余命 24時間 5 | クーカーの 笑説

クーカーの 笑説

コメディ小説を書いてます。

小説ほど難しくなく
コントほど面白くない
クーカーの笑説
1ページ1分くらいです。
サクサクと読んでくださいませ。

男性の体は病院の手術台にあった。

≪ピーーーーー≫

「5月21日 15時59分、ご臨終です。」
手術室の全員が男性に合掌した。


 死因はバスの下敷きになり内臓破裂。
ほぼ即死であった。

荒俣 甲斐 
享年45歳






その前日
5月20日 16:00

「おいっ、あらまたーーっ!」
会社の上司が立ち上がってデスクから彼の姿を探している。

「は、は、はいっ。」
そこへ駆けつけた荒俣。

「大変なことになってるぞ、例の案件。」
上司は座ることなく荒俣を怒鳴る。

「例の?
  いや、あれはプロジェクトチームの」
荒俣は資料を取りにデスクに向かおうとしたが

「プロジェクトチームのせいにするんじゃないっ、これはお前1人の責任だ。
わかったな。」

「ですから、」

「わかったな。」

「はい。

その後、荒俣抜きでプロジェクトチームは会議室へ入って行った。

荒俣は自分のデスクで資料をめくってブスッとしている。

他の社員も横目で見るだけで声をかける者はいない。

引き出しを引くと保険屋からもらったイメージキャラクターの女優のクリアファイルがスマイルを見せる。

しかし、今日は彼を笑っているように見えた。

「死にてぇ。」
周りに聞こえない小声で    叫んだ。