夏の夕立が好きです。
007にSky Fallというタイトルの映画がありましたが、
真っ黒い雲が広がるのと同時に、まさに空が落ちてくるみたいに降って
ひとしきり降ったら、また嘘のように去っていくあの感じ。
そんな雨を急に涼しくなった部屋の中からながめるのも、
びしょびしょになって家に飛び込んで、行水でさっぱりするのも
窓際にいると肌に感じる水滴も。はああ、夏。
子供のころ、従兄弟たちや弟と濡れて走って帰った田舎の道や、
皆で入った古いお風呂や、黄色い畳や仏間のお線香の匂いを
思い出すからかもしれません。
庭でした花火や、大皿のスイカの黒いタネや汁のにおい(←苦手だった)や
カブトムシを取りに行った明け方の梅畑や。
扇風機の前を取り合ったり、お盆参りで騒いだり、蚊帳から出たり入ったりして、
いつも大人に怒られていたことさえ懐かしー。
そんな田舎の家は、もうありません。
5人いた父たち兄妹が平等に相続する時代になり、長男だった父が亡くなって
15年の間に、蔵のついた家も竹林も畑も周辺の土地も、売れてしましました。
面倒くさい相続を弟にまるごと全部押し付けて、お墓に行きもしなかった私には
もちろん何も文句があるわけではなくて、ただこれほど長い年月引き継がれ
守られてきたものがすっかりなくなるのが、あまりにあっという間だったことに少し驚き、
また、それが家長制度とという不合理な仕組みのもとに守られてきたのだと納得し
呑気で幸せな自分の思い出や身勝手と、暑い夏も寒い冬も大きな古い平屋で暮らし、
季節の行事を支度してくれた祖父母や、近くに住んで彼らを支えてきた叔母一家の
ありがたみが思われるなあというような。夏の徒然。。?
お盆に帰る家がなくて申し訳ないけれど、ナスとキュウリで、昔のように牛と馬を作って
提灯とお線香を置いたら、遊びに来てくれるかな?
今日は、先週の真夏の鍋の名残のスイカを食べようっと。いや、もう食べないと。