こんばんは、稲川です。
部屋を真っ暗にしてご覧下さい。
皆さん、幽霊を見たこと、ありますか?
幽霊といえば、
やはり柳の木の下でもって、
こう、手をダラリとして、
『うぅらぁめーしーやぁー』
と、いう具合ですね。
裏がメシ屋ですよ。
という案内で立ってるわけじゃあない。
怨みを残して命を絶たれ、
怨めしいと出てくる訳です。
しかし、ここで紹介する女幽霊さん、
それは実際の怨みの対象に出てくるならともかく、そこを通る人にだれかれ構わず
『うーらーめーしーやぁー』
と出てきます。
通行人はびっくりしますよね。
ある日、
いつもように幽霊さんがスタンバイしてますと、
向こうから、かっぷくのいい中年の男性が歩いてくる。
あごを触りながらうつむいて。
幽霊さんは長いことやってますから、
驚かすタイミングを心得てます。
柳の木の下で後ろを向いて待ちますと、
男性が通りかかる。
今がいい頃合い。
中年男性の肩の高さ辺りから
『う~らぁめ~し』
と伸びながら、
最後は上から見下ろして、
『や~ぁ!』
と
ところが男性は、そのまま通りすぎてしまいましてね。
慌てた幽霊さんは
すぅーっと
次の柳に先回りです。
今度は男性の目の前に立ちはだかり
『うらめ』
とやりかけたときです。
男性は…
つづく