クーカーの怪談 十三話 『幽霊』前編 | クーカーの 笑説

クーカーの 笑説

コメディ小説を書いてます。

小説ほど難しくなく
コントほど面白くない
クーカーの笑説
1ページ1分くらいです。
サクサクと読んでくださいませ。

こんばんは、稲川です。

部屋を真っ暗にしてご覧下さい。



皆さん、幽霊を見たこと、ありますか?

幽霊といえば、
やはり柳の木の下でもって、
こう、手をダラリとして、

『うぅらぁめーしーやぁー』

と、いう具合ですね。

裏がメシ屋ですよ。
という案内で立ってるわけじゃあない。

怨みを残して命を絶たれ、
怨めしいと出てくる訳です。

しかし、ここで紹介する女幽霊さん、
それは実際の怨みの対象に出てくるならともかく、そこを通る人にだれかれ構わず

『うーらーめーしーやぁー』
と出てきます。

通行人はびっくりしますよね。



ある日、

いつもように幽霊さんがスタンバイしてますと、

向こうから、かっぷくのいい中年の男性が歩いてくる。

あごを触りながらうつむいて。

幽霊さんは長いことやってますから、
驚かすタイミングを心得てます。

柳の木の下で後ろを向いて待ちますと、

男性が通りかかる。

今がいい頃合い。

中年男性の肩の高さ辺りから

『う~らぁめ~し』

と伸びながら、
最後は上から見下ろして、

『や~ぁ!』



ところが男性は、そのまま通りすぎてしまいましてね。

慌てた幽霊さんは

すぅーっと
次の柳に先回りです。

今度は男性の目の前に立ちはだかり

『うらめ』

とやりかけたときです。

男性は…


つづく