53《記憶》 | クーカーの 笑説

クーカーの 笑説

コメディ小説を書いてます。

小説ほど難しくなく
コントほど面白くない
クーカーの笑説
1ページ1分くらいです。
サクサクと読んでくださいませ。

山さんが軽トラに乗る

腹がつかえて苦しそうだ。


俺とお地蔵様は、ドリンクホルダーに収まる。

そして、ダッシュボードに散らかる伝票越しに景色を見ている。

カミサンの
『逃げないでよ』
が頭に残る

あの日

深夜のバイトを終えた俺は、この道を走ったはずだ

しかし、公園に寄る用事なんて無い


『あそこだな。
強盗にあった店だ。』

山さんは顎の先で示した。

コンビニだ。

グッディマート 金持店

バイト帰りに、たまに寄ることがある、栄養ドリンクと肉まんを買いに。

あの日は……

肉まんを食った記憶が無いな。
クラウンにもゴミが無かったし。


『薄暗くなってきたな』
山さんが空を見る

小さな月が主張しはじめる頃、我が家に近づいた。


カミサンの訴えが効いたようだ。
取材陣は家から遠く離れて静かに待機している。

リポーターはコートを着込んで足踏みしている。

『あいつらも大変だな』
山さんは俺を上着の胸ポケットに入れた。


『俺を写せば視聴率稼げるのにな。』