「お客さま。お客さまっ」
しきりに肩を叩く運転手。
何だっての。
「お客さま。」
「ん。うわっ!」
突然、運転手が制服姿に
しかも若くなってる。
「起きました?」
え。寝てた?
ここは、
駅の通路。
彼は運転手ではない。
駅員さん。
俺は座ったまま寝ていた。
「すみません。
さっきも起こされたのに。」
謝る。
「いえ。はじめて起こしました。」
駅員
「は?
あっ。宝くじっ」
おい、まさか。
「その胸ポケットに」
駅員が指すポケットに
あった。
良かった。
え?なんであるんだ。
「もしかして、幸せな夢を見てました?」
駅員
「いや。別に夢なんか。」
あれ?涙だ。
そうか。
全部 夢 か。
一億三千万も。
「お客さま。風邪をひかれますよ。」
駅員はしゃがんで優しく言った。