No.0289
(酬恩庵一休寺)


今日のテーマは

『落語の使い方』


こんにちは、ご訪問頂き有難うございます(^^)


社会に役立つ『落語の使い方』と言う事で、古典落語を紹介しつつ、心穏やかに生きていくための了見を考えてみたいのですが•••🤔



今の日本社会では、パワハラが横行するような、役所や企業は社会からブラック企業というレッテルを貼られてしまいます💦

働く従業員も過酷な労働条件だとブラック企業として企業や経営者を訴えるケースも良く聞きます。
新入社員でさえすぐに見切りをつけ、次の企業を選択します。

落語の世界にもそんな過酷な労働条件を強いる経営者の話があります(*^^*)

『化け物使い』

天下茶屋(てんがちゃや)の佐々木のご隠居さん。若い時分から一生懸命働いて、財産を築き上げた。
今、隠居でございますが、自分が一生懸命やってただけに、やっぱり他人にも厳しゅ~ございます。
人使いが荒いといぅ評判の隠居さんでございまして、もぉ奉公人がやってまいりますけども、しばらくいたしますと、皆音を上げて「お暇を頂きたい……」
人使いが荒すぎて使用人が居つかない。

ここへ   島之内畳屋町八幡筋に「吉田屋さん」といぅ、わりと大きな口入屋さんがございました。そこの紹介で、隠居の人使いの荒いのを承知で、権助さんという無骨な男がやって来た。 

 ご隠居
「今日はもうやる事はない。ゆっくり骨休みしてくれ」
と言いながら、薪割り、炭切り、縁の下の掃除、天井の掃除、塀洗い、草むしり、どぶ掃除から向い両隣の家の前までも掃除させ、さらに手紙を堺の古道具屋まで届けさせ、ついでに十三まで回らせる。

こんな調子では三日も持たないと思いきや、権助さんは三年間も隠居の家で働き続けている。

ところが、隠居は今より好条件だが、化物屋敷と噂される家に引っ越すことになった。

人間は恐くないが、化物は大嫌いで苦手な権助さんは暇を取って国元へ帰るという。


「権助、おまえまで人使いが荒いと言うのか?」

 権助
『そうではありません。ご隠居が引っ越そうとしているのは化け物屋敷です。そんなところへは付いていけません💦』

「そうか……。それなら仕方ない暇を出そ。御苦労さんやったな」

『ありがとうございます。まぁ暇をいただきますとなりますと、わしと旦さんとはもぉ主でもなければ家来でもないなぁ?』

「えらいまた開き直ってきよったで……、そらまぁそぉじゃ、主従の縁は切れるといぅことや」

『そしたらわし、旦さんに一言申し上
げますがの……』

「ほぉ、何を申し上げんねん? 」

 『いや、まぁこんなこと言ぅて何じゃが、旦さんはなぁ、人使いが荒いと言ぅよりは人使いが下手じゃ……。無駄がある……。
早い話が「権助、ちょっと豆腐買ぉてこッ」と、こぉおっしゃるじゃろ。
わし、豆腐買ぉて走って帰ってきたら
「権助、油揚(あぶらげ)買ぉてこッ」とおっしゃる。 
アブラゲ買ぉて帰ってきたら「権助、オカラ買ぉてこッ」と……。

おんなじところへ何べんも行たり来たり行たり来たり、ちょっと言ぅ前に考えて「権助、豆腐とアブラゲとオカラ買ぉてこッ」ってゆうたらいっぺんで済むんじゃから……。
したら、そのあいだにほかの用事もできるちゅうことや。 
それ直さん限りは、何ぼ奉公人が来ても無駄じゃ』

「何をぬかしとんねん!
そんなもんお前、口入屋へ言ぅたら何ぼでも来るがな」

『あきゃせんあきゃせん、来やせんこやせん。吉田屋へ言ぅつもりじゃろ? もぉお前さんの噂は広まってるで、奉公人なんか来やせんが』


さて困ったのは隠居だ。
人使いが荒い上に、化物屋敷では口入屋に頼んでも使用人など来るはずがない。
急に権助がいなくなって不便は承知だがなぜか一人はさびしく、早く化物でも出てくれないかと心待ちにしている。


夜が更けると、背中がぞくぞくっとしたと思って、まわりを見回してみると部屋の隅に知らない子供が立っている ……。
 よく見てみると子供には目がひとつしかない
 でたっ!一つ目小僧だ〜! 
 と普通の人は逃げ出すだろうが ご隠居相手にそうはいかなかった

「ちょうどいい お膳を片付けて、洗い物をしなさい!」 

 掃除が終わるとアレをしなさいコレをしなさいと人間同様にこき使うご隠居 。
一通り仕事が片付くと

こんなはずじゃなかったと泣きっ面をしている一つ目小僧に、

「明日は用事がごっそりあるから昼間から出て来い。”ぞ~っ”とさせるなよ」

と言ってさっさと寝てしまった。

奉公人までついてくるとは。
しかも人間ではなく化け物だから給金もいらない。良い家に引っ越せたと喜ぶご隠居。

次の日も一つ目小僧が出てくるのを待っていると現れたのは見上げるような大入道!
 今度も驚くどころか 重いものを運ばせたり薪を割らせたりこき使うご隠居

「お前は十日に一辺でいいから!普段は一つ目を早い時間に来させな。来るときは”ぞ~っ”とさせるなと言っとけ!」

と、贅沢な注文をしていると大入道は消えてしまった。

三日目はのっぺらぼうの女だ。
隠居にジロジロ見られて女はモジモジと恥ずかしそうにしている。
隠居は
「恥ずかしがることなんかないよ。なまじ目鼻があるために苦労している女は何人もいるんだから」
と優しい言葉をかけ、
「見えないだろ、糸を通してあげようか?」
と気を使って裁縫などをやらせる。

やっぱり女のお化けの方が家の中が華やいで明るくなっていいと、明日からは主にお前が出てくれとラブコールだ。
図に乗って顔を書いてやろうかなんて言い出す始末だ。
見るとのっぺらぼうの女は消えていた。

隠居はすっかり化け物使いに味をしめた。
なにせ何も食べずによく働き無給金で、毎晩日替わりメニューでお化けのオンパレードを見られるのだから言うことはない。

さて、次の晩はどんなお化けが出て来るかと心待ちにしていると、障子の向こうから小さな狸が現れた。
この狸が毎晩化けて出ていたのだ。

 狸は涙ぐんで、
『お暇を頂きたいのですが……』

 「なに、暇をくれ?」 

 『あんさんぐらい、化けもん使いの荒い人は見たことがない💦』

。。。。。。

えぇ〜‪(´•ᴗ• ก )‬՞ ՞いかがでしょうか?

落語化け物使いのオチは化物屋敷の怪異の正体は実は子タヌキ(  ⓿ᴥ⓿)。
化かそうとしましたがご隠居の人並外れた人使いの荒さにまいってしまい「お暇をください」と降参するというものです。( ᴖ ·̫ ᴖ ) 

 江戸時代の奉公人は通常 主人の店の居住スペースに住み込むことが当たり前でした。 
しかも休日は薮入りと称して与えられる2日間。
年間休日たったの2日!Σ(゚д゚;)
住み込みということは24時間拘束なので現代の常識と比べると紛れもなくブラック企業!

現代は、労働法や他の法律により労働者は守られてます。
ニュースで見ると、現在でも上司のそんな言動で、また過酷な労働条件で働かされている人達がいるのだな〜と不思議でなりません🤔

この「化け物使い」のご隠居さんの奉公人(化け物)に対する数々の言動はまさにハラスメントです。
落語を聞いて頂き、心当たりのある事業主さんは、是非問題になる前に改めて下さい
m(_ _)m

ではまた次のブログでお会いします🐝))