袴田巖さんの再審開始決定に対し、あろうことか即時抗告を行った検察。
昨日(4月9日)は即時抗告を取り下げさせるべく、
さまざまな支援団体から約20名が集まり、
東京高検に要請を行いました。

霞ヶ関にある検察庁の会議室で対応してくださったのは、
公判事務課のマルヤマさんとマスダさん。
検察庁や裁判所は「開かれた司法」の体裁を取り繕うためか、
今回のように要請を受け付けています。
しかし冤罪を作り上げた当事者である検事や裁判官が出てくることは、ほぼありません。
「必ず伝えておきます」という事務方の言葉を信じて、要請文を託すだけです。
それでもこの機会を逃すまいと、参加者それぞれに即時抗告への怒りを伝えました。
以下、発言の一部を紹介します。(文責はブログ執筆者の小生にあります)

●「今朝、外国人記者クラブで会見を行い、事件の不正義を世界に発信した」(アムネスティ)
●「証拠の捏造、証拠隠しに多くの市民が憤っている。検察はそれを自覚すべき」(国民救援会)
●「警察は“袴田はボクサーだから怪しい”と犯人視したことが心外だ。勉強はできないかもしれないが“今に見ていろ”と頑張るのがボクサー。それが人を殺すはずがない」(元WBA・WBCスーパーウェルター級王者・輪島功一さん)
●「再審で争うなら堂々とやろう。隠している証拠を全て出すように(検事に)お伝えいただきたい」(布川事件・桜井昌司さん)
●「自分は東京拘置所で5年間、袴田さんと一緒だった。その頃の袴田さんはまだ元気で、シャドーボクシングもしていた。それを廃人同然にしてしまった責任者は、みんなハリツケの刑にしたいぐらい。即時抗告を取り下げて、証拠を全面開示すべきだ」(布川事件・杉山卓男さん)

この通り「要請」というより「怒り」をぶつけたと言うに等しいものでした。
それだけ今回の即時抗告は、許されざる蛮行です。
袴田さんは1日12時間を超える苛烈な取り調べによって自白させられました。
さらに犯行時の着衣など証拠の捏造によって犯人とされ、死刑判決を受けました。
そして検察は、袴田さんの無実を示す証拠を数十年にわたって隠してきました。
静岡地裁の再審開始決定においても、これらの不正義を厳しく断罪しています。

それに対して、この期に及んでの即時抗告!
「袴田さんを再度、死刑囚として拘置所に戻せ」と言うのでしょうか。
もし将来、日本の検察が歴史の教科書に載るとしたら、
ナチス・ドイツやポル・ポト政権と並ぶ人類の汚点と記録されることでしょう。

私は78歳の袴田さんの姿を見ると、
素直に再審開始を喜ぶ気にはなれません。
これだけ無実が明らかでありながら、
48年もの間、人生を奪われてしまったことに愕然とするばかりです。


(写真/上)
終了後、囲み取材に応じる輪島功一さん。手前は桜井昌司さん。

(写真/下)
参加者一同。








終了後、囲み取材に応じる輪島功一さん
要請の参加者
 昨日(4月6日)は、名古屋で行われた「再審をめざす全国支援市民集会」(国民救援会愛知本部、名張事件愛知守る会などによる共催)に参加してきました。
 88歳の死刑囚・奥西勝さん(名張毒ぶどう酒事件)をはじめ、各地で無実を訴える人々の一刻も早い再審無罪を目指そうと約700人が集まり、もの凄い熱気でした。冤罪事件の集会でこんな大人数を記録したのは異例中の異例。「袴田事件」の再審開始決定(3月27日)が、良い形で影響しているのでしょう。

 当日の様子については他の方々がブログなどで伝えているので、一つだけ感じていることを記します。袴田事件の再審開始決定において、裁判所が「捏造」を認めたインパクトの大きさです。
 この事件では犯行時に袴田さんが着ていたとされる服などについて、静岡県警が多くの捏造を行いました。それを静岡地方裁判所は「袴田は、捜査機関によって捏造された疑いのある重要な証拠によって有罪とされ、極めて長期間死刑の恐怖の下で身柄を拘束されてきた」と、断罪しています。

 無実の人を犯人にデッチ上げるために証拠の捏造が行われることは、少しでも冤罪事件を知る者にとっては、もはや「常識」。しかし世間的には「警察や検察がそんなことするはずない」という声が大多数で、この事実はなかなか認識されていません。
 袴田事件の小川秀世弁護士が「日弁連の集会などで“警察が証拠を捏造した”と言うと、“そんな過激な言葉は使わない方がいいですよ”とたしなめられる。事実を事実として明言して何が悪いんだ!」と、憤っていたのを聞いたことがあります。冤罪と闘う弁護士の世界でさえ、正面から批判することは憚られていた様子が伺い知れます。

 そこに今回の静岡地裁の決定。国の機関である裁判所自らが「捏造」という言葉を決定文の中に明記し、それが行われたことをオフィシャルな形で認めたわけです。

 これは日本の刑事司法におけるパラダイムシフトです! これからは声を大にして捏造を糾弾し、こうした捜査や起訴を許さない世論を盛り上げましょう。
 北陵クリニック事件の守大助さんの再審請求は、袴田の開始決定が出る直前の3月25日、仙台地裁によってヒッソリと棄却されてしまいました。この事件も警察&検察による捏造の嵐によってでっち上げられた典型です。逮捕当時29歳だった大助さんは、獄中で43歳を迎えました。「袴田に続け!」で、塀の外に取り戻しましょう!!
(終わり)

息子・守大助さんの無実を訴えるご両親