「あはは、バエるっていうのはお化けが写り込むわけじゃないよ。
インスタグラムっていう、写真を自慢し合うアプリがあってな、
カフェやレストランで飯を撮ったり、
カラフルな壁の前でポーズを撮ったりしてみんなに御披露目をするわけだ。
それであのツタの壁と錆びたベンチが イイカンジ なのさ。
これが写真映えする から
インスタ映え
それが バエる になったのさ。」
父
「なにそれ。
日本語ムヅカシーネー。」
ユウシは手の平を広げる。
「ほんとだよ、英会話の前に日本語さえわからない。」
父
「なら、塩は要らないか。
で、お父さんは英会話通うの賛成?
もしかして、自分が通いたくなったとか?」
ユウシ
「私がユウシくらいの歳から通っていれば楽しみながら勉強できたなぁ。
この歳ではちょっとついていけないな。
脳が違う意味で疲れるから。」
「でも、おじさんはハマっていたよ。
とりつかれるぅって言ってた。」
ユウシ
「アドベンチャーとか言ってたけど、試練を与えて強制的に考えさせる授業は勉強になると思うよ。
今日のことは強烈なインパクトで脳に焼き付いたな。
まさかあんな結末とは・・」
またうなだれる父
「僕はローレンさんの為に頑張りたいんだ。」
ユウシ
「女の子で釣るなんていやらしい商法だと思っていたが、いちばんストレートだよな。
その子と会話ができていく喜びは勉強の原動力になる。」
父はCGのブラウン先生を思い出していた。
「うん。
バーチャルな作り物の人だけど、滝壺に落とすようなまねはしないから。」
ユウシ
「・・・・。」
黙って運転する父。