「江戸絵本風俗往来」では、[遊芸の専ら流行せしは、

琴曲、三味線、手踊りの３つなり。

三味線に富本、長唄、常盤津、清本流行す。

手踊りに藤間、西川流行す。笛太鼓、鼓また行われる。

子の諸芸を習う女子６，７才より習い始め、

１６，７歳まで学び、それより覚えし芸をもって、

御殿奉公勤めの見習いに出ずるなり」

踊りの稽古

「手習いを変えると文字へまた通い」

文字とは、常盤津の事。

常盤津

何度も紹介してるが「浮世風呂」の情景ですね。

８歳の娘が湯屋でこぼす姿です。

「朝起きると手習いのお師匠さんの所に行って

机並べてね。

それから三味線の朝稽古に行ってさ、家に帰って

朝ご飯食べるでしょ。

それから踊りの稽古に行って、又、手習いで、

そいでお風呂へ来て、帰ると直ぐ琴のお師匠さんのとこ

行って、家に帰ると三味や踊りのお浚いが待ってるの。

そして、ちっと遊ぶと、日が暮れるとまた琴のお浚いを

させられるの」

「うちのおっかさん、しどいのよ」と遊ぶ暇の無い

娘は文句たらたらです。

現代と同じですね。

それ以上かも。

音曲ではないけど塾通い、何も変わりません。

柳沢家上屋敷

５代綱吉の側近として仕え、異例にも５３０石で始め

最後には２２万石の大名に取り立てられた

柳沢吉保の子・信鴻の生活ぶりが「宴遊日記」

「松鶴日記」などに日常の生活が記され、

隠居した信鴻が今の六義園に下屋敷を作り、

そこで奉公する奥女中の採用試験を自ら行い、

口コミなどで応募した女性の芸、踊りや歌を見て、

「上手」とか「下手」などと評した記録が有り、

採用した女性らを引き連れ、御伴は２，３０人くらいが

普通であったようです。

芝居茶屋での夕食

これ等女中は、殿様がグルメ大名として有名で、

毎日のように出歩いて歌舞伎や見物にゾロゾロと

家来を２，３０人引き連れ、勿論、奥女中たちも一緒に

美味い物を喰い、歌舞伎も見られたのですから、

こんないい仕事は無く、退職した後も、玉の輿に乗れたようです。

こうした話しを聞くので娘たちは、余計屋敷奉公にあこがれたのです。

江戸の子供3－11