6日

予定どうりTS-1の投与とシスプラチンの投与が進みいよいよ明日退院というところまで来た。

研修医の先生の進めもありお腹にたまっていた腹水を二時間かけて抜いてもらった。

抜き終わった後随時楽になった。排出された水を見てこれだけの量の水がお腹の中にたまっていたのかと驚いた。

さすがに重たかった。

夕方友人のOちゃんが来てくれていた。腹水を抜いてからすぐデイルームに歩いて移ろうとする私に、元気やね!ふらふらしないの?と言ってきた。彼女は介護士で同じような状況の人を多く見てきているからの言葉だった。


その後しばらくして、主治医の先生が来た。
少し話があるからと。

部屋に入ってお願いしていた診断書の確認をしてそれから話が始まった。

薬で治療を続けて行くので今後病気が薬に負けてしまう恐れがある。
この病気で命を落とすことになるでしょう。
と言われた。

薬が合わなければ、1~2年。5年の生存率は難しいと。


インターネットで自分の病気を検索していたけれどどこかで自分のは違うって思っていた。

だけど主治医にはっきり言われここで認識しないといけないんだなとはっきり思った。

はっきり告知してくださった主治医にやりたいことをやっておきたいので、はっきり言って下さってありがとうございますと告げ部屋を出た。


行き場のない気持ちと落ち込みの中で部屋を出たら、後ろから私の名前を呼ぶ声がする。

帰ったと思っていたOちゃんと突然来たMちゃんが鉢合わせて私を待ってくれていた。

二人がいてくれたことにどんなに救われたか。
二階の営業終了のカフェでただ私の話を聞いてくれた。

話している自分さえも現実なのかわかっていない。

金曜日、主治医から抗がん剤についての説明があった。 S-1+ CDDPを使用するとのこと。

スキルス胃癌で、遠隔転移をしている場合、今の医学では完治は出来ないらしく抗がん剤にて、50%までの縮小・留まらせることが精一杯らしい。

この維持を保つ為に今後、一生抗がん剤を投与し続けなければならないとのことだった。

抗がん剤を投与し続けるということは、もう一生私は子供を諦めなくてはならない。
いつか結婚して子供を産んで幸せな家庭を築きたかった。

今日でその夢がすべて壊れた。

受け入れられない。この現実。悪い夢でも見ているよう。

この先私はどうすればいいのかな?私は乗り越えられるのかな?

恐怖と不安でいっぱい
今日は高校時代からの親友がお見舞いに来てくれると言った。

彼女は結婚している。今日外泊許可が出た私のために旦那さんと子供と一緒に車で病院から実家まで送ってくれると言う。

彼女には会いたい。いろいろ話を聞いてもらいたい。
だけど、旦那さんとか子供とかまで会いたくない。
彼女が羨ましいから。

私には彼女のような将来があるのだろうか?
病気は治ると思う。医療は進んでいる。癌は克服できる。

だけど、その後私の人生に出る影響を考えると不安になる。

結局は自分次第なんだろうけど。

親友の申し出を今朝キャンセルした。
キャンセルする前は今日ご家族に会うのは嫌だなと思っていたけど、キャンセルしたらしたで、そんな心の狭い自分がすごく嫌だった。