山さんが軽トラに乗る
腹がつかえて苦しそうだ。
俺とお地蔵様は、ドリンクホルダーに収まる。
そして、ダッシュボードに散らかる伝票越しに景色を見ている。
カミサンの
『逃げないでよ』
が頭に残る
あの日
深夜のバイトを終えた俺は、この道を走ったはずだ
しかし、公園に寄る用事なんて無い
『あそこだな。
強盗にあった店だ。』
山さんは顎の先で示した。
コンビニだ。
グッディマート 金持店
バイト帰りに、たまに寄ることがある、栄養ドリンクと肉まんを買いに。
あの日は……
肉まんを食った記憶が無いな。
クラウンにもゴミが無かったし。
『薄暗くなってきたな』
山さんが空を見る
小さな月が主張しはじめる頃、我が家に近づいた。
カミサンの訴えが効いたようだ。
取材陣は家から遠く離れて静かに待機している。
リポーターはコートを着込んで足踏みしている。
『あいつらも大変だな』
山さんは俺を上着の胸ポケットに入れた。
『俺を写せば視聴率稼げるのにな。』