元夫のお父様は東京郊外にある不動産会社の社長でした。
とても優秀な方なのは、お話を聞いているとその知識の豊富さや、頭の回転の良さお話の上手さ等から滲み出ていて、私はお話を聞くのが大好きでした。
ただ、息子である元夫と、その兄は過去のお金に関するいざこざからか、あまり父上を良く思っていなかったようで、時折言い合いになる事もありました。
それでも、お仕事の経験談や、ゴルフの話、旅行の話を聞きたくて、私は元夫とふたりで、時々お邪魔していました。
元夫のお母様は、とても控えめで上品な方です。社長夫人という派手さはなく、いつも優しく微笑んで迎え入れてくれました。
私たちが結婚する前でも、別荘に遊びに行くと言えば、夕飯に作ったからと、手作りのお惣菜をタッパーに詰めて持たせてくれたり、まだ嫁にもなっていない私を、娘のように優しく迎えてくれました。
元夫が、三男坊、私が兄弟の長女なので、私の両親と祖父母のちょうど間の世代で、私の周りには存在しない世代の方々でした。
私の母は、兄弟の末っ子に育ち、あまり上品とは言い難い人で、とても対照的なお二人に、私は憧れのような気持ちを持っていました。
お料理がとても上手で、煮物や炊き込みご飯、和え物やちょっとしたおつまみなど、何でも手際良く作り、上品で素朴な味のお料理は私のその後の主婦人生において、とても参考になりました。
こんなお二人の息子だもの、きっと彼も紳士的なはず。。。
どこをどう切り取っても、その後数年間の生活を予想出来るような要素は何もありませんでした。
私は、元夫のパーソナリティ以上に、ご両親の振る舞いに、好意を持ったのでした。
そしてその気持ちは、24年経った今でも、全く変わってはいません。