週に1度、木曜日、朝8時ちょうどに、
1人の男がやって来る。
名前はルイ(Louis)。
彼は、この城に18年間勤める庭師である。

いつも携帯ラジオを片手に仕事する。
『シェリーFM』がルイのお気に入りだと見え、
マドンナがかかると、
なにか、音の神様が憑依したように
突如大声で歌い出すのだ。
そしてワンフレーズのみならず、
トーンは高く保ちながら最後まで歌い切るのだ!
*因みにルイの携帯の着信音はミッション・イン・ポッシブルである、
念の為。


マドンナと一緒に芝刈り機☆!
~~~時は遡り4月下旬。

キゥィイーーーンという何かを削る音と、
地球がぐるん、とひっくり返ったような叫声で目が覚めた。
庭に出て、
プールにおそるおそる近づいていくと・・

ルイだ!
ルイが、「Bordel! Bordel! 畜生!こんちきしょう!」としきりに叫んでいる、
壁に向かって。
叫ぶ声は止まず、それに反し徐々にエスカレートしてきたので、
家の主も庭に出てきて「どうしたルイ?!」と声をかけると、

「いやね、この粉塵たちめが、目の中に入ってきやがるんだ」、と。

そして、また歌を歌い出す。陽気に、トーンは高く空まで高く・・・!
この日はミッシェル・ベルジュ特集で、ものすごく機嫌が良かった。
因みに-Michel Bergerは、
フランス人の大好きな80'Sを代表するスター歌手で、
La groupie du pianiste(1980)は
今聴いても、もの凄く、カッコいい。念の為。
~~~5月下旬。
南仏は日中30度を超す暑さで、いよいよプールの時期である。
ルイはこの前修理したプールを掃除している。

今日も力いっぱい声をふりしぼり歌いまくる。

周りの風景が色褪せるくらい、
周りの景色がルイ色に染まり出し、
まるで太陽が、ルイだけを照らしていみたいに、
ルイの仕事姿には惹かれる何かがある。

この犬は、善人と悪人の区別がつくといわれているが、
ルイがくるといつもルイの周りにステイしているのだ。
きっと、ルイの事が大好きなんだと思う。

近所かまわず大声で歌い、ドアや壁に向かって叫び、そして怒り、
汚い言葉をバンバン使うのに、不躾な感じは全くない。
むしろ家の主が言うように「ルイはヒューマンだ」
みんなルイが大好きである。
とても人間っぽく、
ルイがいると周りが幸せになって、
庭でとったバラのブーケをグラスに飾る心の綺麗な人。
人間はやっぱこうでなきゃね!