橋 28 | クーカーの 笑説

クーカーの 笑説

コメディ小説を書いてます。

小説ほど難しくなく
コントほど面白くない
クーカーの笑説
1ページ1分くらいです。
サクサクと読んでくださいませ。

この中に、あの日カワジに話し掛けたおばさんがいる。

そして、保健所と市役所を巻き込んで小屋を撤去させようと乗り込んだのだ。

それは、子を持つ親として当然のことだ。

タカの母だって、声を掛けられていたらここにいたはずだ。

現にタカはアンデス菌によって仲間はずれになっている。

「じゃあ、今日だけ。
火もちゃんと管理して目を離さないこと。
わかりましたね。」
保健所のおばさんはキツく言った。

「……すいま‥」
聞こえないほど小さい返事で頭を下げるアンデス。

みんなが納得して帰っていく。

「明日には片付けてあるでしょ。」
「次は警察よね。」

などと話し合いながら小さくなっていった。

「ありがとうな。
今日はどうしたんだい?」
アンデスは鍋を小屋に運んだ。


「アンデスおじさん。

ていうか社長さん。」
タカ

「え!
誰かに聞いたのかい?」
アンデス

「やっぱり。
お父さんの会社の社長だ。」
タカ

「お父さん?
君は?…」

「綾瀬です。」

「綾瀬君の息子さん?
こんなに大きくなったとは!」
アンデスが目を丸くした。

「これ、プレゼント。
この間は
ありがとう、ございましたっ。」
一枚の紙を渡した。

「私に。プレゼント?
ありがとう。」
クリスマスカードと書かれた二つ折りの紙を開く。


「どう?似てる?」
タカはアンデスの反応を見る。

「あり…と、あり…とうよ」
アンデスが泣いた。

涙は頬を通って、ヒゲに吸い込まれていく。


書かれていたのは

メリークリスマス


アンデスの似顔絵だった。

アンデスは赤いサンタの格好をしていた。

周りには、雪だるまと星とストーブが描かれていた。

そして

かぜをひかないでください。

とある。

そして、

「はい。これ。」
ポケットから家から持ち出したキャラクター柄のカイロを渡した。


「ありがとう。
もう心はポッカポカだよ。」
アンデスは笑った。

「うん。」