『魔法少女まどか☆マギカ ［新編］叛逆の物語』を観てきた。
アニメ放送未見で、世界観や用語が分からないまま観たのでストーリーは追えなかったけどそれなりに楽しめたしで、適当に思ったことをまとまってないけどとりあえず投げてみる。
とはいうものの最初45分だけの話。それ以降のQBの説明はとか戦闘シーンとかマジで意味不だったので。←
・冒頭の「救いのない世界で魔法少女は戦い続けるのだ」的なナレーションからして、実存主義的なのかなーと思いつつ。解脱・円環の理といった言葉もなんだかニーチェ的だなあと。
・虚構としての平和や幸せを選ぶか、救いのない（であろう）真実・現実存在を受け入れるのかという葛藤または疑問は、そのままハイデガー的な解釈なら「虚構」と「気晴らし」を結び付けられそう。もっと言うなら、「魔法少女ごっことしてのナイトメアとの戦い」。そしてその非本来性を、「こんなのまどかが望んてたんじゃない」というほむらのセリフによって発見して、ほむらはそれを打ち破ろうとするわけで。
・舞台装置としてみるなら、魯迅の鉄の部屋の話（※）を思い出す。または虚構が現実の人間を包み込んである人の思いを浄化するという点は辻村深月の『冷たい校舎の時は止まる』がある。
※「たとえば一間の鉄部屋があって、どこにも窓がなく、どうしても壊すことが出来ないで、内に大勢熟睡しているとすると、久しからずして皆悶死するだろうが、彼等は昏睡から死滅に入って死の悲哀を感じない。現在君が大声あげて喚び起すと、目の覚めかかった幾人は驚き立つであろうが、この不幸なる少数者は救い戻しようのない臨終の苦しみを受けるのである。君はそれでも彼等を起し得たと思うのか。」（魯迅『吶喊』）
・装置・小道具つながりで、バスの使い方は上手いなと思った。行き先があると思って乗ったバスが、実は循環している（字面的に円環の理と関係あるのかなぁと思ったけどそもそも円環の理がなんなのかわかんない←）。実存主義、特にニーチェになぞらえるなら「生きる意味があると喧伝しているものも、結局は何の答えも教えてくれない」。循環≒永劫回帰みたいな。つまり、キリスト教批判のニーチェ批判（永劫回帰を受け入れるわけでもなく、自分の足で虚構であることを見つけ出した）。あとは乗り物としては一乗思想、大乗仏教批判にも例えられるかも。
・でも結局根底はキリスト教かなーとも思う。まどかがキリスト像みたいになってたり（←）、実際天からおりてきたし。どういう文脈かは知らんけどパッと見はまんまキリストやん、みたいな。兼愛発言もある。そんでもってまどかが虚構の世界を打ち破るはっきりとした理由は「まどかのためにならない」からであって。「神の本意に沿わないから今の世界はだめ、ちゃんとした世界を求めなきゃ」ってのがほむらの思想でまんまキリスト教だと思った。
と、映画観て分かった範囲で適当に考えてみまーした。まぁこじつけと言われたらそれはそれで、うん。でも実存主義の汎用性ってすごいよね、って。←
・追記。
・さやかの「夢っていうほど悲しいもんじゃないよ」というセリフにはちょっと不意を突かれた。夢のかなしさ、ってのは個人的に割と共感できて、夢の無意味さとか、そういったのを含めてそう表現したとするなら、それは脚本（というのだろうか）の素晴らしさ。
・虚構をモデルとした映画を、実存主義でみるときにその映画自体が虚構である矛盾というか逆説性は面白い。いつまでも映画みたいな虚構に浸ってんじゃねーぞ、みたいな。
・あと映画は実写の方がいいと思った。アニメだと画面内のすべてが人為で埋め尽くされててどこみていいのか分からなくなる。で、シンボル的なものを強調するためのカットが過剰になってしまうから、結果的に流れぶちぎったりしてちょっと残念な感じがしたな、という個人の感想。
