【※こちらは、主に2025年9月中旬頃書いた記事です。記憶が蘇る度に、少しずつ修正しています。】
…この記事、ずっと書こうか迷っていた…。
でもやっぱり、胸の中の【モヤモヤした気持ち】【腹立たしい気持ち】【悔しい気持ち】どうしても消えなかったから書こうと思う。
信じられない人は信じなくて良いし、信じてくれる人だけ信じてくれれば、別に強制はしない。
2025/9/19、映画宝島が公開になった。
自分は、先行舞台挨拶に行けたので、数ヶ月前には拝見させて頂きました。
その映画の主演の方(※以下Tさん)も来館され舞台挨拶の後、来場者一人一人と握手をされたり、一言話したり、皆さんとても楽しそうでTさんも笑顔で対応していました。自分はASDの為か、笑顔で目を合わせ、上手く握手をする事は出来なかった。だが、最始の一言目はちゃんと目を合わせ話し始める事は出来た。しかし、すぐ横で既にTさんが名刺を下さるスタンバイをしてくれていた為、途中で話を切り、先に名刺を貰いお礼をし、軽く握手をし更にお礼をして1秒程でゆっくり手を離した。
そこまではまだ普通だった様に思う。
それから、事がおかしな方向へいった。
手を離して数秒後、まだ手が近くにあった時、一瞬、Tさんの左手が躊躇した様に見えたが、結局Tさんの左手は何故か自分の右手の甲を支える様に再度接触した。
『んっ?』と、心の中で思ったが、【Tさんがこの映画に懸ける想いが強いんだな】そう、自分の中で解釈する事にした。
その際、自分の右手は天井の方に指を向け、グーの様に指は閉じている状態であった。すると、自分の手の甲にあったTさんの左手は、自分の右手指4本を包み、指が同じ方向を向く様な形で重なり握ってきた…
…明らかにおかしいと思った。
…しかし、何も言えなかった…。
その状態のまま1,2秒静止し、何かを確認するかの様に、再び少しだけ握った手に力が入いった…。
顔を下に向けていたTさんの口から「はぁ」という吐息の様な何とも表現の出来ない声にならない声が漏れた。
すると今度はいきなり左手を大きく広げ、自分の右手を出来るだけ包み込む様に伸ばして来た為、自分も驚き少し右腕を引いた。自分の右手に目をやると、内側の手首より少し手前にTさんの人差し指、中指、薬指があり、指からゆっくり〝ギュー〟と手を握られた。
自分でも何が何なのか、よく分からない状態であった。スタッフや、他の観客、マスコミも当然大勢居たが、誰も何も言わない。兎に角、自分の目の前にあったその手は、気が付けば何事も無かったかの様に下げられていた。自分の握り拳の上から握られていた為、自分の握り拳を最大限に小さくし、相手の手を傷付けない様に何とか手を離した。
次に何をされるのかも分からず、又、今迄20年以上見てきたTさんの印象とあまりに掛け離れていた為、内心ショックで、その場から動く事も、『止めて下さい』と言う言葉も出なかった…。
何とか手を離したが、今度はいきなり自分の右手を掴み、自分の胸元付近まで持ち上げられた。あまりに急な動きであった為、自分は驚きのあまり思わず身を仰け反った。初対面でまさかとは思うが、叩かれるのではないかという勢いで急に右手を持ち上げられ、本当に怖かった。その時の自分は恐怖のあまり怪訝な顔になっていた。
その表情を見て、彼は何を思っていたのか…。
何が目の前にあるのか、最始見た時は全く分からなかった。自分の右手を掴まれて持ち上げられた感覚すら覚えていない程、あまりに急な出来事であった。ソレが自分の右手だと脳が理解する迄に暫く時間が掛かった。今になり鮮明に記憶が蘇る。
少し息をつくと今度は自分の顔の前で、完全に閉じている自分の右手を包む様に左手で何ヶ所か触る。親指が外れたが、またすぐに親指も上から覆われた。
また気が付けば手は普通に下がっており、近くに居る人以外は見えていなかったかもしれないが、握り拳にしたままの自分の右手を、親指付近、中指付近、小指付近と、三回に分けて覆いながら触ってきた。
小指付近にきた時、何とか手を離す事が出来た。
しかし数秒後、それが気に入らなかったのか、少し雑にまた右手をいきなり持ち上げられた。しかし自分も、もう動じなかった。彼の顔は見ない様に、左前にあるスクリーンの方をずっと見ていた。
すると今度は右手をいきなり離され、全く力を入れていなかった自分の右手は、急に落とされた。
驚いたが、手が離れた事に少し安堵した。【何でこんな事をするんだろう…?】
今になって思い返すと、何だか情け無く、切なく、泣きそうな想いだ。
もう大丈夫かと思った矢先、再び右手を持ち上げられ、痛くは無かったが、指が動かせない様にTさんの左手で完全にホールドされた。大勢が見ている前でも、まるで周りが誰も居ないかの様に堂々とそういう事をやってくるTさんが分からなかったし、信じたくも無かった…。
手をホールドなんてされた事は無かったが、明らかにTさんが先に手を離してくれないと、自分からは離す事が出来ない。
その時、丁度スタッフの方からサインを書いて欲しいと言われた様で『あぁ』みたいな感じで少し先にある長い机にしゃがみ込み右手でサインを書きつつ、左手では自分の右手をホールドしていた…。
…本当に言葉が出ないとはこの事だ。
この方の、この【執着心】は一体何だったのだろうか…。
はたまた【おふざけ】が行き過ぎたという事か…。
あの日、あの瞬間のTさんは、自分にはとても仕事で来ているという姿勢には見えなかった…。
『公開されたら、また観たいと思います!』と、周りにも聞こえる様になるべく明るく言い、Tさんもこちらは見なかったが『ありがとうございます』と。
…やっと手を離せた。
少しぎこちないやり取りであったが、それはもう仕方が無い。
自分の体感としては5,6分、手を握られては何とか離して、一瞬安心すればまた急に手を持たれ、覆われ触られていた様に感じる。
又、一番感じたのは、大河ドラマの主演を務め、最優秀主演男優賞等も何度か取り、俳優歴も20年を超える主演級の俳優さんには、周りは誰も何も言えなくなってしまうのだろうか…?本来、皆同じ〝人間〟ではないのだろうか…そう思ってしまった。
業界の事は知らないが、自分には【裸の王様】の様に思えてしまった…。
最後、まだTさんが戻って来ない時、自分も少し放心状態というか、ショックもあり、少しその場から動けなかったが、すぐ目の前に一人スタッフの男性の方が居て、多分その男性スタッフの方は最始から全てを見ており、自分と一瞬目が合った時、しっかりと頭を下げてくれた。自分も頭を下げ返したが、あの時頭を下げてくれたのは、『すみません』と代わりに謝ってくれたのだと信じたい。
自分はその時、少し救われた気がしたから…。
Tさんに対し、全く悪い感情を持っていなかっただけに、今回の件は実に残念であった。
多分もう一生会う事の無い自分だからだろうか…?
もう少しちゃんと話す機会があれば、何かが変わっていたのだろうか…?
子供達を見つめている時のTさんの優しい眼差しに、自分は嘘は無いと思っている。
沖縄戦や、この映画の話をする時、熱い気持ちが溢れ出し涙するTさんの姿にも嘘は無いと思っている。
だからこそ、この事だけが、凄く残念で悔しくて堪らない。
自分も国民の大半が思っているであろう爽やかで、優しく笑顔の素敵なTさんの印象だけを思っていたかった…。
…いや、本当のTさんはきっとそういう方だと、今でもそう信じている…。
決して悪い人だなんて、思ってはいない。
しかし、自分の胸の中だけにしまっておくには限界だった。
映画が公開され、鑑賞した方々の良い評価や、TVでの特集番組、本人へのインタビュー映像や、全く関係の無いCM等が流れても、今は心が過敏に反応してしまう…。
再度観ると約束してきた『宝島』も、ごめんなさい…
結局観れませんでした…。
きっと、もっと普通に話せれば、良い方だと信じたいから、自分でも本当に心苦しい…。
だけど、何も言わない事も尚苦しい…。
すみません。
次にもし、一生のうちでお会いする事があるとすれば、今度こそ、ちゃんとした握手が出来ればと、切に願います…。