なずなの ほぼ500days♪+α~with Daisuke's Road to Sochi ~

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フィギュアスケートが大好きで、
ただいま、髙橋大輔選手を絶賛応援中♪ です。
ほぼ大ちゃん、その他好きなこと、
気になることを、気ままに書いてます。

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http://www.sankeibiz.jp/express/news/140114/exf14011412450003-n1.htm?view=pc

2014.1.14 12:45





3回目のオリンピック出場をかけた戦いが自分にとってこれほど重いものになるとは思わなかった。代表に選ばれた瞬間は複雑だった。うれしい気持ちの一方で、全日本5位と文句なしで選ばれたわけではない。他の若い選手のチャンスを奪った面もあるから、「なぜ髙橋を行かせたんだ」と後々まで言われないようにしなければと、重責を感じている。


■無謀だった4回転

全日本の演技後は自分の情けなさから涙が出た。直前のケガの影響もあって、これほどジャンプ練習をせずに試合に臨んだことはなかった。痛みで陸の上での速いステップの練習さえあまりできず、もうこんな状態では戦えない…と何度も弱 気になる自分を奮い立たせていた。幸い本番では 痛みは軽減していたけれど、ヒザが伸びにくく、かばって動いていた体のクセで左右のバランスが崩れ、左のパワーに右足が耐え切れずに転倒が多くなった。

フリーの4回転2本目は、助走しながら跳ぶギリギリの瞬間まで3回転にしようか迷っていた。迷っていた時点でダメ。実は1本目が成功したら2本目は3回転にするつもりでいた。1本目は転んだのに悪くない感触だったから少し期待した自分もいて、賭けで「もし奇跡が起こるなら」と言いながら4回転を跳びにいって案の定、失敗。練習で1回も成功していない僕にとって成功は自力より奇跡を望むしかなかった。でも無謀だった。もし良い状態であれば最大のチャレンジをするけれど、コンディションを考えれば、オリンピックのような日本の代表としての試合ではやってはいけないことだと思う。


■死ぬくらいの気持ち

本番前はとにかく「4回転1本だけでもお願い」という気持ちだけだった。朝の公式練習から上がるときには氷に触って「お願い」をしたけれど、氷の神様から反感を買って、本番では氷で手を切った。あれは転倒で手を氷についた際にはよくあること。自分では全く気づかず、振り付けで手を前に出したときに出血に気づいた。そんなことよりも4回転2本失敗以降、絶対失敗はできない、とにかく思い切りやろうとしたのに、他の ジャンプやスピンでも失敗したことがショックで、最後のステップでは「ああ俺はもう終わった…。これが滑り収めか…」と思いながら滑っていた。悔しいというより情けなかった。

ケガのせいではない。自分のこれまでの甘さのツケが回ってきたと受け止めている。今シーズンに入る前、ここまで来られたことにどこかひと段落してしまって、モチベーションの低さは自覚していた。周りの選手の勢いに不安もあって、執着がない自分をごまかして逃げていたのかもしれない。見かねた(コーチの)ニコライ(・モロゾフ)から「お前はオリンピックで何をしたいんだ!」と叱責されたとき、ウソでも何か言い返せ るパワーもなかった。

オリンピックに向けてこんな甘い自分を絶対に変えたい。全ては自分の気持ち次第。年末に仕事で(バレエダンサーの)熊川哲也さんとお会いし「やればできると思ってるんだろ? じゃあやれよ」と言われて、「はい」としか言えなかった自分が痛かった。先日、明石家さんまさんがテレビで「必死に生きるとは必ず死ぬということ」と言っていたのを聞いて、「よしこれだ! 必ず死ぬくらいの覚悟が自分には必要だ」と思った。


■パーフェクトの演技

全日本でのノブ(織田信成選手)の引退にも泣いた。あんなに大勢の前で幸せな引き際だったと思う。僕にとっては、いつも関大で一緒に練習してきた当たり前が当たり前でなくなるのか…と引退をリアルに感じ、微妙な気持ちになった。ノブがいたからこそ僕はここまでがんばれたし、関大にリンクも作ってもらえたと思う。ノブには本当に感謝している。

「若い選手に譲る」と言って引退したノブとは対照的な道を選んでいるからこそ、ソチオリンピックは覚悟を持って臨まなければならない。自分の強さを試される正念場、こんなに覚悟を持って臨む試合はこれまでにない。プレッシャーをかけているわけではなく、これは僕の現実。

オリンピックではパーフェクトの演技をする。その評価が金メダルにつながらなければ、それは仕方のないこととして受け入れる。あと1カ月、必ずできると信じて“必死”にやるのみ。

(構成: フリーライター かしわぎなおこ/撮影:フォトグラファー 渡辺真一/SANKEI EXPRESS)


■たかはし・だいすけ
1986年3月16日、岡山県倉敷市生まれ。A型。関西大学大学院所属。2002年世界ジュニア選手権優勝(日本人男子初)。06年トリノオリンピック8位、10年バンクーバーオリンピック銅メダル(日本人男子最高位)。10年世界選手権優勝(日本人男子初)、07、12年世界選手権2位、12年G Pファイナル優勝(日本人男子初)。05~07年と09、11年全日本選手権優勝、08、11年四大陸選手権優勝、06、07、10、11年NHK杯優勝。08~09シーズンは負傷により 全試合欠場。
今季はグランプリ(GP)シリーズアメリカ大会4位、NHK杯優勝、GPファイナルはケガのため欠場。全日本5位。ソチオリンピック日本代表、男子シングルは2014年2月13、14日の予定。
www.kansai-u.ac.jp/sports/message/takahashi/

【ガイド】

髙橋大輔著『それでも前を向くために be SOUL2』(税込1890円、祥伝社刊) 髙橋大輔選手の唯一の公式本シリーズ第5弾。オリンピックに向けての苦悩と試行錯誤の道のりで見つけた「自分との向き合い方の書」。