終,いじめじめじめ アキノソラ | クーカーの 笑説

クーカーの 笑説

コメディ小説を書いてます。

小説ほど難しくなく
コントほど面白くない
クーカーの笑説
1ページ1分くらいです。
サクサクと読んでくださいませ。

東側の小さい方の島にいすわる。

水際まで小又で歩く。
朝露で葉っぱが滑るから。

昨日と同じ場所とは思えなかった。

私の解放感からか。

色づいた木々の暖色が水面に写る。

冷たい風が水面を這ってさざ波をたてると

ぶわっと私の前髪を散らす。


無意識に双眼鏡を構えていた。

キャップをしまう。

「あっ。」
この景色をくもりなくバッチリ撮りたい。

そして、先輩に見せたい!

ポーチの内ポケットからレンズ拭きを出した。

一生懸命拭いた。

レンズ拭きをポーチに戻す。


カサッ

紙の音がした。

保証書か説明書だろう。
何気なく開いた。




お前は

カゴの鳥になるな

野鳥でいろよ。

山中より





私は

勇気をもらった気がした。



秋の空は高く青かった。

頬にあたる秋風

私の心のじめじめが乾いていく気がした。


水面をゆうゆうと進む鴨。

色々混じっていた。


それも美しいと思った。

「先輩。ありがとうごさいました。
もう、大丈夫です。」
メモを握り締める


先輩の為に
ベストショットの鴨を撮りたい。

何度も何度も
レンズを拭いているのに

ピント合わせもバッチリなのに

ぜんぜん景色がぼやけて撮れないんだ。





いじめじめじめ