深川岡場所

当然廓は奉公するにあたり年数や本人の器量等によって

多額の金を支払ってますから、

働いて稼いでもらわないといけない。

しかも、身の回りのものや、櫛など贅沢品も自腹で買わされるので

借金が増える一方になるので、中々楽にならない

しかも規則に反した場合、体罰で亡くなった遊女も多く、

客の機嫌を損じたからと数日間絶食させ、

全裸にして縛り上げ水を浴びせかけて責め殺したり、

遊郭からの逃亡（足抜け）を計り失敗した場合など、

全裸にして猿轡をし、

上から吊り下げて棒で折檻して死ぬ場合も多かった。

しかも弟は又もや将軍のお供をサボってる。

祖父も兄ももう一族が罰せられたりしたら御家お取り潰しも

当然あるので親類一同鳩首協議した。

連座制ですから親類まで罪は及びますから他人事では有りません

そこで親類一同の協議の結果決まったのが座敷牢入りでした

「早朝、大工清兵衛来る。熊三郎入れ候押の儀言渡す」

但し座敷牢に大人しく入ってられるかどうかが問題で事件も起きてます

勘定所に勤める武士の息子が居て、これが大変な放蕩者で母も兄も

困り果て親類一同協議の上土蔵に押し込める事となった

此の息子というのは怪力の持ち主で土蔵を壊さんばかりに暴れた。

そこで鳶の者を頼み6，7人で取り押さえようとしたが、

しかし、あまりの暴れぶりに手に余った。

そこでやむなく母親が槍で突き兄が斬りかかり殺害してしまったという。

そうしたこともあって大人しく入ってくれるかどうか心配していた。

然し案に相違してもう観念してたのか大人しく入ってくれた。

こちらも親類たちを集めて12名いたので抵抗してもしょうがないと

思ってたのか「難渋なく」抵抗なく入ってくれたそうです

ただ座敷牢がまだ完成していなかったので亡き養父の妾の部屋に

押し込められ、万が一の逃亡を防ぐために親類の者が交代で

詰めたそうです

残された妻と6歳の息子、生後７ヵ月の子らは、妻の実家に

引き取られたという。

しかも仮であるが妾の部屋に入れられたが、そこには70歳の妾が

健在でしたので他の部屋に移されたそうです。

しかも前年に自殺を図ってる事から同じ部屋で監禁状態で

あったのではと思われる。

従って2人の厄介者を抱えていたことになる。

やがて座敷牢が完成し牢人の移動を図る

町駕籠に乗せ回りを逃亡を防ぐため10余人が周りを固めたいう。

さて住む人のいなくなった屋敷は、暫くの間親類たちが交代で

泊まり込んだが、やがて長屋だけ残して解体、建具、畳、材木は

7両で古木屋に売却されたという。

そして土蔵も別な家に移築され160坪の土地は空き地同然となった。

後にこの土地は相対替えされて幕府の坊主衆が住んだ。

さてまだまだこの1件は終わりません。

後始末が残ってる。

先ず夢にまで見たであろう岡場所の遊女の抱え主に悪い評判を

流さないように、いわば迷惑料として12両掛かった。

これは、職場の同僚がして下さった

職場にお世話になったという事では、座敷牢に入れたとは書類には

書けませんので小十人組頭の配慮で「病気の為暫く兄の家に

引っ込む」という理由で書類を処理してくれたことが何よりの事だった

なにしろ遊女を盗み出そうとしたのが本当の事でしたので助かりました

困ったのは諸費用を札差からの借金で賄ったことで103両になってた

これは、本人の俸禄から年に50俵を毎年充てるという事で

何とか了解して貰った。

此れも親戚の奔走があっての事でした。

そして、それから1年後小普請入りの願書が出され、

理由は「疾病」の為であった

願いは許可され、本人の名代として父が老中及び若年寄に

挨拶言上をし、幕府から支給されていた「お預かり具足」を返納した。

これで書類上は病気のために休職となったわけです。

つまり病気回復の後に復帰を可能性としてはありうるのです。

江戸の結婚離縁C1