木材を使う上で乾燥が欠かす事はできない。この木材乾燥に新しい技術が登場した。「アイ、ケイ、ケイ板橋研究所」の伊藤好則氏が開発した超低温乾燥機(登録商標「愛工房」)である。42~45度の 低温乾燥機だというのにわずか1~5日の短期間で乾燥してしまうのだ。 45度というのは薬草を乾燥させるとき色が変わらない温度で、木材のリグニンや精油もほとんど残る。だから色合い、ツヤ、香りも自然のままで生かせる。 東京都板橋区にある伊藤さんの研究所を訪ね、その乾燥機とそこから出た材を見せてもらった。一般の高温乾燥機はステンレス製が多いというが、愛工房のもなのは内·外装、構造材とも木を使用している。内装と外装との間に段ボールが挟まっているそうだ。中には入るとヒノキの香りがするサウナという感じで温かく心地よい。確かに材はツヤがあって香りも素晴らしい。スギの中でも乾きが悪い「黒芯」は、これまでごみ同然に扱われてきたが、普通のスギと同じように乾くというのも驚きだ。その色がアズキ色に変わってマホガニーのような銘木に映える。杉だけでなくヒノキも乾燥室に入れてあり、板の小片を記念にいただいた。
アイ·ケイ·ケイの45度の超低音乾燥が、100℃の高温乾燥よりもずっと早い時間で含水率を下げることができる、というのは現代の理論では説明できない。人工乾燥の権威の学者もお手上げ、学会は黙殺だそうである。科学的理論で筋道がつかないと採用できない、というのだ。
アイ·ケイ·ケイの45℃の低温乾燥が100℃の高温乾燥よりも ずっと早い時間で含水率を下げることができる、というのは現代の理論では説明できない。人工乾燥の権威の学者もお手上げ、学会は黙殺だそうである。科学的理論で筋道がつかないと採用できないというのだ。 もう一つ素晴らしいのは釜から出した後のリバウンドがないこと。人工乾燥では出した後に狂いが出る。だからストックのスペースと時間が必要になる。超低音乾燥は小ロットでできるし、すぐ材を出荷できる。つまり、山元でこれを使えば、究極の産直が可能なのだ。
また、伐り旬にもこだわる必要がない。夏伐リでも春伐りでも、乾燥にかければほぼ同じ製品に仕上がる。だから、一年中途切れることなく山の仕事を動かせる。また、長時間高温にする従来の乾燥機は、途中で扉を開けて材の出し入れをすることは不可能だが、愛工房ではこれが可能なので非常に入軟性がある。 複雑きわまる木材の流通事情によって、山の木の値段は製品になると二十倍にも跳ね上がることもある。これを変えることができる。トラック輸送のムダをなくすこともできる。そしてスギ山の活性化は山村の仕事を産み、過疎化を打破する大きな力になる。材を出すにはすでに「四万十式作業道」という切り札があるのだから。
日本の山の4本に一本はスギ。しかしスギは現代建築ではその能力の10%も活かしきれていない。この愛工房というプラントは今後の決定的な存在になっていくだろう。
この乾燥装置は販売はせず、すべてリース使用が原則だそうだ。また、外材を乾燥する企業や従来の高温乾燥と併用する方もお断り。日本の林業と木の文明復活に寄せる伊藤さんのこだわりであるが、いま愛工房の乾燥機は全国各地に広まり、静かな革命を興しつつある。
2010年「公共建築物等における木材の利用に関する法律」が成立し、五月二十六日公布された。これまで田中角栄氏が議員立法した「公共建築物等に関する特別立法」のおかげで、公共建築物は耐火堅牢でなければならないと指導され、そのほとんどが鉄筋コンクリートになってしまった。森林率の高い村の役場さえ鉄筋コンクリート造だったし、学校の校舎もほとんどが鉄筋コンクリートだった。今後は国が率先して木材商に取り組むことになった。地方公共団体や民間事業者にも木造建築への主体的な取り組みを促し、住宅など一般建築物への波及効果を狙うという。これは大きな変革だ。ただし、高温乾燥後に薬剤を注入するような木の使い方はお断りだ。この愛工房の低温乾燥技術を紹介してくれた方の名前が出てこないがこの方に感謝して紹介させていただく。
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