メタボンのブログ 

椎茸髷
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母の宿泊も大変だったが宿下がりの時はもっと大変なことになった。

奉公の場合、宿下がりというのは唯一の楽しみであり、

実家に帰る時は大奥直伝の化粧や言葉遣い、衣裳、

椎茸たぼの髪形

皆奥女中特有のものでしたから、正しく綺羅を飾るというのがピッタリでした。

それが、色々なものに使う諸費用が全く足らずに父が借金をして

用意する羽目になってしまったほどでした。

 

家では私からのお土産として近所の家らに赤飯を炊いたが、

それに使った小豆が2升5合使ったといいますから、

如何に多くの家が対象であったか判る

一応多くの土産物も用意しておいたがそれでも品不足で、

親に土産にと用意した煙草入れと楊枝入れも親へは渡せず

に他へ回すようだった

それでも足りずに町で煙草入れを2つ買うという仕儀になってしまった。

 

6日間の休みを終え屋敷に戻る時もやっぱりお土産が必要であり、

明和5年(1768)4月の休暇の時は、同僚たちへのお土産として

赤飯を5升配達して貰った。

宿下がりなど容易に出来るものではありませんでした

 

明和5年職場を異動になった。

呉服の間から動いたのです。

理由は祖父の日記では「裁縫未熟故」とある

給与は今までと同じで。呉服の間での人間関係の煩わしさと

持病である癪に悩まされて居たので幸いでした。

ところがこの頃お屋敷の財政が苦しくなってきたという事で、

蝋燭の節約と女中の新規採用が打ち切られたので、

そのしわ寄せとして人手不足となり

気分が優れなくてもやむなく出勤という日が多くなり、

翌年病気療養のために宿下がりした。

 

此のまま辞めるつもりであったのが、結婚のご予定ですかとか、

ホントに病気なの邪推を受けやむなくお屋敷に戻った

ただ嫌々仕事をしていたからでしょう。

不注意でお上の盃を割ってしまう。

不調法として咎められ余計に嫌になり辞めようと思ったが、

でも1年半以上それでも続いていた。

でも、親と相談の上、結局、お屋敷の財政も苦しいし、

先の見えた職場なのでと思い切って退職し、

再婚先を見つけることが重要と5年10か月の奉公に

別れを告げたのだった。

 

やはり欲が無かったのか、自分の下女として使っていた

町人の娘などは、水汲みは辛いから嫌だと言って退職したが、

どういう手ずるを使ったのか、

翌年鳥羽三万石稲垣家に奥女中として採用されていた。

妹も何時の間にか水戸徳川家に仕えていたというから、

その逞しさは比べようも無かったという。

 

ちなみに吉原では、遊女が廓から逃げ出そうとすることを

「足抜け」と言いましたが、もし失敗した場合の失敗した場合など、

全裸にして猿轡をし、上から吊り下げて棒で折檻して死ぬ場合も多かった。

 

御庭番の川村家でも逃亡の事件があった

本家の長男・勝蔵が行方不明になったのである。

とりあえず、病気欠勤届を出し、本当の事は御庭番衆下部屋へ届けた。

 

旗本が行方不明になるという事はあり得ないことである。

一晩妾宅に泊まっただけで、処分(罷免・士分剥奪・財産没収)も

あり得る話である。

手を尽くして探すが見つからない。

やむなく4日後、出奔届を出す。

吉宗が綱紀粛正のために創設した御庭番の家筋であるから、

この時は、もう、「御召放」解雇も覚悟したでしょう。

その時の届けには、病気で引き籠っていた所、快気も近くなった所

突然、何の沙汰もなく行方不明になり、探したが、

行方相知れず。とある。

 

老中へ「差控伺」を呈上、しかし、其の儀に及ばずという事で済み。

引き続き探すようにと云う返事であった。

10日に一度報告書提出の義務がある

 

町方ですと夫が家出して10か月以上行方不明の時。

駈落ちです。欠落ちとも言います

別に2人で逃げるのが駈落ちではありません

この場合は、3か月は探さないといけません。

若しくは探した振りです。

「御定書」に記載されています。

 

ただ中には密通への制裁として何かほのぼのとした制裁もある

事実が判明すると村人挙って姦夫の家に殺到して10日間吞み放題、

食い放題の乱痴気騒ぎを起こすのです。

その結果の費用、締めて5両3分2朱と銭206文だと

詫び帳に添付されていた支払い控えに記されている。

 

詫び状

「相申す一札の事」

「当月一四日夜、貴殿女房おまつ殿と途中行き違いし

咄いたし居候処を貴殿に見咎に預かり、

馴合いにも是有るやに推察を請け

夜分の儀にて申し訳これなく彼是差し縺れ・・・・・・」

 

この詫び状を見ると、村人が殺到して飲めや歌えや大宴会です。

何故か値下げになった間男代と同額であるのは何故でしょうか?

偶然の一致なのでしょうか?