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深・いい話

<野手転向で才能開花 ~オリックス・深江~>

一度は挫折した野球人生だった。



独立リーグの門を叩くまで、深江は投手としてプレーしていた。



松商学園高時代はエースで甲子園も経験している。



ところが進学した先の龍谷大で舞台は暗転する。



利き腕の右ひじ靱帯を痛めてしまったのだ。



ボールを投げられない日々が続き、



結局、4年間公式戦のマウンドに立つ機会はなかった。

それでも野球を諦めきれなかった。



投手として無理なら野手になるしかない。



自信はなかったが、関西独立リーグのトライアウトを受けた。



これが深江の人生を大きく変えた。


「とにかく足がそこらの速さじゃない。


ビックリするくらい速かった。肩も人並み以上。


思わず、こちらから“野手に転向したほうがいいぞ”と声をかけたくらいです」

所属していた明石の北川公一監督はそうトライアウトでの印象を語る。

野手転向1年目ながらトップバッターとして一気に頭角を現した。


25盗塁と俊足を披露しただけでなく、打っては打率.335。


これはリーグ2位の好成績だ。


「足を生かすと、どうしても当て逃げのようになってしまう。


それではNPBでは通用しない。


しっかりバットを振り切ることを意識させました。


でも彼の場合、特別教えなくてもどんどん自分から吸収していった」

指揮官も驚くほどの急成長だった。

176センチ、75キロと決して体は大きくない。


体力、技術ともにプロの野手として鍛えなくてはならない面はたくさんある。


「できれば、もう1年、独立リーグで基礎体力をつけさせたかった。


ケガが多いので、それだけが心配」と北川監督も“親心”をみせる。


それでもオリックスは育成ではなく、


支配下選手として獲得した。将来性を高く買っている証拠だろう。

特に昨季のオリックスは、


アレックス・カブレラ、T-岡田らを揃えた重量打線で


クライマックスシリーズ争いに絡んだ半面、


機動力が生かせなかった。足の使える選手は、


それだけでチームにとって貴重な戦力になる。


「1年でこれだけ伸びたんですから、想像もつかない選手になるかもしれない」


北川監督は「イチローのような選手になってほしい」と期待を込める。


本人も目標としている選手はイチローだ。


オリックスが生んだスーパースターと同じ道を深江は駆け抜ける。