触れることのできない氷鳥 I

 

 

 

目が覚めたら、なぜか苦しい中で一人もがいていた。

ゴポゴポと耳の中で音がする。嫌な感じだ。何かに邪魔されて、ゆっくりとしか動かない手を自分の顔の前にかざす。混乱しながらもはっきりとした意識を持っていたため状況判断くらいはできた。考えてみると、此処はきっと水の中なのだろう。水の中でしか起こらない浮力に押されながら、地球の重力に沈められていく。

 

「助けてくれ」

 

そう口に出しても、誰にも聞こえず二酸化炭素を多く含んだ空気は、私の口から出て水面に向かっている。自分一人じゃ何もできないくせに、生にしがみつく哀れで醜いその言葉を誰かが聞き届けてくれるはずもなく、むなしく私は先程より深く水の底へと沈んでいった。瞼を閉じて水に身を任せていた。

 

そんな時だった。

いきなり腕を掴まれた。そう感じるのと同時に、ぐい、と引き寄せられ、水の中上に向かって進んでいった。

 

ザバァ

水面に顔が出ると、口や鼻に入っていた水のせいで、喉が痛くなり、苦しくなってゴホゴホと咳をした。落ち着いて空を見上げると、とても綺麗な青空に雲が浮かんで見えた。