熊本県山都町の県立高校3年の女子生徒(当時17)が2013年4月に自殺した問題について、県が設置した第三者による調査委員会(委員長・古賀倫嗣熊本大教授)は15日、いじめが自殺の要因の一つだったとする報告書を公表した。ダンスの練習中に1人で踊らされるなど、9項目の行為をいじめと認定した。
 女子生徒は13年4月11日、自宅の納屋で首をつっているのが見つかり、病院で死亡が確認された。携帯電話には「つらい学校生活だった」「皆の言葉が痛い、視線が痛い」などのメモを残していた。学校は校長を委員長とする調査委を設け、全校生徒へのアンケートなどを実施。いじめの存在は認定したが、「自殺はいじめだけが要因と特定できない」とした。遺族はこの結果を不服として第三者委の設置を県に要望していた。
 第三者委は大学教授や弁護士ら5人で構成し、14年1月から学校の調査結果などについて検証。報告書の概要によると、女子生徒は13年3~4月、体育大会に向けてのダンスの自主練習で、うまく踊れないことを理由に複数の同級生から「何で踊りきらんと」「こいつ覚えられんから無理」などと責められ、何度も1人で踊らされた。踊れない姿を見て笑っている生徒もいたという。
 第三者委はこれらの行為をいじめと認定した上で、うまく踊れないというプレッシャーや、体育大会で失敗してクラスに迷惑をかけ、家族を落胆させるかもしれないという心配も心理的負担になったと考えられると指摘。つらい状況がいつまで続くのかという絶望的な気持ちなどが積み重なり、「心理的負担の限界を超え、結果的に死の選択につながったと考えられる」と結論づけた。