『とにかく下のジェット機に動きを合わせて。
まだハグじゃない、
ヘッドロックしてんだから、二機がブレたら首がもげるぜ。』
『リアのアームで押さえ込むんだ』
『あぁ、やってるよ。』
『ジェット機が失速して動きが止まってきている。』
『いいニュースと悪いニュースがあるぞ』
『いい方だけ聞かせろ』
『海水に主翼を突っ込んだおかげでエンジン火災は消火できた。』
『悪い方…聞く?』
『いちおう聞くか。』
『下のジェット機が停止したら、俺達が重石になって沈めることになる。』
『……。』
『もう、何しに来たんだろ』
『あっあれだ。俺に任せろ』
『何をする?』
『右の主翼から燃料をいただこう。』
『なるほど。急ごう。』
モニターにはジェット機の右の主翼を上から見下ろした映像が映る。
図面のCGと照合させて、燃料タンクの場所を見出し、照準をそこに向けた。
『よし、発射』
《バチャ》
ハグワンの胴体から小さな爆発の煙りが上がると銀色のパーツが飛び出して行った。
パーツの後ろに波打ちながらホースが伸びていく。
パーツはジェット機の主翼に刺さると、タンクから燃料を吸い上げだした。
『おー。きたきた。』
燃料メーターを指で叩く。
『ジェット機が止まった、半分沈みはじめている』
『全てのアームを固定した。
完全にハグしたぞ。』
『よし、ローター全開。
垂直上昇開始。』
『あーがーれー』
《ギューーン、》
ハグワンの下に波しぶきが立ち上がった。
ついに、ジェット機を持ち上げ救助に成功した。
ハグワン 1章 終