どしゃ降りの中寒さに震えながらホテルをあとにしてシャルルドゴール空港へ。

次の目的地は、ニースだ。天気予報はヨーロッパ全土が雨。

「このまま寒さが続くと何時までたっても熱っぽいのが治らないなあ。。。」

若干憂鬱な気持ちのまま目的地に向かう。


到着間際結構揺れたのでそこで目が覚め外を見ると青い海と空、真っ白な雲が目に眩しい。

空港からホテルに直行すると先にマルセイユ経由で車でニースに到着していたRomeinが既に待っていてくれた。天気のせいもあって気分も良くなると気のせいかだるさも大分楽になってきた。

彼らの車で向かったのはASモナコのトレーニングセンターだ。

初めて訪れるモナコ公国はF1モナコグランプリを10日後に控えてその準備が佳境を迎えているようだ。当日コースとなる道路の周りに張りめぐらされた針金、観客席の設置、あらゆる所で行われている工事。

途中Romeinの叔父さんのレストランで遅めの昼食を食べ、狭い道をかなり登っていくと漸くASモナコの看板が見えてきた。


今回のASモナコとのミーティングの目的は、現場で誰がどのようなデータをどのように使っているか?チームのスタッフにとってデータがどの程度重要なのか色々聞かせてもらうことだ。

対応してくれたのは、フィジカルコーチ。最初

「何故フィジコが?」

と思ったが今回の視察では我々が取れていないオフザボールのポジションや選手の移動距離・スピード、スプリントの回数等のデータの完成度とその実用度についてのリサーチも非常に重要だったのでまさに彼が適任者だったようだ。

ポジション毎に求められる試合中のフィジカル、それが足りない時のコンディショニング、トレーニング…データはトレーナー達にとって非常に重要な情報となっているようだ。

初めて見たからかもしれないがそこそこ複雑なオペレーションを要求される分析ソフトをいとも簡単に操作していたのが印象的だった。

「モナコにとってこういったデータはどの程度重要なのですか?」

と改めて聞いてみた。

「非常に!戦術、攻撃、守備を担当するコーチ、フィジコ、監督、GM全てのスタッフにとってデータはなくてはならないものだ。それぞれが自分で研究しながらデータを上手く活用して練習を考え、選手起用を考えている。選手の獲得の際にも非常に重要な情報となっている。」

様々な種類ののデータ。また、それらを抽出する為の手際の良いオペレーション。

たった今見たばかりなだけに非常に説得力があった。

それと同時にある意味ショックを感じた。

世界のトップ10を目指す事を標榜している日本がその具体的な取り組みの中で最新のテクノロジーを駆使しながらデータを取得し、それを強化・育成に活かすと言う意識を少しでも持っているだろうか?

街で見かける芝生の多さとそこでボールに戯れる子供たち、文化・歴史の差に加え、日本が本来得意とするテクノロジーの分野でも世界との差は広がる一方だ。


ミーティングの後ユース以下のトレーニングを見学した。

何よりも驚いたのは、山の上の方の部分の半分を切り崩し、その部分にピッチとクラブハウスがあるというその環境だった。


ニースのホテルに戻る途中モナコ最高級と言われるHotel de Parisの横のカフェで軽くパナシェを飲んだ。真っ青な地中海、フェラーリ、ベントレー等の高級車がこれでもかと並ぶカジノ前の広場、グランプリがが行われる予定の曲りくねった道、国王の住むPalace…

何か別世界にきたような不思議な感覚だった。

その日の夜に見たCL準決勝のマンチェスターU対バルセロナの試合も違う意味で別世界だったが。。。