大広間

ちなみに、大広間にはどうもトイレは無かったようで

寛永１７年（１６３４）の造営で初めて作られ、

中庭と将軍が使用する大小の用場（トイレ）が出来た。

当時の人は、大小便をしなかったわけではありません。

将軍便所（用場）

それまで用場は無かったのですから、まさか式の途中で

中座など出来ませんから、恐らく我慢したのか、

或いは、公人朝夕人が出動して、尿筒を速やかに

差しこんで用を足したのでしょうか。

膀胱炎になる人が多かったのではと心配して

しまいます。

特に９代家重は小便公方と呼ばれ、大変近い将軍でした。

家重が上野寛永寺の参詣の時は、神田橋内、

筋違門内、上野黒門内の３ヶ所、

芝増上寺参詣の時は、桜田門内、虎の門内、

増上寺裏門内の３ヶ所に仮設トイレを作らないと

外出できなかった。

増上寺参詣

それ以外の将軍は、江戸城外の番所、

途中で１か所があれば大丈夫であったようです。

「続徳川実記」では、１４代家茂が上洛の時、

城を出て増上寺で小便休憩してるので、

そこまでの距離は問題は無かったようです。

ただ家茂は、その時２０歳、若いので

我慢できたのでしょう。

ただ、どの将軍も、帰りは御殿まで保たなかったのか、

城内の大手番所の用場（トイレ）で用を済ませることが

通例であったようです。

何れも、用を足す時はお供の武士が、多分、

御小姓組の旗本が、将軍の一物を引っ張り出して

済ませたのでしょう。

大礼服の慶喜

これは、大名の浅野侯も明治になってもそうでしたから、

間違いないと思います。

浅野侯は、大礼服を身に付けて普段より

厚着していたので、馴れてる家来も、中々引っ張り出せず、

苛立った浅野侯が「未だか」と声を出す場面もありました。

その結果、違うものを引っ張りだし、浅野侯、その時少しも

慌てず「それは睾である」落ち着いたものでした。

でも、焦れば焦るほど余計困難にはなりますね。

　大番所

百人場所よりは、格上でした。

問題は紅葉山参拝の場合で、しかも、行く時の乗物は、

轅（ながえ）という、今でいうと担架を手で持つ

スタイルであり、載っていくのですから、

冬は冷たい風があたり寒いし催したでしょう。

当然ながら紅葉山にはトイレは有りません。

神聖な場所ですからです。

従って、トイレの問題に苦慮したと、

「徳川礼典禄」にも、その旨が記されている。

紅葉山

公式行事が行われる所には、大体トイレが有りません。

亰で行われた将軍宣下も紫宸殿で行われるが、

そこにもトイレが有りません。

ただ、京へ行った将軍は、３代家光以降はいません。

ですから、土田家の存在価値があったのです。

当然、土田家は諸太夫の装束で、

葵紋付の衣服で将軍の装束櫃と同行し、

小用筒を懐中に入れ、昇殿もしました。

実際の身分は、小身の５０俵取りの御家人です。

少しでも温めて置いたのですね。

銅製ですから寒い時などは冷え込んでますから。

モノに触れると余計遠慮して出てこなかったのではと、

考えてしまいます。

この辺は、みっちりと後のトイレ編で、妥協を許さない

厳しい姿勢で真実を？追及したいと思います

トイレで中座というと、秀吉の参謀で兵学家として

知られ夭折した竹中半兵衛を思い出しますね。

或る日、客を招いて兵談をしていたところ、同席してた

息子が用を足したいからと断りを入れたのです。

すると、半兵衛怒りまして、用なら何故そこでせぬ。

兵談の途中で垂れ漏らしたと聞けば、

天晴れ！流石、竹中の倅よ！と称賛される。

と息子を怒ったという逸話が有名です。

この半兵衛の口癖は「余事也」で、つまり武辺以外の

事には一切興味を示さないのです。

若い頃より、戦になると殿戦を好んで指揮し

誤らなかったといいます。

殿で退却を指揮するというのは最も難しいとされて、

それをこなしてたのですから相当の自信が

あったのでしょう

関ヶ原

でも、怒られた息子、関ヶ原の天下分け目の戦いでは

西の地域にも拘らず、しっかりと家康方に味方し

江戸時代、家を保ちました。

この辺は、政治の問題ですが、兵の進退は出来なくとも

家の進退は誤らなかったのですね。

江戸城 １－２

江戸城　１－２