20分ほど時が経った頃、夜勤交替の看護師Dがやってきて、小さな悲鳴をあげた。
「だ、大丈夫ですか?」
大丈夫な、わけが無い。ちょびちょびと吐き続けた液体で、首元にはさらに赤く染まったタオルが2本ある。
交替の看護師Dに、再度伝えてみた。トイレに行きたいんです。
「わかりました! 車椅子もってきますから少しお待ちくださいね」
小走りに鳴り響く靴音が嬉しかった。
「お待たせしました。車椅子に移れますか?」
そう言われれば、自分の足でオペ室へ向かった以来8時間ほど、立つことはもちろん座っても無い。ゆっくりゆっくりとベッドから車椅子に移る時に、中腰で腕で支えるために力を入れると頭が揺れて、吐きけを催す。
看護師Dが瞬時に嘔吐用にオレンジ色のバックを口元にかざしてくれた。バッグ下半分ほどの量の血液を吐いた。
看護師Dが心配そうに、何度も何度も背中を何度もさすってくれた。
看護ってこれよね。
嬉しくて安堵の涙が溢れた。
続く