7月11日に、日本共産党は宮本市長と教育委員会に「中央消防署秋津出張所の職員の生命と健康を守り、住民・生徒・保護者・教員の誰もが納得のいく建替え案をまとめるための提言書」を提出しました。
2023年7月11日
習志野市長 宮本 泰介 様
習志野市教育長 小熊 隆 様
職務代理者 古本 敬明 様
教育委員 赤澤智津子 様
教育委員 高橋 浩之 様
教育委員 馬場 祐美 様
日本共産党習志野市委員会
日本共産党習志野市議団
中央消防署秋津出張所の職員の生命と健康を守り、住民・生徒・保護者・教員の誰もが納得のいく建替え案をまとめるための提言書
突然出てきた移転建替え案に驚きの声
第七中学校敷地の一部を中央消防署秋津出張所の移転建替え用地として移管することについて、3月24日付で市長から教育長へ文書で協議申し入れがされ、5月24日の教育委員会定例会で報告がされました。突然出てきた移転建替え案に、住民や保護者から驚きの声があがっています。
学校の教育環境への悪影響が心配
住宅密集地に囲まれた学校敷地内へ消防施設(緊急車両が24時間出入りする施設)を移転建替えするというのは、全国的にみても前代未聞のやり方です。大きな音や振動が出る施設の建設による教育環境への悪影響が心配されています。
市当局は「空いている市有地に建て替える検討をしてきたが、今時点で空きそうにない中で、第七中学校敷地への移転を急ぎ検討することになった」と説明しています。教育環境の維持・向上などを検討した結果ではありません。
説明を受けた保護者からは「建設予定地に最も近い教室を特別支援学級が使っており、音に敏感な生徒への影響が心配」「建設予定地前は自転車通学する生徒全員の通学路となっており、事故が起きないか心配」「ソフトボール場が削られ、部活動に支障が出るのではないか」「プール横への建設であり、水着の授業が見えてしまう」「体育館で毎年開催する『海辺のコンサート』でサイレン音が響くのではないか」などの意見が出ています。
住宅地の住環境への悪影響が心配
建設予定地の目の前は閑静な住宅地であり、昼夜を問わず出動を余儀なくされる緊急車両の出入りによる住環境への悪影響も心配されています。
秋津出張所の年間出動回数(2022年)は、救急車の出動が1635回、消防車の出動が224回でした。日本共産党が他の消防出張所の近隣住民に聞き取り調査をしたところ、「救急車の出動が多い。夜寝ているときにサイレン音が響いて驚くことが多い」とのことでした。また、「サイレン音だけでなく、日常的な館内放送(出動指令)の音も大きい」「エンジンカッターやチェーンソーなどの点検・訓練時の音も大きい」といった問題もあることがわかりました。
第2次埋立てで秋津・香澄のまちをつくったとき、習志野市と千葉県は、住宅地・教育施設と消防施設を分けて配置する土地利用計画をつくり、住環境や教育環境に配慮しました。消防出張所は必要ですが、現在の場所から第七中学校敷地へ移転させるのは、場当たり的で無計画なやり方ではないでしょうか。勤務する消防職員も、大きな音や振動の防止、出動時の安全対策などに神経を使わなければならなくなります。
市当局は、移転のメリットとして「地震で大規模な地盤沈下が発生した場合、河川に囲まれている香澄地区に緊急車両が到着できないことを懸念している。香澄地区に移転することにより、消防活動が継続できる」「橋が落ちた場合、現在の秋津出張所から香澄地区へはアクセスできない。七中へ移転すれば、香澄地区は大丈夫だし、秋津地区は谷津奏の杜出張所からも近いのでカバーできる」と説明します。しかし、地震対策として必要なのは、橋梁の耐震化や道路の液状化対策であり、香澄地区に秋津出張所を移転させることではありません。
「市民との対話」を欠いた候補地選定
習志野市の第2次公共建築物再生計画には、「個別施設計画の策定と見直し」について「将来のまちづくりを踏まえた政策、施策との関連性の中で、将来ビジョンを市民と共有しつつ、魅力あるまちづくりを見据えた検討が重要です。… 市の長期計画や都市マスタープランなどの上位計画との関連性を踏まえつつ、市民との対話、協働による検討を進めていくこととします」とされていました。ところが、今回の移転建替え案は「市民との対話」がないまま、候補地の選定が進められました。
秋津出張所の建替えについて、2018年9月の市議会で「平成28年度第2回消防委員会で移転建替えの答申が出た」「建替え場所は、総合福祉センターの敷地も候補地ではあるものの、いまだ決定はしていない」との答弁がありました。2021年3月改訂の公共施設等総合管理計画では「周辺の公共施設の再生事業との調整を図りつつ、計画の前倒しを含め、早期の対策実施に向けた検討を進めます」とされました。その後は検討状況について、市議会にも市民にも何の報告もありませんでした。
今年春、候補地選定が急に動き始めました。3月の第2次公共建築物再生計画・中間見直しに「(7年間の)前倒し実施を検討」の記述が突如あらわれ、5月末に「第七中学校敷地」への移転建替え案が公表されました。
現時点でも、住民・生徒・保護者・教員の多くが移転建替え案を知らされていません。来年以降に第七中学校へ入学する香澄小学校、秋津小学校、谷津南小学校の児童・保護者も何も知らされていません。これでは「市民との対話」がされたとは到底言えません。
日本共産党の一般質問で、第七中学校敷地のほかにも案があったことが明らかとなりました。①現出張所の減築(長寿命化)、②現出張所の敷地内での建替え、③総合福祉センター内への移転建替え、④秋津公園駐車場への移転建替え、⑤福祉交流広場への移転建替えの5案です。
市民の意見を聴くことなく、市長は一方的に5案を「不適」としましたが、この5案を知った住民や保護者からは「学校敷地こそ不適とするべきだ」「今の場所に建て替えられないのか」「近隣の秋津公園駐車場などを候補地にするべきだ」「県と協議すれば、他の市有地と公園用地は交換できる」「利用されていない歩道橋を撤去すれば、福祉交流広場を候補地にできる」などの声があがっています。
消防職員の安全の確保と労働環境の改善を
秋津出張所では、給排水管設備の老朽化でトイレ等が使用できないこともあり、勤務する消防職員の労働環境が悪化しています。耐震性が低いことから、大地震の際には消防職員の生命に危険が生じることも考えられます。
市当局は「早く建替えないと、宿直する消防職員が危険」「労働環境が悪化している」と強調します。そうであれば、もっと早く計画的な修繕や耐震工事を実施するべきでした。適切な維持管理を怠り、今年になって大慌てで第七中学校敷地の案を持ち出してきた宮本市長の責任が問われます。その不始末を市長選挙の間は隠し続け、住民・生徒を犠牲にするのは許されません。
第七中学校敷地への移転建替え案は基本設計から竣工までに4年間かかるとの説明です。新しい出張所の完成まで消防職員の劣悪な労働環境を放置することは不適切です。仮に4年以内に大地震がくれば、生命にかかわる事態となります。
消防職員の生命と健康を守るためには、早急に仮設出張所を建設し、宿直機能などを現出張所から移転させることが必要です。過去、大久保保育所の耐震性が問題になったときは、仮設の保育棟を約1億円のリース料で建設しました。旧市庁舎の耐震性が問題になったときは、約8億円で旧クレストホテルを仮庁舎として賃借しました。
市当局は「仮設出張所は10年間で2億円以上の経費がかかるから断念した」と説明しますが、経費を理由に4年間も消防職員の生命と健康をおろそかにするやり方は不適切です。
日本共産党は提案します
住民・生徒・保護者・教員に説明もせず、意見も聴かずに、第七中学校敷地への移転建替えを推進することは許されません。消防職員の生命と健康を守ることも大切です。まずは仮設出張所を建設し、秋津出張所の消防職員の安全を確保した上で、十分な時間をかけて、市民が納得のいく建替え案をまとめるべきではないでしょうか。
そこで、日本共産党習志野市委員会・習志野市議団は、次の4点を提言としてまとめました。実現へ向けて取り組むことを強く要望します。
記
1.中央消防署秋津出張所の宿直勤務等に対応できる仮設出張所を、現出張所の駐車スペースに早急に建設し、消防職員の安全を確保し、労働環境を改善すること。
2.第七中学校敷地への移転建替え案は白紙に戻すこと。第七中学校敷地の該当箇所を教育財産から行政財産へ変更しないこと。
3.消防職員の安全を確保した上で、市長が「お金がかかる」「時間がかかる」との理由で不適とした5案を含め、住民・生徒・保護者・教員の意見や提案を聴きながら候補地を再検討すること。「市民との対話」を重視すること。
4.上記3を検討するにあたって、秋津・香澄を含む第2次埋立ての地域全体の土地利用・まちづくりを今後どうするのかを総合的に考え、場当たり的な移転建替え案としないようにすること。
以上
秋津出張所移転に関する皆さんの声をお聞かせください