【ミステリ】過ぎ行く風はみどり色/倉知淳

亡き妻に謝罪したい――引退した不動産業者・方城兵馬の願いを叶えるため、長男の直嗣が連れてきたのは霊媒だった。インチキを暴こうとする超常現象の研究者までが方城家を訪れ騒然とするなか、密室状況下で兵馬が撲殺される。霊媒は悪霊の仕業と主張、かくて行なわれた調伏のための降霊会で第二の惨劇が起こる…

霊媒やら殺人が起きるミステリーだけど、読書後の後味はとても爽やかです。巧妙に伏線を隠しいて、仕掛けにも完全にやられました。本作品の探偵の猫丸先輩のキャラクタもいかにも奇人、だけど良い奴、みたいな感じで魅力的。
個人的に一番のポイントは「過ぎ行く風はみどり色」というあまりにも素敵なタイトル。最後まで読むことでこのタイトルが持つ意味を噛み締めることができます。

謎だらけの事件について、たった一つの事実によって畳み掛けるような謎解きが起こるラストは鮮やかの一言。

願わくば貴方の心にも風が通り抜ける事を！

【洋画】恋人までの距離

恋愛映画では数少ないお気に入りの作品です。

ヨーロッパの長距離列車の中で出会ったアメリカ人留学生(男)とフランス人の大学生(女)。彼はアメリカへ帰る飛行機の便までの時間、恋人になってくれないかと彼女を誘う…

特に事件やイベントが起こる訳でもなく、二人がひたすらに会話をしながらウィーンの街中を歩き回る、そんなちょっと変わった映画です。

でも会話する事により人は相手を知り、共感し、好意を寄せたりします。価値観、人生観、好みなどに共感し、急激に距離を縮める二人の姿を見ていると、とても素敵な気持ちになれます。距離は縮まるけど、別れの時間はせまり…

そしてその後に思いを馳せずにいられません。
僕もこんな出会いをしてみたいな(笑)

実は「ビフォア・サンセット」と言う続編もあります。気に入った方は是非見てみて下さい。映画の続編には珍しく良く出来ています。

【洋楽】Guerrilla/SuperFurryAnimals

今日はスーパーファーリーアニマルズの「ゲリラ」をご紹介。

ウェールズ出身の彼ら。ポップでサイケデリックなサウンドは中毒性があり、そのサウンドにばかり耳が奪われがちだけど、メロディセンスも素晴らしいものを持っています。

このアルバムはそんな彼らがエレクトロニクスを積極的に導入し、高水準なソンググライティングを全曲を通じて全く損なうことなく、絶妙なバランスを保った傑作です！

スーファリのもう一つの魅力のコーラスワークの多彩さも存分に堪能できます。

願わくば貴方が彼らの変態ポップにやられることを！