即席ラーメンと言えば、家庭で食べるものと思っていませんか? 実は、あの「マルタイ棒ラーメン」が食べられるお店が今月、福岡市博多区にオープンしました。価格は1杯150円。高いと思うか、安いと思うか――。まずは、食べてみました。
■トッピングもOK
 平日の正午過ぎ。オフィスビルの地下1階にある「パピヨン亭」ののれんをくぐると、食券を買おうとするビジネスマンの列ができていた。メニューはラーメンのほかに、牛丼(ミニ350円、並500円)がある。ラーメンにはネギと生卵のトッピングも可能で、それぞれ50円だ。
 食券を持ってカウンターへ。注文して3分ほどで、ラーメンが出てきた。もやしとキクラゲがトッピングされている。つるつるした生めんのような食感に、野菜のシャキシャキ感が加わって、即席とは思えないおいしさだ。一緒に食べた西部ガス(福岡市)の広報担当者も「牛丼に150円でラーメンが付くと思えば、コストパフォーマンスもいい」。
 パピヨン亭で売っているのは、マルタイ(同)の棒ラーメンシリーズの一つ「博多とんこつラーメン」だ。調理室には市販品とまったく同じものがあり、注文に応じて1袋ずつ開けて調理している。店頭価格は1袋2食入りで200円ぐらいだから、自分でつくれば1食100円だ。トッピング代や光熱費、店で食べられるお手軽感も――。それが込みで150円だから、納得の価格だと思う。
■市販品PR店 各地に
 「話題が集まれば、マルタイラーメンのPRにつながると考えました」と、店を運営する西部ガスの関連会社「西部ガス興商」の小川信弘さんはいう。実はマルタイは、西部ガスのグループ企業だ。簡単・便利な食事を好むビジネスマンをファンに取り込めれば、グループの食品部門の成長につながる。マルタイは「ファンをつかむチャンス。扱ってもらえてありがたい」という。
 調理された即席ラーメンを食べられる店は、東京・渋谷にもある。JR渋谷駅の山手線ホームにある「日清ラ王 袋麺屋」は、日清食品の袋ラーメン「ラ王」を1杯250円で食べられるメーカー直営店だ。担当者は「店で食べるラーメンとしても成り立つほどの高い品質をPRしたい」と話す。
 市販品をPRするためのアンテナショップは、ラーメンに限った話ではない。東京駅では昨年春、お菓子メーカー大手の江崎グリコ、森永製菓、カルビーが出店する「東京おかしランド」がオープン。週末には作りたてのアーモンドチョコレートやポテトチップスを求める家族連れが行列をつくる。大阪・梅田の阪急うめだ本店には昨年秋、亀田製菓の人気商品「ハッピーターン」のコンセプトショップができ、メープルや木いちご味などの限定品が連日完売する。同社の広報は「百貨店で売ることでブランド力を高めるのが狙い」といい、実際に定番商品の売り上げも伸びているという。
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 〈棒ラーメン〉 正式名称は「即席マルタイラーメン」だが、まっすぐなめんの形状から「棒ラーメン」との呼び方が定着している。ノンフライ製法による生めんのような食感が人気で、味はとんこつやみそなど色々ある。パピヨン亭で出されるのは、九州のご当地ラーメンを再現した「九州を食す」シリーズで、7月以降は熊本と鹿児島のラーメンも登場する。