いじめじめじめ バツ | クーカーの 笑説

クーカーの 笑説

コメディ小説を書いてます。

小説ほど難しくなく
コントほど面白くない
クーカーの笑説
1ページ1分くらいです。
サクサクと読んでくださいませ。

パソコンの画面を見つめたまま言われた。

手入れの件で怒っているのか。


そんなに画像が悪かったとは。

確かに先輩に会うためだけにテキトーな撮影だったのは認めるけど。

「ウォッチング仲間のぢぇふさんにあげたほうが双眼鏡が喜ぶし。」

「すみません。怒ってますよね」

「お前さぁ。
目の前で人が溺れてても撮影をとるのか?
人間観察が好きなのは知ってたけど。」

「え?」

「だからお前は…
あー。
お前には、双眼鏡を渡すのは…あれだよなぁ。」

先輩が
お前は
の続きを飲み込んだ。
そのあとの言い訳が不自然すぎる。

続きは、自分でわかった。

「…はぃ。すみません。」


「いや。ゴメン。
偶然こんな時、
お前なら、すぐ助けると思ったから。」

「…先輩。」
いきさつを説明できないけど
一瞬溺れた酒井を笑った私にショックだったようだ。


確かに

これじゃ、

これじゃ、奴らと同じだ!


私は、先輩に頭を下げて病室を出ることにした。

「バツとして…
明日また、はぎ沼を撮影して来い」

先輩はボソボソと言った。

「はい。失礼します。」


私は、自分を責めながら帰宅する。


酒井の白いパーカーを思い出した。

今の私を絞れば、あの汚い水がしみ出るだろうな。