ヤクルトスワローズのユニフォームを着て遊撃手として6回、三塁手として4回、三井ゴールデン・グラブ賞を獲得した「守備の名手」が宮本慎也氏だ。
現代野球ではデータ分析が進み、打者によってシフトを変更するなど、守備の重要性が高まっているが、2014年のプロ野球界を守備の面から宮本氏に振り返ってもらうと、真っ先に名前が挙がってきたのが、広島の菊池涼介だった。
「肩に自信がないと出来ない」菊池の守備範囲。
「彼の守備範囲の広さは間違いなくトップクラス。現役の中では、日本一の二塁手でしょう。昨季まで私も現役でしたから、バッターボックスに立つと『菊池のところには打ちたくない。カチッと打たないと捕られるな』という意識がありました」
菊池涼介 Ryosuke Kikuchi
ダイナミックな守備で、プロ3年目にして球界屈指の二塁手に。広島のCS進出に貢献した。
つまり、菊池が守っていることで、打者にプレッシャーを与えるのだ。それを可能にしているのは守備範囲の深さ、広さ。「深く守れるというのは、肩に自信がないと出来ないことですね」と宮本氏がいうように、菊池は肩、フットワークを含めて守備の総合力が高い。
ただし、まだまだ成長する余地は残されているという。菊池は今季144試合すべてに出場し、失策を12個記録している。実は、守備率で見てみると中日の荒木雅博にトップを譲っているのだ。
菊池の失策が多いのは守備範囲が広く、他の選手では届かないギリギリのところまで追いかけているから――というのがマスコミの評価でもある。それでも、宮本氏はその部分にこそ、上積みの余地があると話す。
「みなさんは『守備範囲が広いから仕方がない』という見方をされますが、僕としては菊池クラスの選手であれば、それを言い訳にして欲しくない。エラーが多ければ、それだけの選手になってしまうからです。追いつき、ボールを柔らかくグラブに収めて、投げる。菊池には、これから日本のプロ野球史上に残る二塁手を目指して欲しいですから」
甲子園が本拠地でもわずか5失策、鳥谷の確実性。
また、宮本氏が守ってきた三塁、遊撃に関してはベテランを評価する。
「鳥谷(阪神)の確実性が光ります。甲子園という土のグラウンドを本拠地にしている遊撃手が、144試合にフル出場して、失策がたった5つしかない。これは捕球だけでなく、送球もしっかりしているという証明です」