V・S(26) | クーカーの 笑説

クーカーの 笑説

コメディ小説を書いてます。

小説ほど難しくなく
コントほど面白くない
クーカーの笑説
1ページ1分くらいです。
サクサクと読んでくださいませ。

翌日、父の車で英会話スクール来たユウシ。

「ここだよ。」
ユウシがツタまみれの建物を指す。

「あぁ。」
父はここを昔から知っているようで、返事をしながら看板を探す。

「看板ならここだよ。」
入口ドアのガラス窓に小さなプレートがある。

「バーチャル、スタディ、スタジオ。
   ホントだ。

   夜逃げ前提で全然カネをかけていない。」
頭を掻きながらプレートを見る父は、入るまでもなく帰ろうとした。

「ピンポン押すよ?」
ツタの隙間からボタンが見える。
人差し指を用意するユウシ。

「もう、だいたいわかったし、帰るか?」
父は車のカギを取り出す。

「えーーー?
    今日はお父さんが無料体験すればいいじゃん。
    建物がボロだけど勉強には関係ないんだよ。」
ユウシは返事を待たずにボタンを押した。

≪ビィーー≫
ブザーの音がかすかに聞こえる。

「はい、いらっしゃいませ。」
入口が開いて、あの店員が現れた。

「こんにちは、今日はお父さんが無料体験したいそうです。」
ユウシ

「はい、いらっしゃいませ。
   お父様、どうぞこちらへ。
    靴はそのままでけっこうです。」
店員

「あ。いや、ちょっと説明を聞きにきただけで、」
父は玄関で立ち止まる。

「そうですか、では簡単に説明します。

    こちらがお客さまが装着していただくブイアールヘルメットでございます。

   バーチャル空間で英会話を勉強するシステムでして、教えるのは私ではなく、バーチャル空間の先生、
  時には市民、警察官などと
 使える英語、生きた英会話を実践するスクールとなってます。

   最新AIで、相手はお客さまの言葉を聞き取り返答しますので、今までのような決められた会話を繰り返す勉強とは違い、さまざまなシチュエーションで、
さまざまなアクシデントが襲うこともあります。
  ヒントはありますが、自力で答えを探すアドベンチャー授業ですので、この経験が必ずや記憶に残るでしょう。」
店員

「ぐっ、         すげぇ。」
ゲーム好きな父は断る理由が思い付かず息子の顔をながめる。

「帰る?」
ユウシ


「うーーん。
      帰ら   れない。」
父はヘルメットを見つめて答えた。

「は?」
ユウシ