政府の社会保障制度改革推進本部(本部長・安倍晋三首相)は13日、医療保険制度改革の骨子を決定した。入院時の食事代の自己負担は、1食260円から段階的に引き上げ、2018年度から460円にすることになった。今月下旬に始まる通常国会に関連法案を提出する。
 入院時の食事代は全国一律で原則1食640円。治療の一環として費用のうち380円が医療保険でまかなわれている。自己負担は原則1食260円で、給付額は年間約5千億円にのぼる。この自己負担額を16年度から360円に、18年度から460円にする。
 ただ住民税が課税されない低所得者はいまの基準額(210円または100円)を据え置く。難病か小児慢性特定疾患の患者もいまのままとする。厚生労働省によると、引き上げの対象者は年間70万人に上り、18年度には約1200億円の保険給付の削減効果があると見込む。
 自営業者や元会社員らが入り、赤字に苦しむ国民健康保険の財政支援は、消費増税分で15年度からまず1700億円を投じる。大企業の会社員が入る健康保険組合(健保組合)などの負担を増やして17年度までにさらに1700億円の財源を捻出し、計3400億円の支援をする。18年度に運営を市町村から都道府県に移す。
 必要な保険料を徴収できなかった場合に備え、「財政安定化基金」を創設する。15年度は200億円を投じ、最終的に2千億円規模にする。一方、高齢者医療への支援金負担が重い健保組合には、15年度に約110億円、17年度に約700億円を支援する。
 また、所得が多い医師などが加入する国民健康保険組合(国保組合)の国庫補助は、16年度から5年間かけて、所得水準に応じていまの32%から最小13%まで引き下げる。国保組合は、国保とは別に同業の自営業者が集まって国保事業を運営している。全国に164組合(加入者約302万人)あり、このうち92が医師や歯科医師、薬剤師の組合だ。