赤とんぼが
黄金色に
照らされたころ
太郎は
山の向こうに沈む
太陽を
部屋の窓から
眺めて
おりました。
太陽は
今日たくさんの
お仕事をしたから
きっと疲れて
家に帰って
お休みになるはずだ。
太陽はいったい
どんな家に
帰るのだろう。
太郎は
あれこれ想像し
一度でいいから
太陽の家を
みてみたいものだと
思いました。
ある日の夕方
太郎は
太陽を追いかけて
山を登りました。
しかし
どんなに追いかけても
太陽は
逃げるばかりで
いっこうに
追いつきません。
あたりは暗くなり
日は暮れて
帰り道さえ
わからなくなった
太郎は
森の中で
ひとりのフクロウに
出会いました。
おまえさんは
こんな山奥で
いったい何をしているのかね？
太郎は、フクロウに
ことの始終を
話しました。
すると
フクロウは
言いました。
今日はここに
泊まって行きなさい。
お前さんの両親は
さぞかし心配なさっている
ことだろうが
今日という日は
お前さんにとって
きっと
大切な１日に
なるはずだろう・・・
こころを決めて
今夜は
ここで過ごしなさい。
太郎は
父と母が
自分を探している姿を
想像し
胸が締め付けられるような
想いをしました。
フクロウは
言いました。
そんなに
太陽の家を
みたければ
お前さんに
いいものをやろう。
フクロウは
小さな袋から
赤い実を取り出しました。
この赤い実を
寝る前に
かじりなさい。
フクロウは
それ以上のことは
言いませんでした。
やがて
夜は深まり
真っ暗な森には
月の灯りだけが
さしていました。
フクロウは
静かにホーホーと
歌いました。
太郎は眠くなり
フクロウに
言われたとおり
赤い実を
かじりました。
するとその夜は
不思議な夢を
見たのです。
太郎が
風の子のように
薄い雲をかきわけ
遥か彼方の
南洋の空を
彷徨っていると
やがて
小さな島が
見えました。
島の周囲には
切り立った崖がそびえ
灰色に
青みがかった岩肌が
行く手を
拒んでおりました。
太郎は
島におりたち
切り立った崖を
登りました。
そして
崖の頂上から
中をのぞくと
そこには
静かに眠る
太陽がいたのです。
真っ赤な炎を
消した太陽は
青白く透き通り
その血管は
静かに
動いていました。
太陽の家を
見つけた太郎は
ハッとして
目を覚ましました。
太郎は
フクロウのもとに
急ぎました。
太郎の報告を聞くと
フクロウは
高らかに笑いました。
そうだとも。
それが太陽の家さ。
それを知っているのは
このワシと
お前さんくらいなものさ。
太郎は、
太陽を見上げて
いいました。
おーい！
太陽！！
僕は、太陽の家を
知ってるよーー！
太郎は
太陽に向かって
大きく手を振ると
父と母のもとに
急いで
走っていきました。
をはり
🦆🐤🐦🐕🐌あとがき🐮🐘🐸🐷🐨
この物語に登場する
太陽の家は
わたしが
子供の頃に
よく見ていた夢で
あります
太陽に家などないことは
わかっては
いましたが
わたしは
この夢が好きでした
物語として
表現できたことを
嬉しく思います
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