企てのからくりを知って。
カズさんの願いを受け止めたい自分とは別に。
慰謝料を払うことで諦めたことが
ワタシの中で渦巻いていきました。

慰謝料を払うと決めたのも
不妊治療を止めると決めたのも
全てワタシです。

だけど。
慰謝料がなければ
あんな形で不妊治療を
止めなくてよかったとか。
伝言を受け取れていたら
慰謝料は払わずに済んだとか。
誰か一人でも企てのからくりを
ワタシに伝えてくれていたら
今とは違う心で居れたかもしれないとか。
あれから過ごしてきた自分の時間が重くて
そんな思いが拭っても拭っても消えない。

自ら迷い込んだはずの暗闇は
誰かに背中を押されて堕ちたのかもと
自分以外の誰かのせいにしようとしている。

そして。
そんな思いで居るうちに
とてもおぞましい思いが
自分の中に生まれました。

子供を授かったことは
生きていて一番の幸せで喜びでした。
その思いに嘘はありません。
今でもワタシに幸せや喜びの記憶を
届けてくれます。
だからこそ、罪を犯した自分が許せないし
だからこそ、悲しいのだと思ってきました。

慰謝料の行方を知って。
自分がしたことの代償なのに
受け止めてもらえなくて当然なのに
ワタシの謝罪はだれに伝わっていたのか
届いていたのか。やりきれなくなった。

そしてそんな黒い感情たちが
子供達にまで向かってしまいました。

囲われていた状況も
身から出た錆なのに
子供を望まなければ
こんなに苦しまずに
居られたのかもしれなかったと。

この苦しみは
子供が居なければなかったのではないかと。

失った子供の命を嘘だと思われ
「意味がない」と
在った事をなかったことにされたことで
苦しんできたのに。
子を流産で亡くす辛さを知っていたのに
自ら亡きものにして。
また亡くしてしまった子は
「うん。」のひとことで済まされ。
確かに在った子供の命を
なかったようにされたことで
苦しんで来たのに。

子供を失っていなければ
授からなければ
こんな思いはせずに居られたのかもと
おぞましい思いを
自分の中に見つけました。

ワタシは罪を犯した時のまま
何も変わっていない。

幸せを届けてくれた子供達に
もし居なければと。

自分の醜さを表す言葉が見つからない。

ワタシは子供達がくれた幸せを
汚したくない。
幸せの記憶を失くしたくない。
これ以上居たら
ワタシは汚してしまう。
失くしてしまう。

ワタシはしてきた自分の間違いを
分かっている。
浅はかに愚かな勘違いをして
避妊せずに身体を重ねてしまった。
その過ちを繰り返した。

それでも。
授かった子供は喜びで幸せでした。
嘘偽りなく。
なのに。居なかったらと考えた
自分の醜さを表す言葉が見つからない。
これ以上、醜い自分になりたくない。
自分の醜さに全て奪われる前に消えたい。