ハグワン 20 | クーカーの 笑説

クーカーの 笑説

コメディ小説を書いてます。

小説ほど難しくなく
コントほど面白くない
クーカーの笑説
1ページ1分くらいです。
サクサクと読んでくださいませ。

『とにかく下のジェット機に動きを合わせて。
まだハグじゃない、
ヘッドロックしてんだから、二機がブレたら首がもげるぜ。』


『リアのアームで押さえ込むんだ』

『あぁ、やってるよ。』

『ジェット機が失速して動きが止まってきている。』

『いいニュースと悪いニュースがあるぞ』

『いい方だけ聞かせろ』

『海水に主翼を突っ込んだおかげでエンジン火災は消火できた。』

『悪い方…聞く?』

『いちおう聞くか。』

『下のジェット機が停止したら、俺達が重石になって沈めることになる。』


『……。』

『もう、何しに来たんだろ』



『あっあれだ。俺に任せろ』

『何をする?』

『右の主翼から燃料をいただこう。』

『なるほど。急ごう。』

モニターにはジェット機の右の主翼を上から見下ろした映像が映る。

図面のCGと照合させて、燃料タンクの場所を見出し、照準をそこに向けた。

『よし、発射』

《バチャ》

ハグワンの胴体から小さな爆発の煙りが上がると銀色のパーツが飛び出して行った。

パーツの後ろに波打ちながらホースが伸びていく。

パーツはジェット機の主翼に刺さると、タンクから燃料を吸い上げだした。

『おー。きたきた。』
燃料メーターを指で叩く。

『ジェット機が止まった、半分沈みはじめている』

『全てのアームを固定した。
完全にハグしたぞ。』

『よし、ローター全開。
垂直上昇開始。』



『あーがーれー』

《ギューーン、》


ハグワンの下に波しぶきが立ち上がった。


ついに、ジェット機を持ち上げ救助に成功した。





ハグワン 1章 終