テレビを捨てたのはもうずっと前の事で、まだブラウン管の時代だった。

視聴税みたいなものを払わなくてはならなかったし、古いアンテナでは受信できなくなったし、自己申告制だったので「ない」と申告しても、それでもまだアンテナんがあるじゃないかと税務局から支払いの催促で、「そんなに疑うんだったら、家の中に入って確認してくれ。」と苦情を言ってその問題はなんとか解決した。あの当時はホントめんどくさかった。

古い錆びたアンテナはまだ4~5メートルの高さに無用にそびえ立っている。

マックロン大統領政権が数年前視聴税を廃止した。それでもテレビのない生活に慣れたら必要性を感じなくなって、再び持とうと思わなかった。

 

パリオリンピックが始まった。

妻と「オープニングセレモニーだけは見てみたいね。」と言っていた。

しかし、オリンピックはFrance télévisionの独占放送だった。仕方がないので慌ててアカウント(無料)を作り、リアルタイムで視聴できる環境にした。

(前述が長くなってごめんなさい。)

 

さて、折角オリンピックが視聴できる環境を整えたのだから、なにか観戦してみようと思いました。

こういう時、私自身も忘れていたナショナリズム精神が沸き起こってきます。

不思議ですね。

知らない他国選手と知らない日本人選手を目の前にどちらを応援したくなるかと言うと、やはり知らない日本人選手なのです。

 

で、日本人が出場している種目は何かと思い浮かべると、今日28日は柔道とか水泳でした。

早速プログラムを調べてみて実況生中継にアクセスしますが、せっかく阿部一二三選手が決勝進出しているのに、フランス人選手出場の三位決定戦が終わると画面はフランス人選手出場のカヌーに移行してしまい見られずじまいでした。

さっきからワクワクしていたのに残念です。

当たり前の事なのでしょうが、フランスで行われているオリンピックなので自国出場選手中心の放送なのでした。

 

競泳男子400m個人メドレー決勝は日本人二人を控え見事に松下知之さんが銀を獲得するという快挙を得まして、観客としても手に汗握る見ごたえがあったのです。つづく女子100mバタフライ決勝には平井瑞希さんが出場しています。

さあ彼女はどうなるかと期待が盛り上がった途端、男子400m個人メドレー優勝者がフランス人であるため画面はスタジオに切り替わり、彼に賞賛する声や感激する観客や彼の身内の感動や、それを今流す必要あるのかというような報道ばかりが続き、結局観戦できませんでした。

 

はらわたが煮えくり返える思いでした。

 

フランスで日本人の活躍する姿を観戦できる条件はそこにフランスが関わっているか否かなのですね。

結局、知らない日本人選手と知らないフランス人選手が頑張ってくれればと、改めて納得しました。

 

で、フランスの国技ともいえるフェンシング。エペ種目。加納虹輝さんがフランス人ヤニック・ボレルさんを抑え見事金を獲得しました。

わたしは両者とも初見で、最初にこの対戦を見た時あの巨人相手に「大丈夫か?」と言う不安を感じましたが、わたしの不安を物ともせず、あれよあれよと言う間にポイントを重ね見事勝利を勝ち取ったのは、ヤニック・ボレルさんにはホント申し訳ありませんが、今日のフランステレヴィジョンの自国中心主義的な放映のあり方に対してのモヤモヤを解消する意味でも、溜飲が下がる思いでしたね。