クーカーの怪談 十七話 『ストーカー』 | クーカーの 笑説

クーカーの 笑説

コメディ小説を書いてます。

小説ほど難しくなく
コントほど面白くない
クーカーの笑説
1ページ1分くらいです。
サクサクと読んでくださいませ。

こんばんは稲川 淳三です。

芸能人、有名人となりますと、周りにチヤホヤされて、さぞいい気分かと思いますよねぇ。

しかし、

有名人というのも大変なもので、

ちょいと買い物に行くにも
マスクと帽子、サングラスは
必需品でしてね。

今は、SNSの普及で
ダレダレがどこで何を買っただの、

ダレダレが異性と歩いていただの、

ウワサ話がエスカレートしてイメージダウンにもつながることがあります。

ですから変装して街に出るのです。


チヤホヤも、度を越えると恐ろしいもんですよね。

有名人が後を付けられ、その住所を突き止められたら大変です。


ここにも1人、男に追われる女性アイドルがいます。


彼女、男の影に気付いて反対方向へ逃げたんですよ。


そこはぁ、

テナントのお店が並ぶ、商業施設でしてぇ

ぐるぐると逃げ回るうちにぃ

今いる場所さえわからなくなります。

確かに、
あの男とは反対に逃げたはずなんですよ、


でもね、

壁に隠れながら角から覗くと

いるんだなぁ。

すぐそこに。


真っ黒なスーツにサングラスでね、
明らかに彼女を探してるんですよ。

キョロキョロというより、
じっくりじっくりと辺りを見ています。

彼女はスッと角から顔を引き下げ、男と反対へ向かう。

するともう、そこに、

いるんだなぁ。


待てよ?


彼女、ピーンときたんですね。

これはぁ、男は1人じゃないな。



男は、複数いたんですよ。

まいったなぁ、怖いなぁ、

マネージャーは居ない。

そうだ!
電話をしようと取り出したスマホ。

どういうわけか、決まったメンバー以外の番号が無い。


その時

向かいのテナントの窓ガラスに写る何かに気付いたんです。

よーく、よーく見るとぉ、


男の影が、こっちに向かってくるんです。


コツ、コツ

革靴の足音が

すぐそこまで

彼女、意を決してここから走り出しましたよ。


それは必死に。


すると

電話ボックスを見つけましてね。


彼女飛び込んで、

ダイヤルして、

受話器に叫びました。





「自首しますっ!」








彼女、大金を手に入れたそうですよ。




おしまい