余命 24時間 7 | クーカーの 笑説

クーカーの 笑説

コメディ小説を書いてます。

小説ほど難しくなく
コントほど面白くない
クーカーの笑説
1ページ1分くらいです。
サクサクと読んでくださいませ。

やっと落ち着いて、カバンから便箋を出した。

それとタブレット端末。

「遺書の書き方」
検索。

「えー、なになに、」

タブレットのガラスの上に便箋を置いて、
一呼吸してからペンを走らせた。

書きながら人生を振り返った。

世の中には障害や病気で苦しんでいる人がいるが荒俣は健康診断でも問題無しだった。

その点は幸せだった。

昔からイジメにあうことも無かった。

ただ、人より秀でているものというものもなく、平凡と言えば良く聞こえるが、何にもない人生だ。

こんなものを書いてみたところで読ませる相手だっていない。

ただ、人生に一旦ピリオドを打っておけば怖いものなんて何にもない。

死んだ気になれば
ということだ。

今すぐに死にたい訳ではなくて、
要は気休めなんだが、

この遺書は、
あそこの納経所で売っている御守りよりよっぽど心強い御守りだ。

「やっぱり筆ペンじゃないと格好つかねーなー。」

ボールペンの細い文字で淡々と会社の恨み節を綴ってみたが、お便りにしか見えない。

なんか、書いて吐き出したことで少しだけ気が済んだ。

「ゆっくり考えてから書くか。」

ここからはタブレット端末で下書きを初めた。

夜中の寺の前で顔だけに液晶の光が当たる男の姿。
「あの野郎、恨めしい。」

今、人が来たら幽霊のウワサが広まること間違いない。