仏滅:友引:先負これらは暦上不吉な日として避けられているがなぜ1人の人が逝去すると毎日のように立て続けに逝去するのだろうかそんな事今まで考えてもいなかったし人は遅かれ早かれいずれ亡くなるのだから考えたからって何もならないそう思っていた(アナウンサーの声)[昨夜21:20頃碧星市で20代男性が空き物置で首を吊って死亡している所を通行人が発見しました死亡していたのは事業所契約社員簗瀬史也さん(25)簗瀬さんの経緯はまだ解っていませんが事件と自殺の両面で捜査する模様です]と言うのを上の空で聞き流し左手でリモコンを持ちそして電源ボタンを押すとテレビ画面が切れる音が少し小さく聞こえ画面が真っ黒になりうっすらとぼやけて少し幼さが残る人物の顔が映し出された見る限りでは女性であるそろりとベッドの上で立ち上がりこじんまりとした部屋を出るドアには木製で出来たプレートにテプラで勘解由簾琳という名前が貼ってありリビングに向かうと背後から[おはよう]と眠そうな声で起きてきた1人の女性が後を付いて行く彼女は恐らく簾琳の同居人である人物だしかし簾琳はそんな声も聞かないふりをして朝食を食べ進めたというのは今日の簾琳は早番でいつもより早いバスに乗らなくてはならないのだが今朝は運悪く居間の掃除という一番手が掛かる場所に当たってしまっているかと言ってやらなきゃ何を噂されるか解りゃあしないなのだからここはひとまず軽く掃除して遣り過ごそうじゃないと両方遅刻になってしまうと1人心の中で呟いていると再び1人の女性が簾琳の前に現れた同じく簾琳の同居人かもしれないちょこんと簾琳の前に座り[今日は何時までに出掛けるの?]と訊いてきた簾琳は近くに見える時計を見て[大体7時21分位かな]と答えると[解った]と言って再び自分の部屋に戻って行ったプレートにはテプラで湊谷怜歩と貼ってある怜歩はかなりの寝坊助で出勤前ギリギリまで眠っている[頂きます]とさっきの眠そうな声で起きてきたのは間宮朱夏だった今顔を洗って来て一旦部屋に戻って行ったが朝食を食べに再びリビングに戻って来たのだその他にも色々居そうだがそれらは後回しにしてその頃突然自殺の現場となってしまった空き物置では所轄の捜査員などが忙しく動き回りその中で1人立ち尽くした青年が居りその横に仰向けでかなり冷たいコンクリートの上に横たわる青年が居る[本当に俺死んだんだまだ実感は無いけれどもうこの世界に未練は無いんだからきっとこれで良かったんだ今度は何に生まれ変わっても良いけれども人間以外なら…]と立ち竦む青年は独り言のように言い残してうっすらと消えコンクリートに横たわる青年はすでに死後硬直が進み石の様に固まってしまっていたその時どこからか女性の声で何度も[史也!史也!]と叫び続けているそれはこの青年の母親である簗瀬琴弥の声だったそうであるこの青年は昨夜21:20頃この物置で首を吊って死亡している所を通行人に発見された事業所の契約社員であった簗瀬史也っていう人なのだそしてさっき消えたのは幽体となった簗瀬史也となるでもこの後彼に想いもよらない言葉が出るんなんて誰も予想していませんしかしたった1人知っているのは雲の上に居る神様だけその神様もまた自分自身に降り掛かる出来事を知らずにいたのだ<県内バスの中>今日は自棄に時間が遅く感じるいつもだったら[もう降りなきゃ]と急いでIDカードを鞄から探すのに何となく余裕を持って料金箱の上の機械でスキャン出来そうだと思いながら数十分後に最寄りのバス停に到着しそこから数歩歩いたら会社に到着した簾琳の職業は鉄道客室乗務員である航空客室乗務員よりは少し華やかでは無いが遣り甲斐は感じられる仕事だと思っている[おはようございます]といつもの様に挨拶をし事務所に入って更衣室で制服に着替えるそして軽くメイクを直しスカーフは指定通りに結んだらもう一度事務所に行き隅っこの方で鏡の前で笑顔を練習して発声練習もして接客基本用語を読み上げる[いらっしゃいませお待たせ致しました]とかであるそれが終わったら指示事項を訊き指定通りのお金を持って駅のホームにワゴンを用意し事前に予約されたお弁当を受け取ったら準備万端で到着した列車を出迎える毎日その繰り返し[本日は特急6800系にご利用頂き誠に有難う御座いますこの列車は終点東鷗橋駅となっております快適な列車の旅をお過ごし下さいます様私達従業員一同務めて参ります]と言い終えると1人の客が客室乗務員室に入って来て[大変だ自由席に指名手配犯人らしき人物が乗っているすぐになんとかしてくれ]と伝えて来た同乗している鉄道客室乗務員が思わず大きな声を出し慌てて自分の手で口を塞ぎ震えているのだが簾琳は至って冷静にその鉄道客室乗務員に対し[絢ちゃん…絢ちゃん!落ち着いて他のお客様が不安がるわ良い警察が到着するまで私達が出来る事は慎重に業務を進める事よいつも通りに業務をしお客様の快適な列車の旅を邪魔をしてはいけないの良いわね]と簾琳が言うと絢ちゃんと呼ばれた鉄道客室乗務員はコクコクと頷きようやく手を離しその客に質問した[本当にお客様が何回かお見かけした指名手配中の犯人で間違い無いですか?]と訊くと[う~んそれを言われると曖昧だけど間違い無いと思う名前は確か栗高裕典だったかな]と応えた[そうですかあっ特徴は覚えていますか?]と訊くと[左目の下と横に小さな疣が2つと唇の右横に小さな黶あとは顔の割には極めてアンバランスな顔立ちあの指名手配写真を見たら喩え自分みたいに曖昧だとしても忘れられない顔だと思うよ]と言われ[解りました直ちに輸送指令室や各乗務員などに報告させて頂きますあと他の駅にも連絡を致しますので申し訳無いんですが少しの間何も気付かなかった様にして頂けませんでしょうか?]と言うと渋った表情を浮かべてその客は戻って行った[絢ちゃん…絢ちゃん!今すぐ輸送指令室と次の駅の方に連絡してくれる?私は車掌の湍水さんと運転士の日暮さんに知らせて来るから]と指示したのだが同期の霜原は未だに怖がってしまっているのを見て仕方が無く1人で行動する羽目になった先ずは持っていた携帯電話で次の停車駅に報告する事にした<発信音が鳴る>[あっお疲れ様です客室乗務員の勘解由です]と言うと送話口から[あぁどうかしましたか?]と訊ねる声に聞き覚えがあった駅務係の養老臣司だ[実は私達が乗っている特急6800系に指名手配中の栗高裕典容疑者が乗車している様で…]と伝えると[指名手配犯?そんな馬鹿な]と言われ簾琳は[とにかく今すぐにでも輸送指令室の連絡と鉄道警察隊の方をご用意願い出来ますか?]と言うと[解った解った]と言って一方的に切られてしまった簾琳はろくに内容も聞かない事にしばらく驚きを隠せずにいたがそのまま乗務員室に連絡をした[緊急緊急只今乗車なされている方からのご報告がありまして2号車のA側通路に指名手配中の栗高裕典容疑者が乗車しているみたいなんです]と言うと車掌の湍水さんが[なんだって?それで次に停車する駅の事務所の方には報告したのか?]と訊かれ[えぇ次に停車する駅には報告しましたが相手が養老さんで一方的にすぐ切られてしまいました]と言うと[すぐに切られただと?それで輸送指令室には?]と訊かれ[自らの連絡はまだ]と言うと[今すぐ連絡しなさい]と言われ[分かりました]と言ってすぐに輸送指令室の方に電話をした[緊急緊急こちら特急6800系です只今乗車なされている方からのご報告なんですが指名手配中の栗高裕典容疑者と思われる人物が乗車しているもよう至急最寄り駅3ヶ所に連絡して頂けませんでしょうか?]と伝えると[分かりました直ちに最寄りの駅3ヶ所と連携を取り素早く鉄道警察隊を向かわせますですのでこちらからの指示を待っていてください]と言われ電話を切り輸送指令室の連絡指示のもと警察官を最寄りの駅3ヶ所に振り分けられたその間指名手配犯や乗客全員に気付かれない様に運転手の日暮さんにも報告し出来る範囲で事を終わらせた簾琳は同期の霜原絢実と一緒に車内販売準備室で再度ワゴン車の最終設備点検の準備をし只今より車内販売を致します順にお客様のお席を通りますのでご面倒かもしれませんがご注文が御座いましたらその都度お申し付け下さいますようお願い申し上げます]とアナウンスをした<ワゴンを移動させ自動ドアが開き再びワゴンを移動させる>[失礼致します本日は御乗車頂き誠に有り難う御座います車内販売です各地からお取り寄せ致しましたお弁当サンドイッチ常温で温かい珈琲等は如何でしょうか?]と言うと早速とばかりに1人の乗客が[すみません清涼飲料水ありますか?]と訊いて来た[はいございますがどちらに致しますか?]と手元に有ったご案内を手に取りそのページを見せるとボトル缶に入った物を選んだ[こちらですね畏まりました]と言いボトル缶を手に取りその後に片手を手に添え乗客に差し出して[お待たせ致しました140円になります]と言うと乗客は150円を渡し簾琳は10円を渡して[ありがとうございました]と軽く会釈をして再びワゴン車を動かすさっき指名手配中の犯人を見付け報告してくれた人はイライラと不安が募っているのか落ち着きが無くその空気は徐々に周りにも漂っている様に感じこっちにまで緊張感が走る霜原は1つ前の車両でワゴンを押しているしかし表情は分からないがきちんと仕事をしているのだろうと信じる事にしたのだが[やっぱり無理だ]と判断し[すみませんちょっと失礼致します]と言い大きなワゴンの小さな隙間を無理矢理にすり抜け1つ前の車両まで着くと[霜原さんやっぱり今日は休んでいて後の事は私がやっておくから]と小声でいうと霜原の表情は死神に連れ拐われた様に引き吊っており[すみませんありがとうございます]と言いこの車両だけ遣り遂げると客室乗務員控え室で休んでいた[大変申し訳ございません]と再度大きなワゴンの小さな隙間を無理矢理にすり抜けサービスを開始したその頃警察署では死体見分を行われようとしていた[では死体見分を行います宜しくお願い致します]と担当医の大神田誠之が頭を下げ言うと周りの担当警察官らも[宜しくお願い致します]と頭を下げたそして見分は約4時間30分で終わり遺族側の訴えも虚しく結果は自殺と判断し死亡診断書らしき書類を書き始めそれから廊下で待っていた遺族だろうか一人の女性に渡したその女性は先程まであの空き物置で[史也!史也!]と叫び続けていた史也の母親である琴弥だった琴弥はその用紙を見つめていたが次第に感情が込み上げ突然[なんで!]と大声で泣き叫び何度も息子の史也の名前を繰り返して崩れ落ち持っていた書類はクリアファイルに入れられていた為大袈裟にくしゃくしゃにならずに済んだそして死後数時間程経っているのに史也はまだこの世の風に漂っていたとはいえそう長くは居られないそう7日ずつ経てば閻魔大王の裁きを受けなければならないのだがその間史也は特別誰かに再び会いに行く事なんて無くただ通りすがりに地上の人々の行動を眺めていた[あぁ今日から俺はもうあの中に居る事はもう無くなったんだなんて良い気分なんだろう当分の間仕事しなくても良いし周りの事も考えたりしなくても良いまぁ心残りなのは彼女が出来なかった事ぐらい…でもそんな事どうでも良いや少しだけ自由が出来るっていうなら自由で居よう]等と言いながら風が吹く方向と共に浮遊していたしかしこの後の出来事で史也はある体験をする事になるなんて思いも寄らなかったのだ<簗瀬家>車を停め数人の人物が降りてきた警察署で琴弥が泣き崩れ落胆している間にその警察署の霊安室から出て夫か長男のどちらかが早速とばかりに葬儀会社や近くに住む親戚達などに電話を掛けまくり手配したのだろうそして連絡を受けた近くに住む親戚達はこぞって玄関先で待ち構えていたが誰一人涙なんて流してはおらずと言ってもここに着くまでの間に少しぐらいは涙が出ていたのかもしれないがそんな事を見聞きした所でなんの意味も持たない事くらいは誰もが恐らく理解出来ていたそんな時[いやぁ吃驚したよ史也が自殺したんだって?なんでそんな事になったんだ?]と中年男性が歩み寄り話し掛けてきたそんな男性を横目にガチャガチャと家の鍵を探し見付けて鍵を開けようとする青年が[さぁそんな事俺に訊かれても分かる訳無いじゃん]と冷たい声で返され中年男性はぽかんとした表情をしちょっとの間が空いたその後に[そりゃあそうだよな]と言って開いたドアを持ち他の親戚達に手招きをして中に入って行ったこの時点で集まったのは史也家族を入れて19人今話していた人物は叔父の河原﨑嵩廣と史也の兄の簗瀬煌世であるそして背後で[琴さん大丈夫?辛かったね]と琴弥の傍らに寄り添い支えているのは伯母の京極優瑞菜だその後ろにはぞろぞろと残りの人物達が連なって付いて行く史也の遺体が入った柩は奥の和室のクローゼットと箪笥の前に置かれそそくさと必要最低限で質素な祭壇等を組み立てられていくそしてもう一度柩を動かし組み立てた祭壇をつい今しがた柩が置かれていた場所に動かして再度柩を元の場所に設置したまだ幼い従弟の京極亮我や従妹の高田祗茉が物珍しそうに史也の顔を見て[この人本当に死んでいるの?]と叔母の今岡映璃が[止めなさいお兄さんが嫌がっているじゃない]と次々と子供達を柩の前から離した子供達はつまらなそうに大人達が居るキッチンへ行った優瑞菜以外の女性群は手慣れらた手付きで互いの得意料理を作っておりそれを横目に男性群は出された物をつまみながらビールを傾けていた[それにしても史也は良い死に方しなかったな]と叔父の簗瀬嘉巌が言うと[あぁそうだな]と史也の父親である簗瀬嘉崇が呟く様に言ったすると嘉巌所の次男である簗瀬健悠が[史也は小学校の中学年から兎に角無気力な子だったよなぁ誰に対してもぶっきらぼうで冷めていたし愛想もない一体どこであぁいう人間に育ってしまったんだろうな]と呟く様に言うと伯父の簗瀬嘉應が[簗瀬家の一部の人間はそういう所が有るから仕方が無いんだよ]と言いグラスに灌がれたビールを一気に飲み干したその近くで聞いていた煌世が[俺は単純にあいつの言動を嫌で仕方なかったよ]とぼやく様に呟いた時を同じくして史也が眠る和室では琴弥に寄り添う優瑞菜の姿が有り琴弥の背中を擦りながら一緒に涙を流していたそんな事など露程も思っていない史也は神宮の本殿で7日間を過ごす事にした[そこで何をしておる]と誰かの声が聞こえ振り向くと邪鬼のようなかなり大きな人物が既に史也を見下ろしていた史也は[うわぁ]と驚き角の方に後退りをし腰を抜かしているのか上手く立ち上がらない様だったしかも全身の震えも止まらない中[お前死に人か?]と訊かれても史也は未だに声が出ず口は大きく開いたままだったそれを見つめ邪鬼は[だったらここは違う神宮だ死に人は京都か滋賀あたりであろうそこに行けば良かろう]と言い続けて[さっさと出て行くが良い仕事の邪魔だ]と言って門の所を指を指したのだが当の史也は未だに立つ事も声を出す事も出来ずにいた邪鬼は大きく溜め息を付き仕事を始め暫くして全身の震えや恐怖心が消えた史也はすくっと立ち上がり邪鬼があげた地名へと向かおうとしたのだがなぜか境界線が抜けられなかった[どういう事だよ]と言いながら門の扉を何度も揺さぶるのだったその頃簾琳はというとワゴン車を車内販売準備室へと片付け終え小さく蹲る霜原に簾琳はちょっと冷たい視線を配らせて業務を続けていく[どうして…]とか細い声で霜原が呟かれ簾琳が少し膨れっ面で霜原を見た[どうして!勘解由さんはそんなに冷静でいられるの?相手は正真正銘の指名手配犯なんだよ!怖くないの?]とキレ気味で訊かれ簾琳は呆れた表情を浮かべ小さく蹲っている霜原の顔と自らの顔を付き合わせ[そりゃあ内心怖いわよでもまだそうとは決まっていないでしょ?もしかしたら人違いかもしれないっていうかその前に乗客の安全を守るのが最優先な時に私達乗務員が怖がってどうするの?もう少し自覚有る人物だと思っていたけどとんだ私の思い込みだったんだ貴女本当にこの職種にむいてないと思うわよ他当たったらどぉ弱虫]と言われ霜原はそれ以上なにも言わなくなった[次は鵺月です降り口は左側をご利用下さいますようお願い申し上げます]という車内アナウンスが流れ簾琳は商品の在庫を確認をし始めたその時外側からノックが聞こえた普段だったらここでドアを開ける所だが現在は容疑者らしき人物が息を潜めている真っ最中だという事を踏まえた上でドア越しで会話する事にした[申し訳ございません只今少し取り込んでおりますのでドア越しですがご用件を御申し下さいますか?]と言うとドア越しの人物は[すみません急にアイスが食べたくなったので5個だけでも貰えませんか?]と言われ簾琳は[はい畏まりましたメニュー表では通常販売のアイスと月替わりで販売のアイスがございますがどちらになさいますか?]と訊ねるとその人物は少し間を置いて[月替わり]と小声で言われ専用の冷蔵庫から月替わりのアイスを取り出しながら[合計で1600円になります]と言うとその人物は財布を取り出したのか小銭を荒らすような音を立てていた簾琳はアイスが溶けないように少し冷やした保冷剤を専用の袋に入れ一息を付いて冷静さを装いドアの方へと歩きドアの前に立ったその間自然と袋の持ち手は固く握られた為この短時間でくしゃくしゃになってしまっているが現在はそんな事などで正している場合では無い気がしているのか反対側の手でドアの取手に手を掛け静かにドアをスライドさせ[お待たせ致しましたこちら商品です]と言い袋に入ったアイスの底を掌で軽く添え前に差し出したっていうか伝える程でもないが袋を持った両手は他人でも分かるぐらいかなり震えていたしかしその人物はフードを目深に被っており恐らくだが手の震えにはほとんど気付かれてはいない様だったでも確実に先程見掛けた[指名手配犯人:栗高裕典]に似た人物の身形である簾琳は霜原の目に触れさせない様精一杯その人物を隠しいつものように対応をしたアイスを受け取った人物は[ありがとう]と言いその場を去って行き簾琳はその人物を静かに見届け席で大人しくアイスを食している事を願ってドアを閉めたそして次の停車駅の鵺月に到着をし鉄道警察の捜査員が数名乗り込んで来たが栗高らしき人物は既に客室には居らず乗り込んだ隙を付き素早く降りてしまったのだろうしかしプラットホーム内で待ち構えていた警官達に目を付けられてしまい御用となった後の取り調べ等から御用になった人物はほぼそっくりなだけで全くの別人だった事が判明したしかし着用していた持ち物から犯人の物と思われる指紋が検出された事から取り調べと捜査は未だに続けられたその頃史也はというと未だに邪鬼が住み着いていると思われる神宮の本殿の結界が張られた門の扉を叩き叫んでいた邪鬼達からは鋭い針のような視線を送られ危害を加えそうな邪鬼には残りの邪鬼が総出で抑え付けた一体何時間経ったのだろうか出来るだけ沢山門の扉を叩き付け周囲に気付いて貰える事を必死に願ってしまっていたせいでもうすでに幽霊になっているにも関わらず手が痛く感じ目には涙で滲んだように湿っていた[えっ幽霊にでもこんな事が出来るんだ]と一人で感心しているとここの神主だろうか周りをキョロキョロしながらこっちに歩いてきて俺を見付けたのか門の扉に向かって[お前さんこの結界が破れないのか]と訊かれ大きく頷くと[仕方がないなぁ]と言い小声でお経なのかは分からないが小さな穴を作り[出来たここから出れるから出なさい]と神主っぽい人物に言われ俺は目の前にある光景に[えっ?]と小さな声が出て[ここから脱出なんて絶対に無理だ]と悟り神主っぽい人物に[すみませんもう少し開けられませんか?]と言ってみたが[何言っておるこれ以上開けたら邪鬼達が皆逃げ出すだろう大丈夫今のうちだったらここから抜け出せるからやれるだけやってみろ]と叱られ[はぁ?不条理な…]と心の中で突っ込んだのだが状況が状況な為神主の言う事を聞く事にし小さく開けられた穴からの脱出する事に成功した想像した依も痛み等は無くスルッとあっさり抜けられた事がとてつもなく不思議でキョトンとした顔しか出来ずにいると[さっさと向かうが良い時間は待って貰えんぞ]と言われてもあまりにも衝撃過ぎてすぐには動けなかった<簗瀬家>柩に入った史也が居る部屋には琴弥だけが残って居り絶えず線香を確認し横たわる史也の顔を見詰め微笑んでいる書斎では嘉崇が明日以降の仕事の内容整理と振り分け等をして忙しくしていた長男の煌世は机の前で何やら参考書の様な本に目を通しながらノートに書き写している一方一旦帰った親戚達は遠くに居る親戚達の日程調整をしていた余り史也に面識の無い親戚達の多くは欠席をしたかったのだが[質素な葬式になる出て来てほしい]と懇願され渋々了承せざるを得なかったそれから2日後全親戚を交えて通夜葬儀を済ませたのだが遠方の親戚達が居ても居なくても質素な物となり調整係の親戚達は文句ばかりを唱える事になったその2日間の琴弥は[まぁ其処ら辺の人達が盛り上がれば私は関係は無いわ]と思っていてやはり琴弥の方があっさりとしていた微かアナウンサーの声が聴こえ23年前の失踪事件について進展が有ったらしい23年前当時男子高校生だった子がアルバイトの講習先で忽然と姿を消したという物だ確か午後1時にアルバイト先で講習を行うはずだったのが電車の中で居眠りしていたのか何かで最寄りの駅には降りず遠く離れた百貨店がある駅周辺で時間を潰した後に午後2時前後位に最寄りの駅に着いてアルバイトの講習先の前で忽然と姿を消したっていう流れだった当時そこの店主さん達が物凄く叩かれ挙げ句果てには店を畳んで其々新しく細々と生活を送っている噂を何処かの風の便りで聞いた事があったその事件が進展した一体何が有ったのだろう?真犯人でも見付かったというのだろうか?それとも男子高校生本人が現れたのだろうか?と頭の中で探っている間に思わずテレビのリモコンに手を伸ばし音量を大きくしたのだがちょっと年期の入った物なのか次々と流れる映像に付いては行けず結局終盤の映像までに辿り着き(アナウンサーの声)[…当時の交際相手だったと思われる会社員の各務柚深香容疑者40歳元アルバイト従業員で現在は飲食店オーナーの葭葉杲很容疑者43歳元従業員で現在は自営業の入野浪籌鵺容疑者55歳の3人は当時高校2年生だった鳳月大惺さんが忽然と姿を消した3月上旬以前から鳳月さんの殺害計画を其々で考えていたらしく結託しての犯行だった事が一昨日判明し今朝7時58分頃から捜査員は逮捕状を持参し家宅捜査に踏み切ったもよう捜査関係者に依ると当時高校2年生だった鳳月大惺さんが忽然と姿を消した3月上旬以前から鳳月さんの殺害計画を其々で考えていたらしく結託しての犯行だった事が一昨日判明しましたそこから慎重に準備を始め事件内容など再び洗い直した結果この3人に間違いないと見て犯行時に使われたと思われる押収物等が見付かった為3人を逮捕し取り調べでは一部否認しているもようです]と言ってアナウンサーは次の原稿を読み勧めて行ってしまったタイミングで琴弥は画面を消したこれ以上聴くのがなんか嫌だったらしいそして未だに栗高裕典が逃走して2週間が経過していたもちろんあの特急の2号車には指紋が残っていて体液も採取されていった本当に栗高裕典という人間はまるで本物のスパイのように他人を欺き逃げ回っているこれがなにかのドラマであってどこかの政府かはたまた世界かのどちらかの正義の為に仕事をしているのならば素直に格好良いと思えるのだが決してそうではない唯の犯罪者いや最上級の凶悪犯なのだから世話無さ過ぎると物思いに簾琳が高い天井を見つめて深い溜め息を吐き部屋中にはラジオの音声が流れているそこへ階段の下階の方からだろうか住人の誰かが簾琳に対して声を掛けて来る[簾ちゃん今日買い物とか行ったりする?]と簾琳は顔を顰めドアを睨みつけた後ドアの前に立ち扉を開け直ぐ傍の階段の踊り場にある腰壁に近寄り声を掛けてきた人物の方に視線を落として顔の方を見たそこに居たのは尾髙彩葵で職業は掛け持ち派遣社員をしている今日も簾琳が見る限り仕事なのだろういつものように控えめなスーツを着こなしちょっと崩したようなメイクが綺麗に見える[とてもじゃないがここまで出来ないなぁ私]と簾琳は思いながら彩葵に[もうなにか買ってきて欲しかったら事前にお金を預けておいて下さいよあとメモ帳も]と言うと彩葵は[固い事は言わないでよちょっと前に思いついたんだから]とはにかんだ笑い顔で言われてしまっても簾琳の気持ち的には[いやいやそれあってでも事前にしてくれなくてはお互いに困るのでは]と心の中で彩葵を窘めてしまっていたそんな事も知らずなのか彩葵は[で買ってきてくれるの]とまだ悪びれる事も無く訊いてきたので簾琳は仕方が無さそうに彩葵の居る下段の玄関先まで降りて行き彩葵の目の前で手を差し出し[条件はメモ帳とお金]と言うと観念したように鞄から財布を取り出したがもう時間切れだったのか逃げるように外へ飛び出して行ってしまった[あっちょっと]と簾琳は言ったのだが時すでに遅しであっけに不意を突かれて膝から崩れ落ちた[あぁもう良いや適当に必需品らしき物を買って彩葵が帰ってきたら支払って貰おう]と呟きスクっと立ち上がり階段をトボトボと上段へと上り切り再び自分の部屋へと戻ってラジオの音声に耳を欹てたCMが入っていなかったら多分3時間45分位の番組は終わりでは早速と言わんばかりにコートを羽織り部屋を出たここの住人は簾琳を含め7人居るたまたま7人が入れる物件を見つけた飯岡荏罹が募集期間を決めてシェア出来る人物を募った結果湊谷怜歩 間宮朱夏 萩尾栞梨 尾髙彩葵 簸山陽沙菜となりそれなりの距離感を取りつつ暮らしている相関図そんな物は必要が無い簾琳自身の観点ではあるが自分自身が入れる隙など与えてはくれない程全員仲が良いのだつまりは自分はパシリか或いは避けられているんではないかと密かに思っているたとえもしもその事を知ってしまった6人は恐らくだが[そんな事は無いよ]と否定するだろう<交差点の雑踏音>自然と聞こえる交差点の雑踏音を聞きながら歩く街並みは五月蠅く映え眩しい[今日も暑いなぁ…]と呟き目的地であるアウトレットショッピングモールセンター揚羽橋店へと向い[来たぁ]と小声で言い中に入ったまずは書店で予約していたアンソロジー小説を買う[あの…勘解由っていう者なんですが予約していた小説置いていますか]と簾琳が訊ねると男性店員は直ぐ様予約専用棚を開き沢山の本の列から簾琳の名前を見付け[あぁ入荷していますよこちらで宜しかったですか]と男性店員が簾琳に小説本の表紙を見せ訊ねられ簾琳は[あっ…はい]と戸惑いながらも男性店員に対して返事をし5000円を財布から取り出しカルトンに置くと男性店員はにこやかに[お預かりします]と丁寧に言い自動レジに入れお釣りとレシートが出てきた後簾琳の前でお札を数えザラ錢も軽くだが数えて[こちらお釣りになりますお確かめ下さい]と言いカルトンに納めた簾琳はそのお釣りとレシートを手に取り財布に入れ予約した本と財布と一緒に専用バックに入れ[有難う御座いました]と男性店員の相手に聞こえるぐらいの小声で言い小さく会釈すると男性店員も[有難う御座いました]と言って作業を始めた次に斜め向かいの文房具店で備品を探し歩きレジ籠に入れていく1番多いのはやはりポストイット付箋とポストカードのようで絵柄は子供受けしそうな可愛らしく面白みも残したセンスであるそしてレジカウンターの女性店員が次々と商品をバーコードスキャンしていきレジ画面に金額が表示されていく[合計で3500円になります]と女性店員に言われ簾琳は4000円をカルトンに置くと直ぐに500円がカルトンの上に乗っていてその後に申し訳程度のようにレシートを挟められ簾琳は表情を少し曇らせたが[まぁ良い強ち間違えた事をしていないのだから]と自分に言い聞かせつつ女性店員に[有難う御座いました]と言い歩きながら[でもなぁ残念なんだよなぁ出し方が]と呟き1階までエスカレーターで乗って行くと大型スーパーマーケットが顔を覗かせてくれた全体を見渡しても沢山の人々でごった返している[さぁてと彩葵の日用品でも買うとしますか]と頭の中で呟き各コーナを見て歩くほぼ簾琳が選ぶ物は纏めてお得商品の方が多く災害時の備蓄としても役立つ程である[これで良し!なんとか終わったぁ]と言い少し大きな荷物を持ち3階までエレベーターで行く事にしたその時一緒に乗ってきた人物と目が合ったがお互いに見知った人物ではないので会釈程度はした後にこの2人は想像も付かぬそれこそ思わぬ形で再会いや顔合わせをする事になるがそれはまだまだ先が長い(エレベーターの到着音)俺が自殺して7日が経った先日近くの神宮の邪鬼に教えて貰った通りに滋賀や京都などを手当たり次第探し周り結局の所だが京都を選んでまったりと過ごしていたすると途端に身体全体力が抜けボーとした表情に変化したのが分かる位無気力になり吸い込まれるように川の近くまで行かされた俺は青ざめた表情を浮かべ[まさかこの川を渡れってか?冗談だろう]とうっすらとした意識がまだ残っているまま呟いたのだが言う事聞かそうな足がその川へ赴いてしまうやはり流れが早いでもまだ足をすくわれるっていうような早さでは無く緩やかって言った方が良さそうであるそれでもこれからどこかで流されるかもしれないと思うと心の準備が出来ないどれぐらい流されているんだろうか急に辺りは真っ暗になり一体どこに着いたのか全く分からない状況になったその時かなり遠くの方で誰かが[おぉーい客が来たぞぉー浅瀬に引き寄せろぉー]と言う声が聞こえ俺は[こんなに流れが早いのに引き寄せる事なんて出来ないだろう]と思い鼻で笑ってしまったしかしどうだろう急に方向転換をし始め本当に引き寄せられるように浅瀬に向かって行く感覚がしたのであるそして岸辺に辿り着くと全身が青で塗り潰された人型が居て[結構時間がかかりましたねもう大丈夫ですよ]と言って手を差し伸べた俺はその手を取り引き上げて貰え辺りを見渡して[ここは?]と訊ねると青で塗り潰された人型の人物は[ここですか?ここは案内所入り口ですよ]と言って軽く俺の手を引い行く俺は[一体どういう事なのか]と目を白黒させていると徐々に沢山の色とりどりの人型が右往左往と動き回りごった返している[ここでは多くの部署や課が有って其々案内しているんですよ]と青で塗り潰された人型に言われても[ふーん]としか返答出来ず1箇所1箇所の人通りを目で追ったすると[烽鷯院信士がここでの貴方の名前です]と誰かがそう告げたでも誰に対してなのか全く分からず俺は未だにキョロキョロと辺りを見渡しているのに気付いた青で塗り潰された人型に[貴方の事だよ]と肩を軽く叩かれ我に返り振り向くと額に大きな赤い痣が残った青紫で塗り潰された人型が立って居り上に掲げられたプレートには自害損失課と書かれていてその下を見下ろすと1体の額に大きな赤い痣が残った青紫で塗り潰された人型っていうよりも歪にガタガタと変形した物体と言った方が良いくらいに不気味でその場で何度も嘔吐を模様しそうだった[ようこそ自害損失課へこちらに必要事項をお書き願います]と言いサラッと机の上に全各地共通の区役所に置かれている処届出らしい用紙を置かれた俺は[必要事項って…]と呟き目を泳がせ深く息を吐くほぼほぼの内容が今後の黄泉返りについての事柄で俺的には黄泉返りなんて全く持って望んではいない所でまぁ例外な出来事が起きた場合なら考えなくもないがそんな事決して起きる訳ないと完全に思えたそれから適当に書き進め額に大きな赤い痣が残った青紫で塗り潰されたかなり歪過ぎる人型に渡すと[では承りましたこれからの30日余り色々と大変だとは思いますが地獄に立ち寄らない限りきっと来世は訪れますよ]と言われ俺は思わず顔を上げあまりにも驚いたせいで小さく驚いた声を出していた[えっ30日余りどういう事なんだえーと確か49日まであと42日もあるはずなのに30日って計算が合わないじゃないか]と言うと[それは現世と黄泉の中間地点では時間差が微妙にズレるんです]と言われても俺はピーンと来なかった[時間差って生じる物なのか]としかし額に大きな赤い痣が残った青紫で塗り潰されたかなり歪過ぎる人型はまだ話を続けるように[まぁ人によって早くなったり遅くなったりはするんですけど平等にそれぐらいです]と言われ納得せざるを得なかった
-1993年4月6日-<山崎家>私は今日から小学校生活を迎え家事も一通りこなせるようになった未だに薊さんからの嫌がらせは続いているそれでも私は気にせず灰かぶり姫を演じている[和香菜そろそろ学校に行くぞ]と慶大に言われ慌てて入学準備を整え始めた取り敢えず昨日の時点で揃えた物は準備出来ていたのだが今日準備する物は後回しにしてしまったので多分3分の遅刻になってしまった慶大は[大丈夫だよ寄り道とかしなければ間に合うから]と笑って言いずっと手を繋いで学校まで送ってくれた[パパ着いた]と私が言うと[ほらなぁ間に合っただろう]と得意気に慶大が言い続けて[ほら1枚だけ写真撮るぞ]と生徒玄関前で結局数枚写真を撮り溜めた生徒玄関には上級生の男女が小さな籠を片手に待っており天井近くの小窓のような硝子板にはようこそ私立叡燎学園附属叡燎小等科へと楷書で印刷された横断幕が貼ってある私は自分の名前を探し下駄箱に外靴を納め2人は保護者専用下駄箱に外靴を納めてから私の居る生徒玄関まで戻って来た相変わらず人前ではの薊さんは人当たりの良い清楚な佇まいと礼儀の立ち振舞が完璧である私が生徒玄関前に居る上級生に名札を付けて貰っていると[あら名札を付けて貰っていたの良かったわねちゃんと[ありがとう御座います]と言えた]と言われ[はい]と返事をすると[そう]と相槌を打ち[私からもありがとう御座います]と微笑みかけ丁寧にお辞儀をした上級生2人は姿勢を正し深々と頭を下げられ薊さんは終始ニコニコしていたそれを見て[流石職業病なだけはあるなぁ]と多分日頃から薊を知る保護者達はそう関心しそう思った事だろう話を戻してそこから生徒玄関を出て右側に曲がりさらに左側を曲がると1学年生教室が4組有った[和香菜のクラスはどれだ覚えているか]と慶大に訊ねられると私は[2組]と言って1年2組のプレートを指さすと薊さんは無言でそそくさと2組と3組の間の引き戸扉の方へ行き他の保護者達に入り混じって丁度良い幅の所で立った慶大の方は和香菜に[じゃあパパ達は後ろにいるから何も気にするんじゃないよ]と言い残して薊さんの居る所まで行ってしまった傍から見たらおしどり夫婦のように見えるだろうでも夫である慶大は依然と薊に嫌気が差しているのであるしかし離婚をする勇気も湧かないので永遠にこのまま夫婦で居るつもりなのだろう私はそのまま教室に入りまだ知らない出席番号順に並んだ机を探した名札をチラッと見た見知らぬ女の子が[君の席は多分あっちだよ]と言い窓の近くに指を指した私はその先を見ると幸いな事に薊さん達から少し離れている事に心から安心したそれから暫くして私が入ってきた方の引き戸扉に少し大柄な男性が硝子越しに見えガラガラと音がした後[おはよう]と言いながらそのまま入ってきた私を始めとする生徒達は啞然とする中幼稚園出身の生徒達は[流石]って言って良い程すんなり[先生おはよう御座います]と言うまだ声の加減が分からない子も1人居たが[先生]と呼ばれた男性は実ににこやかに[君元気いっぱいだね良い事だよ]と言いちょっと高い台に上がり真新しいように見える濃い緑色した板を背に立ち改めて[皆おはようそしてようこそ叡燎学園附属叡燎小等科1年2組へ今日からここに居る人やこの学校に居る人達は全員…う~ん一部違うかも知れないなぁ…それでも叡燎学園附属叡燎小等科っ子の一員です喜ばしい事も怒りたい事も哀しい事も楽しい事もこの学校で分かち合い助け合ってやって行きましょう]と言い終えたのが一部の保護者達の目には嫌悪に映り疎ましく思えたのかも知れなかったしかし生徒達はというと未だに想像がつかない今後の学生生活に高揚感が高まったようだったその頃4組になった前嶋恵名は不安を隠せずソワソワしていた恐らくこの小学校に登校すれば再会出来るかもしれないと思っていた和香菜とまだ再会していなかったのだ今にも泣きそうな表情を浮かべ俯き担任となった教師の声さえ届いていないくらいであるその上見知らない子供もこの空間にちらほら居るせいで心身が押し潰されていたそして入学式本番を迎え其々のクラスの生徒達は廊下で一列に並べられ担任教師達は幼稚園や保育園で入手した身長を記された最終測定表を参考に1人1人名前を呼んで正確に並ばせてから体育館の入口へと向かわせたそこには既に高学年らしき生徒達がスタンバイして居り何も分からない一部の生徒達は少しだけ背丈がある高学年に怯えていて高学年の生徒達はたとえ手慣れていない生徒であってもなんとなく周りに居る兄弟持ちの見様見真似で下級生である生徒達に寄り添っていたそして体育館の準備も整った所で其々のクラスの担任が[それじゃあ体育館に入るよ付いて来てね]と言い体育館の中に入って行き連なりで生徒達も体育館に入って行くピカピカに輝く体育館は小学1年生にはかなり広く感じるのだろうか在校生である上級生や教職員そして保護者達が遥か遠くに感じつつも誘導された席に静かに座りこれから始まる初めての行事に心を躍らせていたのだが開始20分前後で一部の生徒達はかなり退屈で仕方がなかったらしく目をしばしばさせた後ウトウトと眠ちゃう場面が見受けられ校歌斉唱や突然の呼び掛け等でびっくりする事でまだ式典が続いていた事を知るのだそうしてようやく入学式が終わり再び其々の教室へと移動し校内でのルールや時間割等のプリント配布それから教科書配布を行って日常的に使用する教材も渡された和香菜も初めて手にする物を不思議そうに見つめ担任教師の南境寿哉の説明を所々だが聞いていた[では明日から1日当たり約8時間の学校生活が始まります分からない事とか相談したい事があればなんでも良いので遠慮せず周りに居る先生達所に来て下さいきっと君達の知恵袋になる事でしょうその知恵袋が今後に役に立てられたら先生達も嬉しい限りですしかしその知恵袋に悪い物は絶対に入れない事を約束して下さい悪知恵という物は必ず何処かで愚かさが心に蔓延り永遠と麻痺を起こしてしまいますからね]と言われてもまだ幼い子供達には理解に苦しむ様で口が半開きになっていた[じゃあ今日はこれで終わります皆立って]と南境から言われて子供達は慌てて椅子から立ち上がり[気を付け]という掛け声と共にピシッと背筋を伸ばして立ち[礼この1年間宜しくねまた明日さようなら]と言い子供達に向かってお辞儀をするとぎこちなく[さようなら]と言い子供達も南境に向かってお辞儀をしたそれから南境は子供達の後ろに立つ保護者達に向け[それでは保護者の皆様本日は誠におめでとうございますお帰りの際はお気を付けてお帰り下さいそして長々と申し訳ございませんでした]と南境が深々と相手や自分の足元を見ながら言うと保護者達は其々のリアクションで生徒達を連れ教室を後にした和香菜も慶大達と一緒に教室を出たのだが廊下は其々の人々で鮨詰め状態であった-1993年4月7日-朝刊には昨日まで尚晞が暮らしていた児童養護施設の殺人事件の事が記載されてしまっていた死者22名重症者8名という耳にしただけでも震えが止まらなくなりそうなくらい恐ろしい結果が出てしかもまだ予測段階ではあるが胃の内容物から検出された薬物の科学成分をテレビの画面越しで紹介されていたのは一般的にあまり耳にした事がなさそうな物でフェノール·ナトリウム·蟻酸·カリウムナトリウム·過酸化ナトリウム·亜鉛粉末を混ぜ合わせられてたらしく話題は[そんな危険物の配合を中学3年生が?]という俄には信じがたいと思う大人が多数存在していたしかしまだ小学校に上がったばかりの和香菜にはいったいなんの事なのか分からなかった一方慶大は俯き加減に悲しい顔を浮かべ音声を黙って聞いていた<南高朧中央警察署刑事部捜査第1課4係取調室>昨日の早朝まで児童養護施設の会議室で任意ではずの事情聴取は強行事情聴取で有った事が尚晞にはなんとなく解っていたそうしなければ誰がこんな恐ろしく残忍な犯罪を犯したのか誰もが全く検討も付かないはずだからあの児童養護施設に居る70人の他人が行き交う場所なら恨まれ憎まれが渦巻くとなればどんなにかなり鈍感な人でも疑われないという選択はしないと踏んだのだと尚晞は想像の中でそう思っていたしかし現に尚晞は無実の囚われ人であるそんな少年がどう架空のシナリオを作り上げるというのであろう真犯人は当日夜勤を務めていた諸菱亘だというのに殺風景な小部屋の真ん中に机が1つと椅子が2脚部屋の隅にも机と椅子が置いてある尚晞はドアに向かい合う形で椅子に座っていたなんの面白みも緊張も2日経てば消え失せるような空間壁のマジックミラーだけさっきからずっと鏡の向こうから誰かに見られている手持ち無沙汰のまま顎木警部補·伊世躱巡査部長·杉ヶ峰警部·紡錘垣巡査·石玖保巡査らが一緒に入って来た一先ず顎木は一呼吸置いてから[お早うございます]と言い[こちら本日からこのメンバーで澤井さんの事情聴取を行う事になったので宜しくお願いします]と言って一人ずつ紹介して貰い今日担当する刑事達以外は直ぐ様退場して行ってしまった残された2人は早速とばかりに杉ヶ峰警部が尚晞に詰め寄った[瓜の蔓に茄子はならぬってこういう事を言うんだななぁ君が7年前父親から虐待されていた子供だろう揃いも揃って父子して犯罪者なんて笑わせ上がって]と言われても尚晞にとって何も面白い事はしていないただあの施設から[1日でも早く抜け出したい]とずっと思っていたから丁度良く偽の絆だが結ばせてくれた諸菱が犯した犯罪を庇ったそれだけの事に過ぎないのだ[父親と同じ道を歩んでしまった]確かにそうかもしれないでも違うこれは1つの手段でしかないそれと同じにされては虫酸が走るどころでは済まされない位に不愉快極まりない気持ちでいっぱいであった[ストックホルム症候群って知っていますか?]と尚晞が突拍子も無く言うと杉ヶ峰は眉を顰め[はぁ]と怪訝そうに尚晞の方を睨み付けただが尚晞はそんな事を気にする素振りを見せず[今からストックホルム症候群のお話しませんか]と提案したすると杉ヶ峰は咎めるような口調で[そんな時間はないちゃんと自白か自供しろ]と言われ尚晞は[そうですかでも俺は親から虐待を受け続けた身ですよしかも8年間そんな薄汚れの人間に自白や自供を供与されてもどう話せば良いのか分かりませんよ況してや中学3年生に対してですよ理解していますか]と言うと杉ヶ峰は[何を俺が質問していくから君はそれに答えれば良い]と言われ尚晞はムッとしかめっ面になり[俺の精神状態とか彼奴らから聞いていない訳それでも警察関係者かよ阿呆過ぎだろともかく俺はそういう話をしないと物事が飛ぶんだよ]と言いついキレてしまったこの言動は中途半端な演技も混じっているのだが事実に近いのである精神状態によってカメレオンのように言動が変動するらしく端から見たら多重人格者に思われても仕方が無いくらいかなりの重度かもしれない[そんな話をしないと物事が飛ぶ冗談を抜かすな良いから質問にだけ答えろそれ以外は認めん]と杉ヶ峰は凶悪犯も震え上がりそうな怒号を飛ばしてしまい別の席で調書を担当している石玖保はちょっとビクついてしまったそれでも尚表情も変えず尚晞は[もう良いです黙秘します]と言うと杉ヶ峰は眼球と顔を真っ赤にし[好い加減にしろ]と言い放ち更に苛つかせてしまっていたそれを気付き見てかなり怖気付きながらも石玖保は杉ヶ峰の両脇を押さえ付け[杉ヶ峰さん感情的になり過ぎるのは辞めて下さい]と言われても杉ヶ峰は手足を勢い任せにバタつかせ[離せよこのクソガキが一丁前に黙秘なんて使わせてたまるかよ良いから早く白状しろよどこであんな物を取り寄せた]と更に荒ぶった杉ヶ峰のどすの利いた声が署内中に響き渡ったのかは定かでは無いが多分響いた気がしたそれでも尚晞は全く口を割ろうとは思わなくまた更にへと杉ヶ峰は下手したら全ての血管が浮き出るような勢いで石玖保の腕を払い除け尚晞の胸倉を掴んでその手を勢い良く右側に吹っ切って尚晞の身体はいかにも硬そうな壁に当たってしまった咄嗟に石玖保は尚晞の方に駆け寄り[大丈夫]と言い身体を持ったが尚晞はその両掌を払い除け壁に肩をしっかりと付け寄り掛かり気味に肩を軽く庇い支えながらゆっくりと壁伝いに上体をずらすのだが上手く支えきれないらしく血で滲んだ頭部を壁に付けもたれ掛けるような動きに変えると少しは遣り易くはなったそこへ再び杉ヶ峰の凄まじい攻撃が始まってしまい無防備な尚晞にはひたすら防御するしか出来なかった累計時間大凡2時間15分前後に及んだ尚晞の顔は所々が血塗れで口元には切れた傷が有り青痣も大小問わず点々と付いていた石玖保の方も段々と酷くなってきた段階で尚晞を抱え庇ってくれていたこの頃以前に警察官からの暴力は許されていたとごく一部の世間に思われているが決してそうでは無く暗黙のルールのような物で悪く言えば受け継がれで人間の心理を付いたまぁ上手くは説明出来ないがそういう物であったつまりはそんな杉ヶ峰も色んな葛藤の中で被害を被られた警察官の1人だと思い込めば納得出来るという訳であってだがしかし擁護する理由には全くならない石玖保は静かな[顎木さんに相談してきます]と言い残し石玖保は強張った表情を浮かべながら取調室を出て行った5分後顎木が[杉ヶ峰さん…]と眉間に皺を寄せ言い取調室に入って来て杉ヶ峰の横に立ち[いったいどういうことですかまだ未成年の少年を袋叩きにして赦されると思いましたか?しかも少年を庇った石玖保まで大怪我を負わせて]と言われ杉ヶ峰は[あぁ?顎木今なんて言った?まだ未成年だと?現在進行形でこいつはいつも世話になっている人達を平気で殺したっていうのによったく冗談も休み休み言えそれともなにか15年前の事件の事をまだ引きずっていて完全に屁っ放り腰にでもなったか情けねぇなぁ]と罵る言葉を言われ顎木は更に眉間に皺を寄せ怪訝そうにしていたが冷静にかつ静かな口調で[なんとでも言っても構いませんが暴力と強制自供みたいな事は少々控えてもらえませんか]と反論を言われ杉ヶ峰は大きく舌打ちをし[偉そうに]と言い顎木を睨み付け顎木は表情を崩さず負けじと杉ヶ峰を睨み返した当の尚晞は2人のやり取りには全く目を向けずただ口を閉ざし黙ってやり過ごしているそれから大きな傷を負った石玖保は調書が置かれた席にゆっくりと着きペンを固く握りいつ尚晞達が話し始めても良い様にノートにインクを滲ませていた大凡2時間以上杉ヶ峰による暴力に耐えかねていた為辺りは広範囲の床や壁には血痕が付着していて初めてこの現状に立ち寄ったら小さな悲鳴とかが出してしまうだろう顎木は取り敢えずこの取り調べを切り上げる事にし早急に救急車を手配して更には大袈裟だが警察病院を指定し搬送した勿論この事は署長である副島瑛佑警視へと報告したが内部で起きた案件として処理されてしまい顎木は結局何も出来なかった

※大変申し訳ございませんが先程記載しました科学物質の調合では不可能な気がしますので正確な情報があるみたいでしたら正しい情報をかなりこっそりと教えてくれたら助かります

※それよりもこれは単なる小説の中であって実質的な実験とか決してしないで下さい自分と他人の身を滅ぼしますし何よりも犯罪に手を染めないで頂きたいと切に願っています

人を探しています
恥を忍んでお話しています
11年以上前知人が自分の過去帳と位牌を
当時仕事で知り合った人に預けたそうなんです
その当時知人は1年位ちょっと遠い地方に行く用事が出来
引っ越しの荷造りを進めていたそうなんです
その時はそれらは当時借りる予定のアパートに置くつもりでしたが
たまたまそれらを見付けたその人は
[そんな事するならバチが当たりそうだうちで供養してあげるから]と説得され
本人も[それなら安心かもしれない]と
無知過ぎるとは言えば無知過ぎたと今現在反省を隠しきれない様子
話は戻して1年となり知人は地元を離れ別の場所に引っ越しを決めました
そこでそれらを預かって貰っている人に会うことになったそうです
返してもらえるかも知れないと思った知人は
[あれは持ってきたのだろうか]と楽しみにしていたそうです
しかし当日忘れてきたそうです本人曰く
[またちょくちょく会えると思うし次回持ってくるよ]と言われたそうです
しかしそれが間違いでした
それから1年が過ぎその人が病で亡くなってしまったの事を知らされ
おまけにその人の家族が早急に部屋を片付け始めている事を知り
知人は車も持っていない故明日は仕事が有り身動きが取れない状況になったそう
翌日の連絡した知人が様子を見に行くと言うので安心した知人は思わず
祖父に買って貰ったノートパソコンをお願いしてしまったそうです
それも預かって貰っていたそうでなんとも呆れ返りましたが
とっさの出来事であり先に頭に浮かんだ物がそれでした
そして数ヶ月が過ぎやっと連絡してくれた知人と会えたその時[しまった!]
と思ったそうですそう1番先に上げるべき言葉を忘れてしまった事を
後悔は先に立たずという言葉が頭に過りました意味はよく分かっていませんが
でもその場所では言い出せなかったそうですなんとなくの雰囲気で
知人はその日から半ばその事を諦めました
[当分見つからないかもしれない]とそして月日は流れ
なんとなくあの事を思い出す機会があったそうなんです
それは亡くなった身内が夢に出てきた事
その日からずっと今日まで悶々と考えていたそうなんです
[どうやって取り戻そう…]と
色々と思い当たりそうな事柄を考えたそうです
弁護士事務所 興信所 探偵 でもそれらは金銭的に無理かもしれないと
そこで一か八かでこうして探そうと決めたそうです
心当たりがあれば名乗り出てくれませんか?
特徴は
知人に出会う前には小樽に在住していて建設会社かその関係絡みの社長を務めていたそう
妻子持ちだが 夫婦仲は冷めていたそう
娘さんは最初Dが付く携帯ショップの店員をしているかしていたのどちらか
医療福祉関係の知人が居る 時々仲良くして貰っていた
名字は[長い船]だそう
どうかその人のご家族の方知人の方どうぞよろしくお願いいたします 本人は凄く後悔をしていますし返事を待っています せめて過去帳でも良いのでよろしくお願いいたします
必ず連絡を下さい