「こちらでよろしいですか?」
店員さんの親切な対応に合わせ、ロボットを壁側のソファーに寝かせた。
俺は人目から隠すようにロボットの頭側に座り、壁を作った。
「ありがとう。」
「ではごゆっくりどうぞ。」
戻って行く店員さんは、子供が寝ているとしか思っていない。
さて、ゆっくり考えよう。
《スーン》
ロボットが起き上がった。
「あ。もうかよ!」
「ここは、レストランですね。
では、パパ様。
さっそく、私のご利用の仮契約を行いましょう。」
起きてすぐにしゃべりだした。
「シー、シーィ。
声がデカいよ。
仮契約とは?」
「私を自由に使える期間の説明と私をキズモノにした場合の、」
慌てて太もものスイッチを切ろうとした。
「あ。」
ゆっくり周りを見渡すと、店内の全員が俺を見ている。
「わかった。後でやる。」
「では、先に社長の挨拶の動画をご覧下さい。」
テーブルに立体画像が浮かんだ。
《この度は、我が社のアビーノイドをご利用いただき、ありがとうございます。
我が社のアビーノイドは》
「ちょっとちょっと!
社長の挨拶もいいから。」
見とれていて止めるのが遅れた。
でも、すごい技術だ。
他の客は
うるさい奴が来たな
と顔に出してそっぽを向いていた。