余命 24時間 1 | クーカーの 笑説

クーカーの 笑説

コメディ小説を書いてます。

小説ほど難しくなく
コントほど面白くない
クーカーの笑説
1ページ1分くらいです。
サクサクと読んでくださいませ。

「もう、疲れました。」
お寺で手を合わせお辞儀をすると、向きを変えて石段を降りて行く男性。

下から登ってくる若い女性が会釈をしたが、目を反らしてそのまま降りて行く。

県道に出るとバス停まで歩く。

田舎のバス停は本数が少なく、まだ時間がたっぷりあった。

男性はバス会社の用意したパイプのベンチに腰をかけた。

グレーのスーツの内ポケットから白い封筒が頭を出した。

それをまたしまい直して、ジャケットの裾を引っ張った。

道向かいに商店を見つけた。

五百円玉で缶ビールを買った。

ベンチに戻り、それを開けた。

≪プシッ≫

口をつける。


平日の午後、快晴。

気温はそれほど高くないが、ジャケットを通る風が気持ち良い。

この男、それほど酒が好きでは無い。

酔うと眠くなるタイプだ。