昨日新作のDVDの企画会議をしている時中田英寿選手の話になった。

スカパー!の番組で一度タッチペンを持って自分の出た試合の解説をしてもらうという企画があったそうだ。

その時あまりにも一つ一つのプレーに意図があり、その時の状況を覚えている事にスタッフも一緒に出演した解説者も舌を巻いたそうだ。

「ここでボールを受けた時、相手がこういう角度詰めてきていたので一度味方に渡してそれを受けて逆に展開した。もうすぐこのサイドを味方が走ってくるはずだよ。」

という具合にシーズン終了後にたまたま取り出した試合の中で自分が何でこの位置でボールを受けたか?それは何をする為か?ということを覚えていてかつまだ画面に映っていない味方選手の動きまでも正確に覚えていたという。



サッカーは言うまでも無く点を取り合うスポーツだ。最終的にシュートしゴールするまでの一連のプロセスを常にイメージしておく必要がある。しかしそのイメージ通りになかなかいかないのも事実だ。色々な予測不可能な事象に常に対応しながらもイメージを持ち続けてプレーする事が重要だ。近くの味方が空いているからパスしよう!というようにその先のイメージを持たないプレーしたらたちまちそこに出させて奪うことをイメージしていた相手に取り囲まれボールを失ってしまう。

ヒデが世界的なプレーヤーとして通用したのはきちんとイメージを持っていたこととそれを実践できるスキルと気持ちの部分を兼ね備えていたからだ。



ビジネスの世界を見てみよう。会社でも利潤あげるという短期的な目標は必ず持っているはずだ。

その目的達成の為に、一瞬無駄に思える足を運ぶ営業をしたり、業務に関係ない話をしたりすることがある。しかし当たり前のことであるがそれは決して目的であってはならない。情報を引き出すためとか、親交を深める為とか何らかの意図を持って最終目的に繋げなければならない。

もう一度サッカーを例に取ると、直接ゴールを狙うのが一番シンプルだし、ゴールまでが遠すぎたら相手の裏にシンプルに放り込むのが効率的だ。しかし相手は当然そうされないようにポジションを取る。だから最終イメージを持ちながら色々と回り道をする必要がある。

ビジネスでも直球勝負だけで「この仕事下さい。買って下さい。情報下さい。」とはいかない。

サッカーでもビジネスでもSimple is the bestは事実だが、必ずしもそうはいかないのも事実だ。

一見回り道にみえるショートパス・バックパス・サイドチェンジを織り交ぜる必要がある。

しかし、パスの為のパス、イメージが沸かない為に後ろに戻すバックパス、単にいわれから行うサイドチェンジ。サッカーの試合も見ても日々のビジネスでもイメージを持たないプレーがやや目立ってきた。

もう一度ゴールする為のアクションかどうか振り返る事が必要な時だという気がする。