スーツ53 | クーカーの 笑説

クーカーの 笑説

コメディ小説を書いてます。

小説ほど難しくなく
コントほど面白くない
クーカーの笑説
1ページ1分くらいです。
サクサクと読んでくださいませ。

盗んだデリバリートラックで二人を追いかけているセブン。

この裏道は、うまくいけば二人を追い越して先回りできるかもしれないのだ。

ただし、それは人から聞いた話で、実際に走るのは初めてだ。

そんなに早いなら、皆がここを通るはずだが。

何かトラップでもあるのだろうか?

しばらくは林道だったが、下草が高くなり、おそらく数ヶ月前の轍しかなくなる。


バンパーでバリバリと下草をなぎ倒して進む。

遠くでワゴンのスリップ音が聞こえた。
急がなければ。

≪ゴダンッ≫
「ぅおっっっとぉー!!」
下草に埋もれていた岩に左タイヤが乗り上げた。

左が浮き上がり、片輪走行。

≪ギャシ、ギシ,ギコ≫
そして激しく着地。

「がぁっ!」

≪ガチャッガラガラ≫
ワンテンポ遅れて荷台から爆音。

「は?
配達するランチのケースが、倒れた!」

このままトラックを返せれば
と思っていたのだが。

これで吹っ切れたセブン。

「うおぉぉぉ!」
アクセルをベタ踏み。

バキバキと木の枝がフロントガラスを叩く度にまばたきしながら出口を目指した。