<ソフトバンク4-0楽天>◇1日◇ヤフオクドーム
 ソフトバンクの新外国人ポール・オセゲラ投手(29)が来日初登板初先発で初勝利を挙げた。首位楽天打線を相手に6回途中4安打無失点。世界有数の名門カリフォルニア大ロサンゼルス校(UCLA)出身の頭脳派左腕。CSに向けた秘密兵器になりうる存在だ。序盤のリードを6人の継投で8度目の完封勝ち。4連敗中だったダックワースから7度目対戦で初勝利を挙げ、チーム60勝に到達した。
 「アリガトウゴザイマス!」
 オセゲラのファンへの第一声は、日本語だった。長女ロンドンちゃんを抱っこしてのお立ち台。「(先に)1点が入って気持ちが楽になった。守備にも助けられた。とても興奮しているし、とにかくうれしい」。初先発のため米国から来日した家族に、記念の初勝利をプレゼントした。
 「冷静に投げることをいつも心がけている。楽天が首位と聞いていたが、自分はしっかり投げるだけだった。次はもっと長いイニングを投げたい」
 最速は138キロながら大きなカーブが効果的。ストライク先行で、的を絞らせなかった。4回2死まで無安打投球。5回に初めて得点圏に走者を背負い、岡島をカットボールで遊ゴロに仕留めた。前回2軍戦から中4日。「少し疲れた」という6回に四球と安打を許して降板したが、先発の役割を十分に果たした。
 ノーベル賞受賞者も多く輩出しているUCLAの出身。歴史を専攻していた。「世界史とかアメリカ史とか全般。アジア史も受けた。よく勉強したけど、もっとしとけば良かったかな」。タリタ夫人も同大学で陸上をやっていた。インテリ左腕は「野球選手じゃなかったら、教師になりたいと思っていた」と話す。
 野球ではエリートではない。メジャー経験なし。来日前はメキシカンリーグに所属。毎日国境を越えて出勤していた。開幕前には、消防士の仕事も申し込んだ。「妻も学校に入り直そうと考えていたし、もっとお金を稼げないといけないから」。野球の道を断たれた時の備えだった。
 帆足、新垣、岩崎、大場が不振で抹消、寺原も故障と駒不足の先発陣に救いの手をさしのべた。オセゲラの質問に「ゲラゲラ?」と答えたこともある秋山監督は「良かったんじゃない」と評価。「ボクハ、ゲラゲラデス。ヨロシクオネガイシマス!」。お立ち台の最後も日本語で、ユーモアたっぷりに締めた。【大池和幸】
 ◆ポール・オセゲラ 1984年1月6日、米カリフォルニア州出身。ラコスタキャニオン高-カリフォルニア大を経て、06年ドラフトでジャイアンツから16巡目指名で入団。今季前半はメキシカンリーグのレイノサで19試合に先発し8勝7敗、防御率3・00。ソフトバンクとの契約期間は今季末までで、推定年俸は2500万円プラス出来高払い。背番号14。183センチ、81キロ。左投げ左打ち。