最近やたら我が家の菜園の農作物が被害にあう。蒔いたばかりのカボチャの種が掘り起こされて食べられているし、春とは思えぬ寒さと長雨の中でも、ようやく芽を吹いたメロンや枝豆の苗が食いちぎられている。
 犯行はウサギやリスやハリネズミやクロウタドリ(*注)やナメクジやカタツムリの仕業であろうと思われる。

 

 クロウタドリ(*注)

 野鳥に興味はないし、日本に住んでいた頃に見かけた記憶がないので、その存在を知らなかった。
 フランスの田舎に越してきて庭の畑の吹いた芽やサクランボを食い荒らしに出没するこの鳥を、長い事 九官鳥 だと思っていた。
 九官鳥は「黒く、カラスよりは小さく、嘴が黄色く、オウムのように人のまねして喋る鳥。」と言う程度の認識を持っていたから、いつか生け捕りにして飼いならし、「わたしが悪うございました」と言わしてやろうと考えていた。

 間違えた記述をしたらいけないと思って調べると、この鳥は Merle noir クロウタドリ と言うらしい。喋りもしなければ物真似もしない。メスはひばりのような斑な茶色でオスだけが黒い。和名の通り、さえずりが良いらしいけど、確かに悪くないけど、まだ人が寝静まっている朝早くから、鶏ほどじゃないけどちょっとうるさい。

 

 憎らしいと思っていても、しばらくよく観察していると、だんだん情が移って目なんかつぶらで首を傾げた姿はかわいらしく見えてくる。庭で日向ぼっこしていると、地面の何を突っついているのか知らないが突っつきながらかなり近くまで寄ってくる。