【テーマ・どうとく】


逆境に追いこまれ苦しいとき
周りが敵だらけに思うことがある。

きっと誰にでもある。

そんなときに味方をしてくれるひとが
ひとりでも身近に現れたならば

至上の拠りどころとなるだろう。

こころは安らぎを得て柔らかく弛み
逆境にありながらこころは裏腹に
幸せにも似た心境に変わる。

たとえこの世の全てが敵であっても
このひとさえそばにいれば
それでいいのだと。

実に人間的だ。


しかしそれは
逆境よりもまだ厄介な魔境である。

安心と不安は表裏一体。

幸せな拠りどころを築いているのは
失うことの恐れと不安である。

拠りどころに生まれた執着は
周囲への関心も奪い取り

不安なしには成り立たない
脆い世界に人間を閉じ込める。


たったひとりの、わたしの味方。

それは逆境と思える環境から
我が身を守るための条件に過ぎない。

条件を常に満たすためには
そこはいつも逆境であらねばならなくなる。

風が吹いて環境が変わっても
心境を揺るがすのは難しい。

悲しいかな時は過ぎゆき
魔境のなかの時だけが置き去りになる。

不安なしに生きられない
脆い世界に閉じ込められる。


もう敵すらいない。





逆境に追いこまれ苦しいとき
周りが敵だらけに思うことがある。

果たして真実にそうなのか。

あるものを敵と見なければ
別のものが味方になることもない。

同じひとと出逢っても
出逢いの条件が根底から違う。

同じひとと出逢っても
互いの見方が根底から違う。

風が吹いて環境が変わっても
出逢いの価値は変わらない。

たとえ悲しいかな時が経ち
たとえそのひとと別れても

味方を失うわけでない。
拠りどころが消えるわけでない。





苦しいときほど
考えねばなるまい。

そのひとを味方たらしめているのは誰か。
その場所を逆境たらしめているのは何処か。


敵あっての味方と
味方あっての敵。

不安あっての安心と
安心あるが故の不安。

条件あっての魔境と
魔境の生み出す条件。

それでは表も裏も
空間に浮かぶ一枚の平面ではないか。




目の前のそのひとは
味方でなければ敵でもない。

わたしと同じに
ただひとりの人間である。

ひとりひとりが
ただひとりの人間である。

ただそれだけで
こころは柔らかく弛み

安らぐのではないだろうか。
























【テーマ・りか】


最後の種子を摘み終わりました。

先日の台風のときに
大雨がだいぶ種子を
落としてしまったようで

楽しみにしていた大きなたまは
もうなくなっていました。

除草剤を撒き散らされた
不毛の土地に落ちてしまったのでしょう。


一瞬わたしは
これまでにあさがおから
受けた恩恵を忘れて

こんなことなら
あさがおなど
植えねばよかったと

思いました。

不毛の土地に落ちた種子が
苦しみのなかで芽吹いたとき

その真上のベランダで
同じ遺伝子をわたしは

罪悪感なく育てられるかといえば
できるはずもありません。


いのちの芽を摘む罪状が
わたしのなかに確定する前も
わたしは知らず知らず
数え切れないいのちを
踏みつけにしてきたのだろうに

その罪の重さを
トラウマというかたちでしか
認知できない愚かしさ。

それを克服しようなとどと
思うことのおこがましさ。

それらを罪悪感というかたちでしか
捉えられない了見の狭さ。

この愚鈍さも忘却の能力も
都合のよい思考回路もみな
わたしが生きるために
自ずと手に入れてきたものならば

手離したときは死ぬときなのだろうか。


最近はそうでもないと思う。

生物学的にひととして
生きることを辞められなくても

この遺伝子にまつわる呪縛から
放たれる日がもしもあったら

ひともあさがおも同じように
生きられるのではないかと思う。


たとえ不毛の土地に生まれても
そこに根を張り花を咲かせ
種子を散らして枯れるまで

生きていけるのではないかと思う。



試練を乗り越え生きることが
ひとらしく見える生き方であろうけれど

ひととして生きることは
また別のはなしであるように思う。

だって
生まれながらにひとであり

この人生で
わたしはあさがおではないのだから。