゃない両方好きなんでしょ?すぐ終わるわよ]と罹荏に言われ優依は1つ溜め息を吐き[分かったわよ]と渋々付き合う事にした[えーと[サディスティック]を選んで次に[なんでも話してくれる]を選んでその次にあぁ[行動と言葉]を同時に選んだからじゃあ続きね[好きを行動で表して欲しい]を選んだからどっち派?犬派?猫派?]と罹荏に訊かれ即答で[犬派]と優依が答えると[やっぱりね]と言い罹荏はそのまま次の質問をした[次に[犬派]を選んだから次は年下は好きなタイプ?嫌いなタイプ?]と罹荏に訊かれこれまた即答で[年下は苦手かな]と優依が答えると[そっかぁ年下は意外にも苦手なんだね]と言い続けて[次[年下は嫌いなタイプ]を選んだからどっち派?黒髪派?茶髪派?]と罹荏に訊かれ[黒髪はかな茶髪も良いとは思うけど濃い方を選んじゃうから黒髪がベスト]と優依が答えると[優依の理想とする人はポンコツだけど格好良く学校や職場で1番のイケメンな人に決定]と罹荏に言われ優依はどんどん自分の理想とする人が変人に思えてきてしまっていた[次で本当に好きなタイプが決定されるわね優依はどんな人を選ぶのかしら楽しみだわ]と言いながら次[好きを言葉で表して欲しい]を選んだから必要なのは?豪快さ?包容力?]と罹荏に訊かれ即答で[包容力]と優依が答えると[やっぱりね]と言い罹荏はそのまま次の質問をした[次に[包容力]を選んだから次は好きなタイプは?ヤンチャな人?真面目な人]と罹荏に訊かれこれまた即答で[真面目な人]と優依が答えると[これで優依の本当に理想とする人が決まったわ結論[ポンコツだけど格好良くて学校や職場で1番のイケメンなんだけどクールで超絶一途な一面が有ってとにかく真面目でピュアな人が理想的なんだよ]と罹荏に言われ[自分理想がちょっと高いのかな?でも良いっかこれで真面目で一途な所が理想なんだって分かればまぁそうそうにそんな人に出逢える訳無いんだし]と思いながら罹荏の言葉を受け流したその一方であの娘が数時間前に親戚とそんな会話をしていた事を知らない俺は見ず知らずの占い師の勧誘に付き合わせられそうになっていた[あのぉ突然なんですが貴方を占っても宜しいでしょうか?]と言って声を掛けられた[いや別にいいですそういうのあまり興味持てないですから]と言うと[大丈夫です一切お金は頂きませんからどうか貴方を占わせて下さい]と言われても[本当に結構ですから]と言い避けて歩くのだがどこまででも追って来て[お願いします占わせて下さい今占っておいた方が貴方はきっと運気が上がりますよ]と言われてもピンっと来なかったし[商売下手だな]としか思わなかった最後とばかりにいきなりその占い師は[じゃあ貴方は好きな人が居ますか?]と訊かれ足が不意に止まってしまいそして脳裏には想像だけで映し出されたあの娘が楽しそうに笑っている静止画のような物がはっきりと浮かんだ瞬間[会いたい]と小さく呟いていた[居るんですね?好きな人]と占い師がワクワクした表情を浮かべて訊ねられ[関係無いでしょ]と俺は思いつつも素っ気なく手を出すと[いえ私は手相専門ではございません名前と生年月日それから人相や心理が専門でして]と占い師に言われ出した手を引っ込め[本当に私の運気が上がるんですか?]と俺が訊くと占い師は[勿論]と言われ[どこから来るんだろうその自信は?]と思い思わずとっさに頭の中で浮かんだ[じゃあ試しに私の友人の事を占って貰えませんか?そしたら貴方の事を信じましょう]と俺が言うと[解りましたその方のお名前は?]と占い師に訊ねられ[篠﨑剛志]と俺が言い名刺を見せると占い師はA6ぐらいのメモ帳に記していくそして俺は名刺の裏を返したそこにはご親切に誕生日とかちょっと個人情報に引っ掛かりそうな事も書いてあるそれを見て占い師は一言[この剛志さんかなりオープンな方ですね]と言ったので俺は然り気無く[いやいやこの読み方は[たけし]ではなくて[つよし]なんです]と言うと[あっすみません]と言い再度[この剛志さんかなりオープンな方ですね]と占い師に言われ[えぇそうなんですよとにかくマイペース過ぎていてこっちがハラハラする事も多いです]と俺が言うと[でしょうねしかも嫉妬深そうだけれどもこの剛志さんはですね辛い時でもマイペースなんですよ苦労を苦労と思わない気ままなタイプ交遊関係でも気儘さを発揮して人の悩みを吹き飛ばしてしまう明るさを持っていて地に足がついていないようなふわふわとしている所が有りのらりくらりと状況を乗り越えて行くリーダーっていうよりは補佐役な助力を行うのが向いている人物だから自分から行動する事が出来ず受け身になりがちなるようになるという気楽さが危機意識の低さを招いてしまっていますねまた掴み所が無い為に真剣味に欠けていると思われてしまう事も運勢は急変が多く安定していても突然急落してしまう事が有るみたいなので現在が良いからといって気を抜いていると財産や健康などさまざまなものを失ってしまう可能性があるので注意が必要ですね]と占い師に言われ俺は[そんな事あり得ませんよ剛志は俺と違って明るいですよ]と言うと[それは誕生日に表れているのかもしれません後で占います]と言い[アドバイスとしては向上心を持って物事を真剣に捉えて慎重に行動する事が大切でありなるようになるという考えだけではなくどうにかする努力を自分でしていく事が重要で他の画数が良ければ長所を伸ばす事も出来るそうお伝え下さい]と言われ俺は眉を潜め立ち去ろうとしたのだが[次に誕生日なんですが1月23日に生まれた剛志さんは直感的でありながら実践的な考えが身に付いている為溢れ出る想像力を実地の仕事に活かし成功させる能力を持っていますね自分の閃きを基に理想を現実の物にしようとする為の努力は惜しみませんそんな姿勢と剛志さん自身の気さくで親しみやすい性格は周囲に人を集めますただ理想を叶える途中で邪魔になると感じた人物には徹底的に排除しようとしてしまう傾向があるため集団の雰囲気を壊さないように注意が必要です障害も夢の達成の為に必要なステップだと捉えるべきでしょう多芸多才なため自分自身に自信があり独立心が旺盛ですそのため何事も1人でやり遂げようとする傾向がありますが剛志さんの周りの友人を上手く活用する事で多くの利益が得られるでしょうあなたの持ち前の社交性で人脈を広げる事が才能の幅を広げます水瓶座の特徴ともいえる変化を求める性格のため単調な仕事は苦手なようとはいえ些細なミスも許さない几帳面な側面も持ち合わせているため個別の対応が求められるカウンセリンラーや人材コンサルタントなど人と関わる仕事がむいているでしょう活発で独立心冒険心にあふれどんな場面においても持ち前の発想力で乗り切る力をもっているため実は探検家にも向いているんです相手の性格や考えている事をピタリと当てる力があるため仕事においても人間関係においても相手に寄り添った対応が出来そうですただ感じたことをそのまま伝えるのは考えもの相手に良かれと思ってした発言でも内容によっては傷つけてしまう場合があります自分の価値観を押しつけないようにしましょう1月23日生まれの剛志さんの運気や運勢は仕事においても人間関係においてもとにかく変化が大きいと言えますね仕事熱心で責任感も十分あるため就いた仕事では成果を発揮出来若い頃からでも周囲の評価が得られるでしょうしかし自分自身で目標を達成したと感じると他の環境に行って力試しをしたくなるのがこのタイプ一生を通じて転職を繰り返す人も多くタイミングを外した場合は転職活動で苦労をしてしまいがちで旅行や保険に関連した仕事が剛志さんには向いているようですね30歳を越えた辺りから少し仕事で行き詰る可能性も見て取れます精神的に追い込められた時丁度上昇中の恋愛運や高い位置にある金運に影響を与え兼ね無いのでその点を留意しておいてください無理にでも楽観的に気持ちを持っていきましょう仕事運の低下が持ち直る切っ掛けは周囲のサポートです協力を得てさらなる利益を生み出す能力へと変えることができるでしょう成果を残すことができるため仕事を持っている間は収入面で困ることはありませんただし晩年期にはお金との縁が薄くなるため若いうちから備えをしておく必要があるでしょう30歳の手前で恋愛運が落ち込むでしょうが全く気にしなくて良いでしょう30歳から50歳の頃まで恋愛運はずっと上り調子になります自分からの告白はほぼ成功言い寄ってくる相手も数知れずこの時の出逢いの中から吟味して結婚を決めてしまっても良いでしょう]と言われても俺は[あぁ…そうですか]と更に素っ気無い口調しか出来なく[もう結構ですやっぱり俺は占いには興味無いですから]と言いその占い師に対して1000円だけを出してその場を後にしその足で剛志が暮らすマンションへと向かった自動扉が開きマンションのIDパスワードを押すと奥へと続く自動扉が開きそこを右へと歩くとエレベーターがあり下段の部分を押して表示した程無くしてエレベーターが降りて来て扉が開き俺は乗った所で直ぐに扉が閉められ5を押した上昇する音を聴きながら目的の5Fに着き右側の扉の前に立ちインターホンを押し[おーい剛志居る?]と俺は声を掛けたすると奥から小さく足音が聞こえ施錠されていた鍵を解錠した音に変わりそれと平行にドアが開き男性が出てきた[おぉ浩文かいらっしゃい入れよ]といつものように低い声で剛志が中に入るよう促され[お邪魔します]と言い俺は奥に進んで行きローテーブルの所で立ち止まりそのまま座ったすると数枚のメモ用紙が無造作に散らばっている[何これ?]と俺は思い1枚ずつ見ていくとそこに書かれていたのは小数点が入った数字でその中で13.9~15.8?3.9~5.0?3.7~4.5?と書いてある物がちょっと気になったすると家主である剛志が[それ俺の妹が理想とする竿の大きさらしいよ]と言われ俺は[あれ?悳珂ちゃん釣りとか好きだっけ?]と訊いてしまったすると剛志が口に含んだビールを一気に吹き出し[お前何言っているんだよって言うか本気で言っているのか?まぁビールをいきなり吹き出す俺の方が相当変なのかもしれないけど違うよ妹が釣りとかしている訳では無いまぁその…なんだあれだよ何て言うか…種袋って言うか…]と剛志が恥ずかしそうに口を濁しているのを見て俺は[あぁ…そっちか…]と心の中で納得したそれを余所に剛志はお構い無く話を続ける[妹に彼氏が出来たという報告が来てさ最初は何気無い世間話だったんだけどそのうち下ネタっぽい話題に変わっていってそれで遠回しに訊いたら意外にも巨根好きが判明しちゃってさなんって言うか…兄妹っていう関係性なのになんか…負けた気がして…]と項垂れて小さな溜め息が漏れたそれを聞いた俺は[ショックなのは分からなくはないけどそれって女性も同じじゃないの?だってそうだろう女性から見た俺ら男性のイメージは全員おっぱい星人だって思われても何ら可笑しくもなんともない現におっぱい星人だしお尻星人だけどさ全部が全部好ましいサイズって人各々だろうたまたま悳珂ちゃんが巨根が好ましいって感じているだけで実際の彼氏が巨根だなんて身ぐるみ取らないと分からないじゃないかまぁごく稀の拍子で女性みたいに分かる事もあるけど]と言うと剛志は[あぁそれでも嫌なんだよ]と言い悶えるその情け無さを横目に俺はあの娘を思い浮かべてみた遠目で見た感じではあるが本当に可愛くて仕方が無い誰かに[どこが?]と問われたら返す答えが出てこない事に気付きそれ以上何も言わないようにするがまた思い浮かべたり会ったりしたら未だ何も知らない人物なのに再びその感情が出てくるのだおっと現在はこの気持ちが悪い剛志の悶えをなんとかしなければならないしかし話題が何も無いどうしたら良いだろうかそうださっきそこで会った占い師の話をしようと思い剛志に話し掛けた[なぁさっきそこで占い師が居てさ]と俺が言うと[占い師?なんで?]と剛志に訊ねられ俺は[さぁそこまでは分からないけどたまたま通り掛かった俺に[あのぉ突然なんですが貴方を占って良いですか?]なんて声を掛けて来たんだよ]と言うと剛志は[えっ?そいつスーツ着て太い眉でなかった?]と再び訊ねられ俺は足りない脳を回転させよく思い出そうとしていた[あぁそうかもそいつ]と言うと[俺も2日前にそいつに[あのぉ突然なんですが貴方を占って良いですか?]って言われたんだよ]と言われ[そうなんだあいつあそこを溜まり場にしたのかな?]と言うと[そうかもなでも会う度に[あのぉ突然なんですが貴方を占って良いですか?]って言われたらたまった物じゃないよな]と言われ[あぁ]と答えた[ところで占ってもらったのかよ?]と言われ[いやあまりにあいつがしつこかったからお前を占ってもらった]と言うと[俺もお前を占ってもらった]と言われ[そうなのかよ]と落胆した声を出したにも拘わらず尚も俺を落胆させるワードが出てきたそれは対人関係である俺は幼少期からあまり両親や兄弟以外の他人と交わる事を拒絶してきたそのお陰で学生時代のクラスメートや教師もお手上げで関わる事は全くせず現在までに至るっていう所であるそれでも剛志はずっと諦めず俺と友人を続けている本人曰く[別に大した事の無い困り事に他人である俺らがとやかく言うのは可笑しいとは思わないのはかなりの無神経な人物だよな誰にだって苦手な物は苦手っていうのはあるっていうのにさそんなしょうもない事言えるのは苦手も何も無くしてから言えよって思うんだ違うか?]と言われた瞬間本気で[この人物と友達になろう]って思えたのだってちょっとした青春ドラマに出て来そうな話なんてしている方が馬鹿馬鹿しいから話は戻すとして剛志の口から[俺もお前を占ってもらった]と言われ俺は[えっ?]と思わず小さく声が漏れてしまいそこから[そうなのかよ]と落胆した声を出すと剛志は[あぁしかもお前があまり得意では無い対人関係とか仕事運とかの全般だよ]と言われ[なに余計な事を占わしたんだよ俺は自ら他人と離れた距離をとっているんだ]と俺が言うと[もうさ自分一人で何でもするなんて限度が有る事知っているだろいい加減他人と混じれ社会人だろうが]と剛志に言われたが元々占いに興味が持てない俺の何が分かるっていうのかと思うくらい全く占いに理解が出来なかった[なぁ浩文その占い師によると多分だけどももうすぐお前恋人が出来るみたいだぞきっかけはあまり詳しく覚えてはいないけどその人とは必ず上手くいくって言っていたような気がするって言っていたなっていうかさお前現在好きな人居るのかよ?]と訊かれ俺は躊躇った[居る]って言ったら剛志は素直に喜んでくれるだろうか?それとも嘆いてそれ以上に関係を断ってしまうだろうか?と少し悩んだ末俺は意を決して[居ないよ居るわけ無い]と自分の素直な気持ちを偽ってしまった[そうだよなお前の辞書と教科書には他人と交わるといった様な言葉は全部載っていない筈だよなそれだったら所詮数項の冊子程度の紙切れを取り出して全てを見渡すだけで済むか]と言って小さく笑われたが俺は心底誰とも関わりたくは無いと思っている多分一見すると織田信長の様な性格なのかもしれない実際信長がどんな人物だったのか全くと言って良い程分からないけどテレビなどに映し出される架空の信長は他人の本心なんて信じた相手にしか見せていないのだから他人を知ろうなんて信長は一生無理だっただろうと思うしかし俺の場合はどんな職業にしろほぼほぼの職種は他人と関わり知りたくもない出来事を色々と知っていきそれを纏めるっていう作業を毎日繰り返しているようなものでしかないそんな猜疑心の塊に近い人物に寄り付く人物なんてとんだ物好きな人物であるでももしもあの娘が俺の事に興味を持つようになってくれたら殊更嬉しいのだがってまだあの娘にとって俺は見知らぬ人物なのにそんな事を思うなんて馬鹿馬鹿しいにも程があるとまるで独り言のように頭の中で呟いた世間の間ではこの症状を[統合失調症]等の障害と疑われているかもしれないがそれは全く違う上手く説明が出来ないが俺は単純に思った事はどんなに善い事でも悪い事でも決して発しない事を心掛けているそしたら周りは次第に面倒な表情に変わり関わりは完全に無くなっていくのだ剛志以外は[それにお前このままずっと家族と仕事の仲間と疎遠になっていたら困り事が起きても更に状況が苦しくなる一方らしいよ]と剛志に言われても信じる事は出来なかったその一方私には世間ではよく知られているヲタクで言う推しキャラが沢山いるのだがその多くは年上で20位圏内の人気がある人物を選んでしまう[やっぱり鶴瀬徹也って良いよなぁ]とテレビドラマの予告編を観ながら今日仕事帰りに買ってきたチルドカップティーを飲んでいると着信音が鳴ったまた合コンの話だろうか行かないって言っているのにしつこ過ぎるどうせ私を笑い物にしたいくせにそれを見せないようにするのがかなりあざといと言うべきだろう別に[彼氏が欲しくはない]なんてこの人生を生きてきて数回有ったのかもしれないがでもただ出会わなかっただけで感じなかっただけでこんなにも心配とか蔑まされなければならないのかそんなに恋愛してこなかった人々は不幸だったっけ?いや大半の人々は恐らく幸せだと思うなのにこの人々は何なんだろう?[馬鹿馬鹿しい]という言葉が正しい気がするくらい腹立たしいしかし私がとやかく思った所ですっきりする訳でもないのだここはグッと堪えて電話に出る事にした[もしもし]と私が言うと[もしもしなぁんだ居るじゃん]と受話器の向こう側に居る相手がそう言って話を続ける[ねぇこの間の合コンで出会った蔵敷さんっていう人が優依の事もっと知りたいって言っているんだけど]と言われ私はその蔵敷という人物の印象を思い出したが理想とはかなり掛け離れていて一瞬で[きっとこの人とは別れるだろうな]と思ってしまった一人である[ごめん私その人とは付き合わない何となくだけど直感的に反りが合わなさそうだもん]と私が言うと電話の相手は[えーそんなの軽く合わせておけば良いじゃんこれは優依が幸せになる為に必要な事だよ今手に入れないでいつ手に入れるのよ]と言われ私は内心[そんな事貴女には関わり無いじゃない]なんて私は密かに言いたかったがやめる事にし電話の相手は私の気など全く気にもせずに[とにかく試しに友達として付き合ってみなよ案外相性良かったりするんじゃない?]と言われ電話越しではあるが私は乗り気では無い表情を浮かべて[友達ねぇ…それでも私あの人には逢いたくはないわ]と私が告げると[そんなの惜しいと思うよせっかく[君の事もっと知りたいです]って言ってくれているのに[ごめんなさい出来ません]なんて失礼なんじゃない?]と言われ[いや本当に直感的に[きっとこの人とは別れるだろうな]って思ったんだもん別れるって分かっているのに付き合う事なんて私にはとてもじゃないけど出来ないよ]と私が言うと[そう分かったそこまで言うなら仕方がないね]と電話越しで男性の声が聞こえ私は[はっ]としとっさに電話を離した[もしもしごめんね突然声が変わって驚いたよねその前にこの間は来てくれてありがとう君が来てくれて俺は凄く楽しかっただからどうしても君の声が聞きたくて今日國分さんにお願いしたんだ本当はこんな事してはいけなかった事は分かっているんだけど…っていうかまだ初対面っていう位置なのに気持ちが抑えられなくって本当にごめんなさい]と言われ電話越しで目を伏せ[私の方こそごめんなさい]と言うと[良いんです君がそう思ったのなら端からご縁がなかったんだだから謝らないで]と言って電話が切れてしまったその一方俺はなぜだか体調を崩してしまっていた剛志の家から出てもう既に3時間が経過しており会社に電話を入れても良かったのだが期日が迫っている案件が少々溜まっている為それを完璧に終わらせる一心ではあったしかし限界が少しずつではあるが忍び寄っている気もしなくはないそれでもさすがにこれぐらいの事で休むなんて出来ないと奮い立たせ会社へと足を向けようやく会社の周辺ぐらいに近づいて来た地点で突然目の前の風景がスローモーションで真っ暗になった何が起きたか全く分からず気持ちだけが落ち着かないその時誰かの声が聞こえた気がしたたぶん声からして女性だろうでもどんどん小さく聞こえこれは正しく意識が遠退くっていう物だとはっきり分かりそれよりも[このまま儚く散ってしまうのだろうかもう少しの所で会社に着けた筈なのに]と無駄に終わった様な虚しい気持ちでそう思ったその一方私も会社に向かっている途中であって現在信号待ちであるあのいっけんで周囲は私を誘う事はしなくなり半ばホッと胸を撫で下ろしているそれでもとてもじゃないが清々しく良い気分では無い事は確かで蔵敷さんに対してあんな振り方をしちゃったせいでもあるそのうちだんだんと辛くなって自主退職も有り得なくも無いくらい危うくなっている等と頭の中で巡らしていたその時目の前でスーツに身を包んだ男性が路上で膝から崩れ落ちた[えっ…倒れた?]と私は心の中で呟いた後だんだんと状況が分かり目を丸くし青に変わったタイミングで私は横断歩道を早足で渡りその男性に声をかけた[大丈夫ですか]と言ったのだが男性の返答が無く咄嗟に大きな身体をひっくり返して心臓の音を聞こうと男性の胸に耳を澄ました心臓の音は微かに聞こえたこういう場合何も出来ない事に少し無力感を感じてしまう物であるそう救急車を呼ぶ以外すではほぼ0%なのだ[あっそうだもう誰か救急車を呼んだのだろうか]と頭を過り辺りを見回したまだ救急車が来ていないようだ[どうしよう]と思いながら眉をひそめてその男性の顔を見たのだがまだ意識が戻っていないとにかく呼び掛けようと思い付くまま大きな声で話しかけてみたそれでも男性は目を覚まさないその時私の頭上から[もう良いでしょう君が憐れに見えて仕方ない]と言う声が降ってきたような気がして顔を上げ振り向くとラフな格好をした蔵敷さんだったが私は[そうですか]と冷めた声で言い視線を未だに目を覚まさない男性の方に移し声をかけ続けたそれを横で見ている蔵敷さんは痺れを切らして[もう始業時間になるんじゃないの?それに救急車もそろそろ到着する筈だろうし途中までだけど行こう]と蔵敷さんが言い私の手首を掴んで少し引き寄せようとしたのだが私はなぜかその場を動けなかった特にこの男性とはなんの接点も繋がりも無いというのに…ふとなにかを思い出しおもむろに携帯電話を取り出し番号を押した[はい越髙です]と中年の男性の声が聞こえたそう私の直属の上司である[あっ部長おはようございます板野なんですが]と私が言うと[おっ板野君どうしたんだい?]と訊ねられ[本当に就業時間ギリギリの時にすみませんえーと実は…今日お休みを頂きたくって]と私が申し訳なさそうに答えると[なに珍しい風邪でも曳いた?]と再び部長に訊ねられ[えぇ]と言うと[良いよ今日は有給休暇にして置くからゆっくり休んで]と言われ[あ…ありがとうございます]と言って電話を切るとまだ背後に蔵敷さんがそこに立っていた[ずる休みなんて良いご身分だ事]と言われ私はムスっとし[言い振らしたいのならご勝手にどうぞどうせもう退社しようと思っている所ですから]と言うと[俺そんなに嫌な男に見えます?]と訊かれ私は正直に答えた[えぇだからお断りしたんです]と言うとすぐ近くで[右に曲がりますご注意下さい右に曲がりますご注意下さい]と言う恐らくだが全国共通らしき機械音声が聞こえ再び辺りを見回すと真っ直ぐ近付いて来る救急車が見え[こっちです]と思わず私は叫んでしまっていたそれを睨むように横目で見詰めている蔵敷さんが[あぁ全然面白くない]と言ったのかもしれないが私は気にもしないようなふりをして救急車に運ばれる男性を見送ってその足で自分も病院へと行こうと思って何事もなかったかのようにその現場から離れた一人取り残された蔵敷さんは[待って]と言い私を追いかけ腕を掴んで[ねぇ休むんだったら俺と少し話をしない?]と言われ私は目が点になり[なんで?貴方仕事はどうするつもり?]と訊くと[今日は休むよこうして偶然でも君に再会出来たんだし]と言われ私は失望した溜め息が出て[私は話す事は何もないですそもそもなぜですか?私は貴方を振った相手なのにそう易々と近寄れるんですか?]と訊くと[それはたぶんまだ君に対して恋心を抱いているせいかなどうしても今君と一緒の時間を過ごしたいと思っているんだ迷惑かもしれないけど…]と言われそれに続けられる言葉を私は失ったが[そうですか分かりましたならば今日だけ貴方にお付き合いしましょうどこへ行きますか?]と言うとそれまで視線を落としていた蔵敷さんの表情がパァっと明るくなり[本当に?良いの?]と訊かれ[今日だけなら]と言い私は視線を落としたそんな事も気にも止めず蔵敷さんはまるで少し幼い子のようにウキウキした表情で[じゃあ博物館にしませんか?]と言われ[分かりましたそこにしましょう]と私が言うとさらに蔵敷さんは嬉しそうな表情をしそれがなぜか愛らしく思えて私は自然と笑ってしまったそれを見て蔵敷さんも笑ってくれた[なんで?]と訊ねてからではあるがその一方俺は一体自分の身がどんな状態なのか分からないまま真っ暗な所になのか全く答えが無い状況と言えば良いのかもう自分自身ではなにがなんだか言い難い事になっているに違いなかった[今…何時なんだろう…]と口にしたのか頭の中で呟いたのか分からないでも頭の中だから誰も教えてはもらえないのは確かであろうそれよりも今は[早く会社に行かなきゃ]と思い出して再び頭の中か口で呟いてもどこも真っ暗ままで自分自身の身体全体がどうなっているのか本当に分からずもどかしさで延々と苛ついていた[纐纈さんご気分はどうですか?]という男性の声が聞こえた今度はゆっくりかつしっかりと光が見えるようになっていた[どういう事だ?さっきまで何も見えていなかったのに今は周り全体が見えるっていうかここはどこなんだ?]と思ったするとそこへ女性が俺の心境を察してか[ここは病院ですよ貴方は今から約3時間前にここに運ばれたんですそこから慎重に精密検査を行わせられる為に少しの間だけ麻酔薬を使わせてもらいました]と言われ俺は[そういう事か]と心なしか納得してしまったそして女性の話は続き[ですので5日ほど入院して下さい]とさらっと言われ[これはとんでもない事になったなぁ]と小さく呟き両掌で顔面を覆ったまだ女性の話は続く[あと数分遅れていたら亡くなっていた事]や[ずっと呼び掛けていた人の事]それから[慌てて救急車を呼んでくれた人]などまるで全てを見ていたかのように話してくれたのだが俺にとってはあと数分遅れていたら亡くなっていた事以外そんな事はなんの興味も持てなかったそもそも最も意味が分からないのがずっと呼び掛けていた人物である延々と意識の無い俺に呼び続けていたんだとしたら顔に無数の唾液が飛び散っていた筈でそれが何より気持ち悪かったその一方私はあっという間に蔵敷さんとの時間が終わりそして急に取ってしまった病欠も終わりに差し掛かっている[やっと蔵敷さんから離れる事が出来た]と私はホッと胸を撫で下ろし近所の医院で診察してもらおうと立ち寄る事にした[仮病なのに病院なんて]と我ながら酷く笑えたし診断書に[異状なし]と書かれたらどうしようかとも脳裏の片隅で考えたそれでもそれをひっくるめて1日である事に変わり無いのだが今日の朝目の前で突然路上で膝から崩れ落ちたスーツに身を包んだ男性の安否がずっと気になっていたそれから月日は足早にかつ無情に流れて行き俺は無事退院を果たし仕事復帰も出来たそして私も坦々と仕事をしあの日の出来事は時々思い出しては消えて行くを繰り返していたもう二度と逢う事は無いと思って…<地下鉄鵜橈﨑>[曲線部通過の為揺れますのでご注意願います皆様地下鉄をご利用頂きまして誠に有り難う御座いますこの電車は燦里行きです…次は寨宮ですお降りの方は右扉が開きます…まもなく寨宮です降り口は右側が開きます開く扉とお足元にご注意願います受験にも資格にも強い合格率98.7%の予備校は寨宮大学予備校塾へお越しの方は4番出口が便利です]と車内アナウンスが流れている最中に地下鉄は発車した[あの君この間倒れていた人に大きな声で話しかけていたよね?]と見知らぬ男性に声をかけられた私は小さく[はい]と返事をしてしまいそれがかなり悪かった[そうなんだあれ真面目に面白かったぁなんて言うんだろう死にかけの人になに必死になっているんだろう的なっていうかそのまま死なせてあげれば良かったじゃん君本当に馬鹿みたいに見えたんですけどぉしかも相手可哀想にめちゃくちゃ君の唾がかかっていたと思うし本当に思い出すだけで笑えるわ]と見知らぬ男性に言われ私はこの男性の人格の悪さ等に吃驚し腹立たしいとも思えたがそこはグッと我慢をした確かにこの男性の言う通り相手側に多少であろうとも私自身の唾液が付着してしまったのは確実であるもしも自分が相手の立場であったなら物凄く嫌になってしまうかもしれないがそれでもあの場合どちらを選ぶかと考えたら人工マッサージは気が引けたなぜならば微かに心音が聞こえたような気がしたのだそれを知るよしもないこの男性には説明するだけでも私が疲れてしまいそうに感じただってそうである[そのまま死なせてあげれば良かったじゃん]という人に対して自らの命を軽んじて見られどれほど相手側が腹立たしいか想像も出来ないのだろうか?]と思っていたその時だった[もう良いでしょこの女性相当困っているじゃないか]とこれまた見知らぬ男性がずっと俯いている私の横で言ってくれたがあまりの恥ずかしさから私はその場を立ち去ろうと席を立つとその男性は[待って]と言い私の腕を強く掴まえ私は1回引き戻された[なにをするのだろう]と思いその男性を見てはっとしたあの日の男性だったのだ男性は無愛想に[その節はどうも無事に退院出来ましたよ]と言い項に手を回していた私は皮肉っぽい言い方で[そうですかそれは良かったです]と言うと男性は[あぁ]となんとも素っ気の無い相槌を打ち[それよりあの日の事を教えてくれないか俺はあの日友人の家を出て3時間経過していたんだそこからなぜだか体調を崩してしまっていた勿論会社に電話を入れても良かったのかもしれないのだけれども期日が迫っている案件が少々溜まっていた為それを完璧に終わらせる一心ではあったんだしかし限界が少しずつではあるが忍び寄っているような気もしなくはなくってそれでもさすがにこれぐらいの事で休むなんて出来ないと奮い立たせ会社へと足を向けようやく会社の周辺ぐらいに近づいて来た地点で突然目の前の風景がスローモーションで真っ暗になったんだ何が起きたか全く分からず気持ちだけが落ち着かなくってその時誰かの声が聞こえた気がしたんだたぶん声からして女性だろうなと思ったでもどんどんその声が小さく聞こえこれは正しく意識が遠退くっていう物だとはっきり分かってそれよりも[このまま儚く散ってしまうのだろうかもう少しの所で会社に着けた筈なのに]と馬鹿みたいだが無駄に終わった様な虚しい気持ちでそう思ったでだ君はなぜそこに居たの?]と訊ねられ私は[私も出勤途中だったんです直ぐ近くの横断歩道を渡って]と言うと男性は[そうか]と深く息を吸いそして深く息を吐き再び素っ気の無い相槌を打って[俺はどんな様子だった?]と訊ねた私は少しムッとしながらも[横断歩道から見えていましたよけど貴方凄い倒れ方していましたねあぁ人が膝から崩れ落ちるってこういう事なんだって分かるぐらいまるで文芸の一場面を観ているみたいでそりゃあ痛々しいって言ったらもうそういう時の他人ってなんて白状なんでしょう勿論極々一部の他人の行いの事ですけどあの日は偶然なんでしょうが残念ながら誰しもが貴方に気付く事も助け出す事もしなかったと思いますよ唯一出来たとしたら電話などで救急車を呼ぶ事ぐらいでしょうし私は咄嗟に走って貴方の場所まで行き多少であろうとも私自身の唾液が付着してしまったのは確実である[声をかける]っていう事をしてしまいましたからねもしも私が貴方の立場であったなら物凄く嫌になってしまうかもしれませんがそれでもあの場合どちらを選ぶかと考えたら人工マッサージは気が引けましたなぜならば微かに貴方の心音が聞こえたからです]というと男性は[はっ]とした表情をして[…もう結構よく分かったしなんと言ったら良いのか分からないが今回は本当にありがとう]と告げそそくさとその場を離れて行ってしまったそしてちょっとさっきまで私に絡んできた男性達もいつの間にかその場を立ち去っていた私はその男性の後ろ姿を横目で睨み付けそっぽを向いたその一方であの娘が俺に対して横目で睨み付けるほど怪訝な顔をしていた事を知らない俺は複雑な心境だったたまたま通り掛かったのがあの娘で本当に良かったでもずっと呼び掛けていた人物であるあの娘が延々と意識の無い俺に呼び続けていたんだとしたら顔に無数の唾液が飛び散っていた筈でそれが現在でも気持ち悪いと思ってしまうあの娘もそれに関して[もしも私が貴方の立場であったなら物凄く嫌になってしまうかもしれませんが]と言っていたやはりそうだろうな嫌に決まっているしかし[それでもあの場合どちらを選ぶかと考えたら人工マッサージは気が引けましたなぜならば微かに貴方の心音が聞こえたからです]とあの娘から言われた瞬間言葉を失ってしまったあの娘は突然倒れた見ず知らずの俺をひっくり返してまで心音を聞いてくれたんだ咄嗟の判断だったんだろうなぁっていうか背中でも聞ける筈なのになぁとなんか笑えたやはりあの娘は想像した通りの娘である可愛い気が溢れ過ぎているいやいや待てよ騙されてはいけないそもそも俺は幼少期からあまり両親や兄弟以外の他人と交わる事を拒絶してきたそのお陰で学生時代のクラスメートや教師もかなりお手上げで関わる事は全くせず現在までに至るっていう所であり赤の他人なんて心底誰とも関わりたくは無いと思っているタイプである多分一見すると織田信長の様な性格なのかもしれない実際信長がどんな人物だったのか全くと言って良い程分からないけどテレビなどに映し出される架空の信長は他人の本心なんて信じた相手にしか見せていないのだから他人を知ろうなんて信長は一生無理だっただろうと思うしかし俺の場合はどんな職業にしろほぼほぼの職種は他人と関わり知りたくもない出来事を色々と知っていきそれを纏めるっていう作業を毎日繰り返しているようなものでしかないそんな猜疑心の塊に近い人物に寄り付く人物なんてとんだ物好きな人物であると思っている人間がまともに恋愛なんて出来る訳がない諦めろ生涯そんな夢を見る物じゃないんだと言い聞かせ今まで通りかなり遠くの方で俺は全く叶いもしないあの娘にちょっと夢を見させて貰おうと強く思ったその一方で私はかなり腹が立っていたのか行き付けのバーに行く事にした[いらっしゃいませ]と高校生とも大学生ともとれる男性がカウンター側で立っていた私は[1人]と言い颯爽と歩きカウンターの一番端の方に座ったそこへバーテンダーの柏崎夢翡覩が[いらっしゃいませご注文は]と訊かれ私は財布を取り出し中身を覗き5,000円を差し出して[これで適当に作って貰えませんか]と言うと差し出された5,000円を見下ろし渋々受け取るように[かしこまりました]と言ってそれに似合った酒類や果物それから薬草と道具などを柏崎側のカウンターに置き無言でカクテルを作って行く[喧嘩]や[嫌気]それから[失望]と[予感]っていった所だろうか他にも色んな感情が有ってどこにもぶつける所がない事に悔しさだけがマグマのように滲み出されどろどろと流れていく[今夜はどうかなされたんですか?]と柏崎に訊ねられ私は[そうなんですよ凄く嫌な事が有って]と両肘をつけ少し顎に乗せた手は組んで言うと[そういう日も有って当然だと思いますよだってそうでしょ?天気予報のように毎日が晴れが続くなんてあり得ない事ですよ雨も降りゃあ曇りも有るんですからっていうか…知っています?国内では天気の種類15も有って国際では天気の種類96も有るんですよしかし我々という者はそれが許せないんでしょうねどうしても晴れという種類を求めてしまうまるで中学校の教科書に出て来る素顔同盟みたいな…って書いてある内容とは全く掛け離れてはいますけどつまり私が言いたいのは…相手の素顔も本音も受け入れて行くしかないんですそれが出来なくなるのならその空を見る意味がないっていう事と同じっていう事なんですよ]と柏崎が物凄く真剣な表情を浮かべながら言れてしまったのだが私はなんとなくその言葉を受け入れる事が出来ず注がれたグラスを次々と流し込み誰からも来る筈の無い携帯の画面を見詰め小さく溜め息を付いたあまりにも急に虚しくなって行き[自分はいったい何がしたいんだろう…]と呟いて思い立ったかのように帰り支度を始めた柏崎はその様子を横目に[やれやれ]というような表情を浮かべ作りかけのカクテルを排水溝に流したそしてタイミング良く同じ制服を身に付けた中年ぐらいだろうか?それぐらいの歳の男性が店に入って来て[どぉ?今日も誰か来てくれた?]と訊かれ[あぁ来ましたよ今すれ違いませんでした?女性と]と柏崎が言うと[さぁ見ていないなぁ]と言われ[そうですか]と言いテーブルに置かれたグラスを片付けようと丸盆に濡れ布巾を置きそれを片手にカウンターを出ると[俺も手伝うよ]と言ってグラスを手に取り丸盆に次々と置いていき濡れ布巾を手に取ってテーブルを拭いた[すみませんありがとうございます]と柏崎が言うと[良いって事よって俺ここの店長なんだから礼なんて言うなよ]と大きく笑ったその一方俺は自宅でめったに引っ張り出さないゲーム機を出してゲームをしていただけどいつも虚しい俺はなんの為に産まれなんの為に生きなんの為に働いてなんの為に…別に欲しくない筈のものを欲しがったのだろういっそのこと捨ててしまえば楽になれるでも捨てたら捨てたで後悔が生まれるのも物凄く嫌で仕方ないっていうかかなりのストレスがかかる現在がそうかもしれないふとあの日の事を思い出した剛志が使い古したこのゲーム機を持って帰って来た日の事をその日父は早めの帰宅をしていて俺が帰って来るのを心待ちにしていたらしいそしてゲーム機を持って帰って来た俺を見て[それはなんだ?]と父に訊かれ[ゲーム機だよクラスの子がもう要らなくなったから貰った]と俺が言うと[今すぐ返して来なさい]と父は真っ赤な顔で言われ俺はなぜか初めて父に反抗した無視をして家に上がり自室に持って行ったのだそしてそのゲーム機を押し入れに入れ一言[その子が返してって言い出すまで返さないし僕もそれまで触らないよ]と言った事で父は渋々だが了承したその後俺は爆発すれすれのストレスが溜まったらゲーム機を取り出してこうしてゲームをちょっぴりだが楽しんでいるこうしていれば少しは気が紛れ本来の自分自身に戻れる事に不思議と気持ちが和んだ別に欲しくない筈の物なのになぜそれを欲しがったのだろうかいっそのことどこかにきちんと捨ててしまえば楽になれたのかもしれないのに捨てられなかった俺はなんなんだろうか?未だに分からずにいて他人の気持ちを汲み取る?そんな事が出来たらそんなに俺は苦労はしていないとも思っているゲームを遣り始めて3時間が経った所でセーブをし再び元の場所に戻しておいて色々入った洗面器と着替えを抱え浴室へと行きシャワーを浴びた後に歯を磨いて床に就いて目を瞑った明日もいつも通りと思いながらその一方で私はこの日も仕事を休んでしまった昨日の飲み過ぎが仇となって返って来たのだ自宅のトイレからは一歩たりとも出られず嘔吐が続いて[このまま痩せ細ってしまうんじゃないか?]と正気では言わない言葉がとてつもなく生々しいあぁなんでこうなってしまったのだろう単に腹立たしかっただけだったのにこんな代償を払わされるなんて物凄くあり得ない事だし最も神を恨みたいくらい憎いとさえ思ってしまっていたしかしそんな事を思ったりしてみた所でこの現実が決して戻る訳でもない況してやここで頭を抱えてただただ嫌な事をループさせるのはお門違いでもある今日はとにかく大人しくしていようと思い立ち嘔吐が収まるまで壁に背を向けてぐったりと寄りかかる事にしたそれから何時間何分何秒経っただろうか?嘔吐は最初より大分落ち着いてきてやっと少し動けるようになった本当にお酒に相当弱い人間は安易に煽り酒や深酒などするものじゃないと改めて実感させられたそして時は無情にも1年が過ぎようとしていた<カフェ&バーレストラン>俺は6回程あの娘を見掛けてはいるがあれ以来声をかけた事は一度もないなんとなくまだ話しかけられる状況では無いと思っていたしそもそも内気な性格が災いし[どうせ…]という言葉が頭に浮かんで口から出そうになる事が多い実際その心の声が出て周りから白い目で見られた事が何度もあった[入らなかったらそこ避けて貰えませんか?]と俺が何気なく声をかけるとあの娘が[あっすみません]と言い開くドアの反対側に避けた俺はあの娘の俯いた顔を横目で流して[やっと見付けた]と言うとあの娘は[えっ]という表情をし顔を上げた[良かったらご飯一緒に食べませんか]と俺が意を決して言うと[あっいいえ結構です]とあの娘は少し後退りをし両手を交差して横に振っている[別に疚しい事をしませんよただ黙って食事してくれれば良いですからってただのお礼ですし]と俺が言うとあの娘は[いや本当に良いですから]と本気で疑っているのだろうか隙有らば逃げる体制になっている事がどんなに鈍い俺でも分かり[疑い深い人だな俺そんなに怪しいですか?俺そんなに人と関わる事苦手だしかといってお礼とかするのはそんなに苦にならなくってだから変な奴って思われても構わないけど…今日は奢らせてくれないか本当になにも喋らなくても良いから]と俺が言うとあの娘は[…分かりました本当になにもしないで下さいね約束ですよ]と言われ俺は[あぁ]と生返事をし再び店のドアを開け先にあの娘を入れ俺は後に続いた[いらっしゃいませ誠に恐れ入りますが本日一部貸し切り状態でしてそれでも宜しかったらこちらの席をご用意出来ますが如何でしょう?]と女性店員と訊ねられ[えぇ]と俺が言うと[ではこちらへどうぞ]と言って女性店員に案内された席はこの前座った席だった不意にあの娘は[ここ一度は座りたかった席だぁ]と呟くと[えぇここは大人気の席なんでここに座られたお客様方はとてもラッキーなのかもしれません]と女性店員に言われ暫くここから眺める風景を2人で観察していた特別なんの変哲無く何処にでもあるような風景なのになぜだかウキウキしてしまっている事が手に取るほど分かった気がしていたさてこれからの長い時間どんな人物達が出現しドラマが繰り広げるのだろうか生でそれが観られるって俺はいったい何を期待しているんだアホらしい他人の事情を眺めに来た訳でも無いのになんでそっちに向いてしまった俺は慌ててなに食わない表情に戻しあの娘に話し掛けた[何を頼んだって良いですから好きな物を選んで下さい遠慮とか俺あまり好きじゃないんで]と言うと横座りであの娘は俺の方に頭を向かせ対耳輪下脚に触れ顔を曇らせ俯きながら正面座りに変えて近くに置かれたメニュー表と睨めっこし始めた俺はあの娘が真剣にメニュー表を見ているのをチラッと確認をしメニューが決まるのを待った私はというと正直迷惑だった私はただこのお店をちょっとだけ眺めているだけで十分だったのだけど運悪くこの男性に捕まってしまい[別に疚しい事をしませんよただ黙って食事してくれれば良いですからってただのお礼ですし]と言われ引き下がったのだが[疑い深い人だな俺そんなに怪しいですか?俺そんなに人と関わる事苦手だしかといってお礼とかするのはそんなに苦にならなくってだから変な奴って思われても構わないけど…今日は奢らせてくれませんか?本当になにも喋らなくても良いですから]と半ばちょっと強引に言われてしまい[…分かりました本当になにもしないで下さいね約束ですよ]と言い私は呆気なく折れていたここへは何度か来ているお店であるこの間もここに訪れ気が進まない合コンをして1人の男性に一方的にだが見初められここではないお店で1回食事をし博物館デートをしたこの男性を助けた数分後にだ自分でも情けないそのまま会社に行って遅刻をした事情を説明をすれば良かった物をそれが出来なかった不意に思い付いたのがずる休みまさか偶然にも程が有り過ぎの私を見初めた男性も賛同するなんて予測してはおらず本当に間違いだったと改めて後悔した勿論現在この時間もかなり後悔している[あっ今チラ見したなんなの催促のつもり?なんて小さい男性なんだろうメニューぐらいゆっくり選ばしてよ彼女さんが居たとしたら速攻別れを告げられるパターンだなあぁ完全に痛い男性そうだこの男性をちょっと後悔させてあげようそうすればこれ以上関わらないかもしれないと思い早速近くに居合わせた女性店員を呼んだ[ご注文はお決まりでしょうか]と天糊複写会計伝票を持って現れ[ご注文をどうぞ]と社交的な笑顔で女性店員に言われ私は定番の物から頼み後は未だに食べていない物を数品頼んだ男性は定番の物だと思われる物を選んだだけだった数分後男性店員が[お待たせ致しました]と言いキッチンカートを押してテーブルに次々と乗せていくそして見る見るのうちにいっぱいになっていき男性店員が[以上で宜しかったでしょうか]と訊かれても私はきょとんとした表情で料理を見詰め我に還った所で[あっはい]と返事をした男性は約束通り[本当になにも喋らなかった]ただしちょっと必要かなと思った事をボソッと喋ったぐらい例えば[そんなに食べられるの?]とか[飲み物とかいる?]とかである私はその都度軽く相槌を打ち愛想笑いみたいな苦笑をしたが男性は[そう]となんとも味気無く返事を返して自分の物を食べ進めていく私はとてもじゃないが[本当に食べられない]の一言で片付ける物ではないなぁ]と今更ながら悟りここでも後悔をしてしまった本当今日はいつも以上に空回りするような思考ではあったここまで酷いのは人生初かもしれないと深い溜め息だけが身体全体に重くのしかかり暗くしていった気が付けばあっという間に男性のお皿が空になりそうである私は更に落胆した表情をしているかもしれないあの娘は恐らく現在何かに落胆しているように感じる何をそんなに落胆しているのだろうか?俺何か変な行動をしたのだろうか?確かにお世辞にも他人より作法が行き届いているわけではない事は自覚しているでも未だに直せてはいない事はそんなに問題なのだろうか?まだお互いの事なにも知らないはずなのになんか変な娘であるっていうかまだ沢山の料理が残ってしまっているこれはどうするつもりなんだろう…あっそうだとふと俺は思い付き独り言のように話し掛けた乗るか乗らないかは…まぁ別の話としてだが[あっこれは独り言なんですけど良い事教えてあげますよここのお店もしも食べきれなかったら全部テイクアウト出来るらしいですよそりゃそうですよねこんなに沢山の料理が廃棄する事になったらショックで堪らないだろうし怒りたくもなるでしょうだからここの店長さんは苦肉の策を作ったんでしょうね]と言うとあの娘はもう既にお腹いっぱいなのか食べ物を飲み込むスピードが最初より徐々に遅く食材もだんだんと小さく分けて頬張っているそんな最中に俺がそんな事を言い出され次の物を口に運ぼうとする小さく開いた口と持っていた箸が止めて辺りを軽くグルっと見回したがどこにもそんな内容が書かれた物が無いように見えたそこからテーブルに置かれた食べ物に目を移してから近くに居た男性店員を呼ぼうとした[あのちょっと待ってくれますか?]と俺はすかさず割って入ったあの娘は俺の方に振り向き俺は[君のまだ食べていない物が有ったら貰っていきますよお友達と食べるにしたってたかが知れているだろうし]と言うと[えっ]というような表情をし[それは悪いですよ]と棒読みとも取れる低い言い方をしたそれでも俺は[捨てるのはもったいないので]と言い渋々あの娘は[じゃあこれとこれそれからこれはここだけあとは…]と次々と指を指して行く突然呼ばれた男性店員さんは手早く天糊複写会計伝票に書いて行きその通りにそれぞれの紙製袋に分け入れてくれ箱の上には可愛らしいマスキングテープで止められたメッセージカードがチラリと見え[この度はテイクアウトをして頂き誠にありがとうございましたまたの機会がございましたら何卒宜しくお願い致します店主]と手書きで書き添えられていた俺は心の中で[このアイディアはお嫁さんか娘さんが考えたのだろうか]と思ってしまっていた別に嫌とかそんなんではなく[なんとも心がほっこりするなぁ]なんて柄にも無くそう感じただけでそんなたいした事ではないそれでも自然と小さくにやけるのはそれだけ嬉しかったんだと思うそんな事も構わずあの娘が[今日は色々とありがとうございました]と言いながら深々と頭を下げた後頭を上げボソッと[もう出逢う事は無いと思いますが]と言い去って行った瞬間俺はたった現在の嬉しさが一気に褪め無愛想に戻り[そうですかじゃあ]と言って俺も背を向けた

未守駿啝のオンラインアメーバモバイル非日常のくだらないブログスペシャル北海道北見市から全国にオンエア皆さんこんばんは未守駿啝です今回はいよいよ開催された東京五輪の[お祝い]を兼ねてかなり遅らせばながら投稿する事柄を[改訂]しながらお話出来たらと思った次第で本当に申し訳ございませんかなり不愉快にさせてしまいますがご了承の程お願い申し上げますさていよいよ約1年が経過してしまいましたが2021/07/23(金曜日)大体…PM8:00からかな東京五輪が開催される運びになりました一時はどうなってしまうのかとやきもきした人は多数居たのではないでしょうか?いやいやどうでも良いよと思った人も居た事でしょうしかしこのコロナウィルスは日々進化を遂げ我々の体を心を恐怖に陥れ猛威を振るっていますいつ掛かってしまうか分からないこんな状況に東京五輪一体何を考えているんだお偉いさん達はと怒りを隠せないのも真実ですですがここは開催された以上我々日本人がこの一時では有りますが[おもてなし]をしてみませんか?たった一言だけでも良いです[ようこそ日本へ]とそしたら多分笑顔になれるかもしれませんかなり遅らせばながら約1年間ここ日本に行く事を心待ちにしていた選手の皆様ようこそ日本へ只今日本も大変な状況が続いており時折不愉快で不便な日々なのかもしれませんしかし我々極一部の人々は貴方方を気持ち良く大会に挑めるよう細々と準備して来ましたまだまだ至らない所が有りますがそれでも我々はこの大会をいえこの世界全体をこの誇れる期間がいつまでも続く事を願ってやみませんどこに居たって皆さんは繋がっている良い成果でも悪い成果でも皆が応援してくれるどんな野次が飛んでも見方はそこにいる時折叱咤があるけどそれは未来に繋がる第一歩である事を忘れてはいけない我々皆が日々考えどうやってこの問題を良い解決方法に導くか未だに模索中ですワクチン打ったから安心ではない事は世界全体が知っている事でも我々皆が限られたルールのもと安心と安全と健康と日々生活とそれから…と注意を払ってこの期間内で皆さんが安心してお帰り頂く事も我々日本のおもてなしです拙い文章ですみませんでした私もこのコロナが広がり始めた月から[大会をやめて欲しい]と思っておりました今でも正直その心は未だに有りますがこうして開催された以上[出来る範囲でおもてなししなきゃ]と思いこの文章を思い切って投稿した次第です批判もあると思いますがどうか一時でも良いです小さな小さな[おもてなし]をこの話は強制ではない事をご理解頂きたい内容です決して小難しくするつもりも批判するつもりも全くございませんただ1つ[貴方が働いている職場に置き換えて考えて下さい]と言いたいだけですここ数ヶ月間でワクチン摂取が着々と進められておりながら未だに摂取出来ずに待っている人も多く居ると思います[電話が全く繋がらない][問い合わせしても内容が分からない][ネットやスマホがあまり得意ではない][相談出来る相手が見付からない]等お困り事が多かったんじゃないでしょうか?行き着く先は行政のお偉いさん達に対する不満や遅さだったと思いますそして追い討ちのようにコロコロ提案されるルールこれには我々も呆れ果て先の見えないいや見通せない現実が浮き彫りであるのが現状でここ数ヶ月で何百件の生活に関わる企業さん達がこの波に浚われ跡形も無く消えて行ったか知っているのだろうかと周りに訊きたい位ですさてここから本題に入りましょう[貴方が働いている職場に置き換えて考えて下さい]と言われて貴方はどう感じましたか?多分多くの人は[なんの事?]と思ったかもしれません先に言います別に強制するつもりは全く無いです中にはアレルギー反応や持病の関係上[ワクチンを打ちたくても打てません]って言う人が多くいる事は重々理解していますし[やっぱり副作用などを考えると恐怖心しか湧かない]っていう事もごもっともだと思います私もワクチンを打つ前は[やっぱり副作用などを考えると恐怖心しか湧かない]という気持ちでいっぱいでしたがある日同僚に[貴方が働いている職場に置き換えて考えて下さい]の一言で[あっそうだよね]という言葉が自然と出ましたまぁ逆に言われると[貴方が働いている職場に置き換えて考えて下さい]=[ワクチンごときで2~4日会社を休まれると困るのよシフトを組むの大変なんだから]と聞こえてしまいがちですが私の場合[貴方が働いている職場に置き換えて考えて下さい]=[ワクチンを打った方が少しは自分的に安心出来るんじゃない?]っていう風に聞こえそして[いらない心配はしない方が良いよ]っていう様な楽観的な考え方に救われましたという話であって