あにょにょ～！

今日は2年前に他界した母方の祖母を偲んで、只今こうしてブログを書いています。

今日が命日という訳では無いのですが、先ほど家事をしながらお気に入りの曲を聴いていた時に前川清さんの歌う｢ひまわり｣という曲が流れまして。

この曲は私がまだ学生の頃、実家で暮らしていた時に、歌謡ショーが好きな家族がたまたま観ていた番組で前川清さんが歌っているのを聴いて、すごく良い歌だなぁと当時思ったんです。

福山雅治さんの作った曲ということもあり、話題になりましたよね。

どんな曲かなぁと気になった方はぜひ一度聴いてみてくださいね。

https://music.apple.com/jp/album/%E3%81%B2%E3%81%BE%E3%82%8F%E3%82%8A-%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%96/1434272924?i=1434272944&ls

前川清の"ひまわり (ライブ)"前川清の"ひまわり (ライブ)"をApple Musicで聴こう。2018年年。時間：5:24

music.apple.com

それで2年前に母方の祖母が亡くなった後に、職場で聴いてるラジオからたまたまこの曲が流れたんです。

｢あっ…久しぶりに聴くなぁ…｣と思いながら、耳を傾けていました。

学生時代はただなんとなく、恋人を懐かしむような儚い切ない曲で良いなぁと思っていたのですが、大人になり、最愛の祖母を亡くした私が聴いてみたら、まるで祖母を偲ぶような歌詞に感じて、じんわり優しい気持ちが胸に広がっていきました。

それからよくこの曲を聴くようになって、今日も家事をしながら聴いてた訳なんですが、その切なくもどこかあたたかい気持ちになれる｢ひまわり｣の歌詞を追いながら、祖母との思い出も綴ってみたいなぁとふと思いまして。

しばしの間、お付き合い頂けたら嬉しいです。

＊ひまわり/作詞：福山雅治さん＊

♬夢を見ていましたあなたと暮らした夏

それはかけがえのない永遠の季節のこと

私の両親は共働きなので私と弟は子供の頃から母方の祖父母の家に預けられていました。

自宅から祖父母宅までは車で20分くらいの距離だったかと。

事務服を着た母の運転する、年季の入った軽自動車の後部座席に揺られながら毎朝送迎されていました。

街を抜けて段々と民家が減って来ると｢もうすぐ着く…｣と、寝ぼけた頭でも理解できるくらい、通い慣れたその道が今ではとっても恋しいです。

祖父母の家は山間部の集落にある木造の小さな平屋で、家のすぐ裏には昼間でも薄暗い、こんもりとした杉山がありました。

その祖父母の家は私が小学生の頃に取り壊され、跡地は竹と梅が繁る林になり、もうそこへ行っても、そこに私たちが居たという面影が全く無いので、記憶の中だけの思い出なってしまったのですが、あの家で過ごした思い出の中で一番印象に残っている季節は偶然にも歌詞と重なる｢夏｣なんです。

夏休みの長い期間を祖父母の家で過ごしたことも、夏の思い出が印象深い一因かとは思うのですが、夏の夕暮れになると裏の杉山から、ひぐらしのカナカナカナ…という声が幾重にも響いて聴こえて来たのがとても印象的だったんです。

小学生の頃なのでまだ人生10年も生きていないような私が、なぜかそのひぐらしの声をとても儚く切なく感じまして…。

大人になった今でもカナカナカナ…と聴こえると、祖父母の家のことを思い出してちょっとおセンチになります。

祖母はひまわりの花が好きで、その小さな家の玄関先にも大輪のひまわりを植えていました。

そんな祖母と重なる歌詞に毎回勝手に泣いてます。

♬まっすぐに伸びてゆく

ひまわりのような人でした

祖母は曲がったことが大嫌いで、人情味のある人でした。郵便配達の人やスーツで集金に来た人にもお菓子や飲み物をたくさん無理やり持たせたり(笑)、親戚が集まると食べきれないくらいご馳走を用意してくれたり。帰るって言っても泊まっていきな！って言ったり(笑)

歌詞とリンクするような、まっすぐでハッキリしすぎてて元気で、とにかくひまわりのような人でした。

太陽より早く起きて家族のために家事をこなしていた祖母は、お昼ご飯を食べたら眠くなります。だからおもちゃで遊びた私と弟に｢はい、少し昼寝！昼寝！｣と言って、真四角の色褪せた座布団を私たちに渡すと、祖母は自分の分の座布団を半分に折って枕にすると、いびきをかいて寝てしまいます。

すると何故か私たちもおもちゃを置いて、祖母の近くで手際よく座布団を折ると横になって、祖母の豪快ないびきを聞きながらうとうと昼寝を始めます。

♬黄昏に頬染めてひざ枕

薫る風風鈴は子守歌

いつだっていつだって

あなたがそばにいてくれるだけで

それでよかった

歌詞のようにひざ枕をしてもらった思い出はたぶん無いですし(耳掻きはよくしてもらいました)、風鈴じゃなくていびきが子守歌でしたが、赤い花火が絵付けされた風鈴を買って貰って、風が吹く前に自分で揺らして鳴らしていたという思い出があります。

そうそう、それから夏の昼寝は縁側の扉をゼンブ網戸にして、そこからそよいで来る風を感じつつ、ちょっと汗臭い座布団でひぐらしの声を聴きながら昼寝をするのが好きでした。

山の中の集落ですので、バスも1日に数本しか走っていませんでした。車は運転しなかった祖母ですがカブバイは運転していました。

♬ふたり乗り遅れた

あのバスは走ってますか

ふたりずっと歩いた

あの海はそのままですか

バスに乗り遅れた思い出は無いですが、祖母と弟と私でバスに乗って、近くのちょっとだけ栄えてる街(笑)のデパートの最上階にあるレストランへお昼を食べに行ったことがあります。

ランチ時で混み合っていたので、私の注文したクロワッサンサンドイッチがなかなか来なかったんです。せっかちな祖母は待つことが苦手で、店員のお姉さんをおっきな声で呼び止めてクロワッサンサンドイッチを催促していて、それが子供の私にもすごく恥ずかしく感じて、ちょっと苦い思い出なのです…(笑)

でも思い返してみると、祖母はいつもご飯を作ったら出来立てを弟と私に食べさせてくれて、私たちが食べ終えた後に冷めたご飯を一人ササッと掻き込んでたんですよね。

それから｢ばあちゃんが子供の時は戦争が終わって食べ物に困ってたんだぁ。だからアンタらには食べ物に困る思いはして欲しくないのよ、ばあちゃんは｣ってしょっちゅう言ってたんです。

だからあの時、私のクロワッサンサンドイッチを催促したのも、お腹を空かして待ってた私のためだったのかなぁって勝手に思い出を美化してます(笑)

今年、念願のマイホームに引っ越したのですが、そのマイホームの建っている場所というのが、祖父母との思い出の家から山を挟んで反対側にある団地の中にありまして。

ちょっと恥ずかしかったクロワッサンサンドイッチの思い出と一緒に揺られて帰ったあの路線バスが、我が家の近くにも走っているので、たまにそのバスとすれ違うと、クロワッサンサンドイッチが食べたくなります。

そして｢今はきっとあの頃よりさらにバスの本数が減ったかなぁ｣と思いながら運転してる内にクロワッサンサンドイッチが食べたくなったことを忘れてしまいます。

海にまつわる思い出は、弟がまだ生まれる前、私が３歳になるかならないかの頃、真冬に突然私が｢海に行きたい！｣ってダダをこねたそうで。昼間は祖母と二人きりでカブバイしか運転しない祖母は｢寒いけど良いのけ？｣と何度も私に聞いて、それでも行きたいという私に負けて、毛布でぐるぐる巻きにしてカブバイで片道30分はかかるであろう海までの道を走り出したそうなんです。

でもぐるぐる巻きにされた毛布お化けの素足が毛布からはみ出ていて、出発から数分後には祖母の背中から｢寒いから帰るぅ｣という鶴の一声が聞こえて来たそうで、とんぼ返りしたというエピソードがあります(笑)

この話は大人になってからも何度も聞かされました。｢アンタは本当に頑固で一回言い出したらやるまで絶対納得しないんだからよぉ！！！｣と(笑)

そうそう、頑固といえば、お気に入りのレースのカーディガンの紐を自分で蝶結び出来るまで絶対に出掛けない！と私がダダをこねて本当に参ったというエピソードも耳にタコが出来てそのタコでタコパ開催出来るくらい聞かされました。

さて真冬から夏の思い出に戻りますが、自然豊かな所だったので、夏の夜には庭先にたくさん蛍が来てくれました。

♬儚げに戯れる

蛍火のような日々でした

夕涼み肩寄せて宵祭り

洗い髪濡れたまま氷菓子

嬉しくて嬉しくて

なんどもあなたの名前呼んだ

それが嬉しくて…

弟の通っていた幼稚園が祖父母宅から近い所にあって、夏には夕涼み会が行われてました。山の集落の小さな幼稚園なので、地域ぐるみで参加していました。

私は青地に赤紫の朝顔が咲く浴衣に黄色の作り帯を祖母に着せてもらって夕涼み会に行くのが楽しみでした。

若い頃、東京の呉服屋さんで働いてた祖母は手際よく着せてくれました。

田んぼのある谷を挟んで向かいに見える公民館では盆踊り大会もありました。

盆踊りの帰り道、カメムシが浴衣に付いていたらしく、祖父母の家に着いて浴衣を脱がせてもらった時、あのカメムシの嫌な臭いがぷ～んとして来て、私は一人で大騒ぎ。

実はカメムシにはトラウマがありまして。お気に入りのピンクのワンピースを着て、玄関先の祖母の愛でている大輪のひまわりを観察していたら、そこにはたくさんのカメムシが。その内の一匹が飛んで来てお気に入りのワンピースの中に。バタバタ走り回る私。案の定、ワンピースはカメムシ臭。洗っても、かすかに臭うような…。そんな思い出があるので、いまだにカメムシは苦手で、ひまわりの花を見ると、祖母とカメムシの両方の顔がチラつきます。

♬黄昏に頬染めてひざ枕

夕涼み肩寄せて宵祭り

いつだっていつだって

あなたがそばにいてくれるだけで

本当によかった

夢を見ていました

あなたと暮らした夏

ふたりのあの夏のように

ひまわりが今咲きました

ルルル…

今は街場に移った(といっても充分田舎ですが)祖父母宅へ週に３、４回くらいは祖父の顔を見に行きつつ仏壇に手を合わせに通っています。

そんな私もたまに祖母の夢を見ます。

いつも夢の中の祖母は生前と変わらず、声が大きくて笑ってて元気です。

祖母は口癖のように｢悪いことをしたら悪いことが、良いことをしたら良いことが、自分に絶対に返ってくんだから。アンタもがんばりな！｣って言ってました。

ちょっと今、これ書きながら泣きそうになってるんですが、ひまわりのような祖母に教わったこの言葉を忘れずに、カメムシ臭のするちょっと不器用で、でもまっすぐな、そんなひまわりのような人になれたらと改めて思います。

そろそろお開きですが、最後におまけでコチラを。

これは以前、子供の頃の夏休みの思い出を振り返って描いた絵なのですが、ピンクのワンピースを着たのが、だいぶ美化された子供の頃の私で、髪の毛にカメムシが居ますね(笑)

祖父母宅の裏庭は杉山の落とす影と鬱蒼と生い茂るキウイフルーツの葉っぱでいつも薄暗く、ジメジメしていたので、アオダイショウが居ました。

透明のプールバックにはお気に入りのゴーグルと櫛。祖父母宅のタイル張りの浴槽でゴーグルを付けて昼間に水遊びをしていました。

浴槽にごみが浮いてるから入りたくないとダダをこねて、祖母とケンカしてお互いに譲らず、半日くらい口を利かなかったこともありました。

夏のおやつは父方の祖父母が育てたとうみぎ(トウモロコシ)。お裾分けで母からとうみぎを受け取ると祖母は新鮮な内に茹でて私たちに出してくれました。

プラスチックのボトルには祖母お手製麦茶が入っていて、いつも冷蔵庫に冷えていました。

祖母の作る手作りドーナツは形がいびつで油っぽくて大好きでした。

弟の通う幼稚園の夕涼み会で配られた手作りのパンダうちわは今でも鮮明に覚えています。

夏休みの友の自己採点は赤青鉛筆が必須でした。

祖母は自分も頭の体操だと言って、パチンコ店のチラシの裏に、私たちの国語の教科書から文章を適当に選んで鉛筆で書き写してました。

もう戻れないけどいつまでも胸に残る、ほんのささいな、それでいてとっても大切な思い出です。

それからもう一枚。

祖母が亡くなってから、再び絵を描く気力が戻ったタイミングは｢祖母を描きたいなぁ｣と思った時でした。

これは祖父母宅にある、若い頃の祖母の写真を頭の中で思い出しながら、スマホに残る“ばあちゃん”になってからの祖母の写真を見て描いた絵なので、再現度は低いですが、こんな雰囲気の祖母でした。

若い頃は着物が好きでよく着ていて、髪もクラブのママみたいにきれいにアップにしていたそうです。

“ばあちゃん”になってからの祖母にしか会ったことが無いので、若い頃の祖母にもちょっと会ってみたかったです。

私の祖母のイメージは黒い服が好きで黒いチューリップハットみたいな帽子をいつもかぶってて、黒い服の真ん中にはいつも豹とかバラとか女優帽を被った女の人が居るイメージです(笑)

祖母の話は尽きませんね。

ここまでお付き合いくださった方、本当にありがとうございます。

以前の私なら｢こんな超絶身内ネタ、書いたって自分が満足するだけだよね。みんな興味も無いよね｣って思って、こんな風にブログを書こうなんて思わなかったと思います。でも色んなことを経験して、自分の脳ミソのレーダーが反応するものではなく、自分の心のコンパスの指すものを大事にしていきたいなと思えるようになったんです。(心のコンパスというフレーズはディズニーシーのシンドバッドのアトラクションで感銘を受けたフレーズです)

それから、この祖母との思い出を書き始めた時は｢これを読んでくれたどこかの誰かが、“明日、久しぶりにお墓に線香あげに行くかな”とか“今日はじいちゃんの好物買って行ってあげよっと！”とかって、普段忘れがちな、かけがえのない人への思いやりの気持ちを思い出す、ちょっとしたきっかけ作りになれたらなぁ｣と思って書き始めたんです。

でも祖母との思い出を綴ってく内に、ただ単に私自身が、今は形の無い、あの家で過ごした祖母との思い出を少しでも記しておきたかっただけなのかもなぁって、思いました。

クロワッサンサンドイッチが食べたくなったことをすぐ忘れてしまうみたいに、いつかもしかしたら思い出が色褪せてしまった時にまた見返して、思い出せたらなぁって。

背伸びはやめて、他人軸じゃなくて自分軸に切り替えて、ちょっと自分に素直になってみようと、思い出を綴りながら自分と改めて向き合えました。

みなさんにとってのかけがえのない思い出は何ですか？

それぞれの場所、それぞれの環境で毎日をそれぞれに忙しく生きる私たちですが、ちょっとだけ休んで、束の間、かけがえのない思い出にそっと寄りかかるのも良いかもしれませんね。

今日も深呼吸とお気に入りの飲み物で心と身体をゆっくり休めてくださいね。

あにょ～！

＊追記＊

先ほど添付した手描きイラストは、普段インスタにて投稿しております。よろしければ覗いてみてください。

https://www.instagram.com/takaygi

ひまわりのような祖母でした